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サスカッチ  作者: シンノスケ一二三
第五章「クレイジー・スクワッド」
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第五章「クレイジー・スクワッド」3

「この城を落とせば、わずかだが、休息できるかもな」

アイはそう言った。


「姉貴!まだ油断は禁物だぜ!?」

後ろにいるエリンの声が聞こえる。


不思議なことに、城の前はやけに鎮まりかえっていた。


「気をつけよう。罠かもしれねえ」

後ろにいるダンの声が聞こえる。


「大抵の罠なら反応力で対処できる。お前たちは離れていろよ」

アイはそう言うと一足先に城の中に入った。


すると突然、城の入り口にある鉄の柵が勢いよく上がり、アイだけ閉じ込められる形になってしまった。


「姉貴!」


「なるほど、こう言う罠か」

アイは鉄の柵に、軽く手を触れて言った。


どこからともなく声が聞こえてくる。

「ようこそ。俺の手下を殺し回っているのはお前だな?最上階にいる俺の下まで来い。出なければお前の子分を殺す」


「わかった」


「心配しなくて良い。この城には俺とお前しか居ない」

アイは了承すると最上階に向けて歩き出した。


聞いたことのある声だった。どこかで会ったことのある人物のはずだが、名前や顔を思い出すことができない。


そして、殺風景で簡素な作りの城内を迷うことなく進んで行くと、王の間らしき場所に辿り着く。


その間の玉座には、マントを羽織った長髪の大男が座っている。


(こいつは・・・!ブルータル!)

アイは牙と翼の記憶を呼び覚ましていた。


暴王ブルータルは口を開く。

「お前が只者ではないのはわかる。だが、今一歩信用しきれていないのだ。お前のチカラを見せて欲しい」


(何なんだこいつは・・・?)

アイにはブルータルの言っている意味を理解できなかった。


しかし、疾風エリア(地名)はアギトの支配下。

ブルータルがアギトの部下であるのなら、アイはブルータルを倒して進むしかないのだ。


アイは地面を蹴り、ブルータルとの距離を詰めると持っていた剣を高速で振り下ろした。


しかしブルータルはそれをギリギリでいなすと、右手に手刀を作り腰の位置まで引いた。


〜暴王螺旋手〜


回転が加わった手刀が、アイの右肩に当たると、衣服の肩の部分が消し飛び、つむじ状の切り傷が皮膚に浮かんでいた。


(ブルータル、こいつ、はるかに強くなっている!)

アイはその場から飛び上がり、ブルータルと距離を取った。


ブルータルは戦っている最中に、光るアイの宝石の様な左目を認めると再び口を開く。

「今、確信に変わったよ。お前は間違いなく<狂い眼>だ」

ブルータルはそう言うと、ゆっくり歩き出した。


「だが、お前達兄弟のチカラは特別なものでは無い。誰もがその系統のチカラを内に秘めているんだぜ?」


ブルータルから放たれる野生味をアイは感じ取った。

それは海巨人と対峙した時に感じたものと、酷似していたのだ。


アイは驚いた。

そして、アイのちょっとした表情をブルータルは見逃さなかった。


「正直に言おう。俺とお前はまだ敵ではない。俺は形式上、アギトの部下として動いているが、アギトに興味はない。俺の目的であり敵は<金色の猿人>と<マナブ>なのだ」


(猿人・・・マナブ・・・)

アイはその2つの単語を考えていた。


「猿人は悪人と強き者の前にのみ現れると聞く。そして、この道を進んでいればマナブともいつか相見えることになるだろう。もっとも2人とも、もう生きてはいないかもしれないがな・・・」


「お前から溢れる野生味は一体なんなんだ?それに猿人とは一体何なんだ?」

アイはブルータルと海巨人、そして猿人に何か共通点があるのではないかと睨んでいた。


「人間は猿人の延長上に存在する。ならば、猿人は人間の延長上に存在しても良いのではないかね?」


(・・・!?)

アイはブルータルの遠回しに言ってくる態度に腹を立てたが、海巨人が元々人間だったということは理解できた。


「正直に言おう。今のお前ならアギトに勝つことができる。気がついてないかもしれないが、お前はそれほど特別な能力を持っているのだよ」

ブルータルはそう言うと、アイを通り過ぎて王の間を出て行こうとした。


「待てッ!」

アイは振り返る。


「今のお前達に興味はないんだ。この城は好きに使うと良い。この城には近づくなと暴徒どもには日頃から言い聞かせている。安心して使えよ」

ブルータルはそう言い残し去っていった。


「何を考えているんだ・・・アイツは・・・?」

アイは思わずそう呟いた。


「姉貴ィーッ!」

エリンの声が聞こえ、エリンとダンが王の間に駆け込んで来た。


「鉄の柵が降りたと思ったら、中から変な大男が出てきて、<お前達にも興味はない>と言い放ってどこかに消えやがったから、やられたと思って心配してたんだぜ!?」

ダンは相当焦っていたのか、息を切らしながらそう言った。


「あの野郎、一体何者なんだ?」


「奴はマナブの相棒だ」


「・・・?」

エリンとダンは首を傾げた。


そして、アイとエリンとダンは疾風城に翌日まで留まることにした。


(私がアギトに勝てる・・・?しかし、奴はなぜそう言い切れるんだ?そして、今の私達よりも、奴が興味を示すような、もっと特別な存在が世にいるのだろうか・・・?)


アイは自分が体験した記憶ではない牙や翼、尾の記憶の中にいたマナブの顔を思い浮かべながら、星々の輝く夜空を眺めていた。

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