休みの日ルーティン
休みの日だというのに、私は通勤と同じバスに乗る。
体調管理のため、休みの日でも同じルーティンでバスに乗る。
乗り継ぎのショッピングモールまで行く。
行く理由は、それだけだった。
バスの車内は、いつもと違う顔ぶれだった。
いつものベレー帽のばあさんや、息の臭いおじさんもいない。
ショッピングモールには9時10分に着いた。
バスを降り、立体駐車場の横の喫煙所に向かう。
喫煙所は、ショッピングモール側の壁が腰の高さから天井までガラス張りになっている。
ガラスの向こうに、見覚えのある若い男がいた。
スマートフォンを片手に、タバコを吸っている。
近所に住んでいる男だ。
前歯がなく、肌の艶のわりに老けて見える。
この男は気づいていないが、昔、小学生の頃に母親と一緒に、何度かうちで夕飯を食べている。
だが、私とは面識がない。
その頃の私は建築士として働いていて、なかなか普通の時間に家に帰ることができなかった。
バリバリ働いていた時期だ。
後に母から聞いた話では、彼の母親と同じ職場だったらしい。
家に来なくなってから、彼の兄がいじめで亡くなったと聞いた。
その後、一家は町を出て行き、最近また戻ってきたらしい。
喫煙所に入り、奥にいる男と距離を取る。
入口付近でタバコに火をつけ、一服する。
ガラス越しの男は、こちらに気づく様子もなかった。
帰りのバスは9時35分発だ。
パン屋で遅い朝食をとってから、帰ることにした。




