表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サスカッチ  作者: シンノスケ一二三
第五章「クレイジー・スクワッド」
11/21

第五章「クレイジー・スクワッド」1

この世界の土地はエリアという区画によって分割されており、生命エリア(地名)を中心として、閃光エリア、火炎エリア、氷結エリア、疾風エリア、流水エリア、暗黒エリアが円を描くように、それを囲んでいた。


世界崩壊後はそれぞれのエリアに王(暴徒、喧嘩師)が現れ、その場を支配した。


閃光エリアは喧嘩師ピーカリ、流水エリアは異王ブランド、暗黒エリアは搾王サイ、生命エリアと疾風エリアは力王アギト、氷結エリアは過酷な環境のためほぼ無人の状態で、火炎エリアは聖王マデリンが統治している。


これらはただの土地の名前であり、火炎エリアだからと言って、炎が燃え盛る土地というわけでは断じてない。


他のエリアに関しても同じで、名前などどうでも良いのだ。


そして、疾風エリアに属する孤島にて。


島の海岸で隻眼の女性が腕を組んで、海を眺めていた。


「良い風だな・・・」

その女性がそう呟くと、後ろから老婆がやってきた。


「感じるのか、アイ?奴らの存在を・・・」

老婆はそう女性に聞いた。


「まあね」

アイと呼ばれた女性はこう答えた。


「お前たち兄弟は、全員その日に生まれ、生まれた時から傷つけ合っていた。やがて幻獣の影に怯えた両親は自ら死に、お前たち兄弟の争いもエスカレートした。そして、ついにアギトはお前の宝石のような右眼を抉り取ったのだよ。親代わりだった私も手に負えないと思い、お前以外の兄弟を本土に向かって海に流した・・・」


「・・・」


「やっと歩けるようになった子供を小舟に乗せてな。普通なら死んでしまうだろう。私もそう願ったさ。でも生き残ると確信していた。それほどの生命力を感じ取っていたのだよ。恐ろしい・・・」


「・・・」


「アイ、奴らを殺してはいけないよ・・・」


「ああ、分かってる」

アイが答えると、老婆は去っていった。


その後、頭にバンダナを巻いた女性が、アイの所に駆け寄ってくる。

「姉貴、船の用意ができたぜ!早く来いよ!」


「ありがとう。エリン」


二人は船の停泊地まで歩いた。


その船は全長20メートルほどの海賊船のようなもので横幅もそれなりに広かった。


船の前には、角刈り頭の大男が立っている。

「姉貴、遅いぜ!」


「悪い、ダン。この島が名残惜しくてね」

アイは大男に軽く手を挙げ、船に乗り込んだ。


アイは乗員の点呼を取る。

乗員はアイ、エリン、ダンを含め10人で全部だった。


この10人は、本土から島への侵略を試みる暴徒を撃退するために、アイが集めた義勇軍で、元々はアイの不良仲間だった者たちだ。もちろん腕が立つ。


兄弟が力を付け始めた今、島に留まるのは危険と見て、アイが島を旅立とうと決めた時、名乗りをあげてくれたのだった。


「よし、みんな行くぞ!」

アイは剣で本土を指し大声を上げると、船がゆっくりと動き出す。


本土に着けば戦闘が始まり、まず10倍や100倍の戦力に包囲される。


アイ以外は虫のように死ぬだろう。


アイも他の者たちにそう言い聞かせて止めたのだが、全員が着いていくと言って聞かなかった。


そう、アイはそれほどの人望を持ち合わせていたのだ。


(アギトに再会したら私は奴を殺してしまうかもしれないな・・・)


自身の無いはずの部位である牙と翼と尾を感じながら、アイは本土を見つめた。


後ろを振り向けばもう島が見えなくなった頃、突然船が激しい衝撃と共に揺れ始めた。


「おい、いったいなんだ!?」

アイが叫んだ。


「お頭、あれを!」

仲間の1人が指を差し叫ぶ。


アイがその方向を見ると、右船端に毛むくじゃらの大きな人間の手が掛かっていた。


やがて船内によじ登って来たそれは、猿のような姿の体長3メートル位の巨人だった。


「なんなんだ、このバケモノは!?」

仲間の1人が驚き叫ぶ。


しかしアイは間髪入れずに、海巨人の横に跳躍すると携えていた剣で斬りつけた。


海巨人は野生の感か何かで攻撃を予測し、斬撃を右腕で防御する。


体毛で覆われたその腕は金属のように硬かったが、アイの剛力から繰り出される斬撃はそれを僅かに押し込んでいた。


しかし、海巨人は流血しつつも、アイに向かって左拳を突き出し、アイは飛び上がってそれをギリギリ回避した。


海巨人はアイに標的を絞り走り出すと、アイは叫んだ。

「お前らコイツに近づくんじゃないぞ!」


そして、海巨人は自分の髭を抜いて、アイに向かって投げつけた。


〜髭手裏剣〜


まとまった髭が矢の如く発射されたが、アイも持ち前の反応速度で身体を逸らし、それを回避する。


アイと海巨人の距離が僅かとなり、海巨人が掴みかかろうとした。


それを飛び上がって回避したアイの跳躍は、3メートルをゆうに超えて、海巨人の頭を踏み蹴ってさらに飛んだ。


しかし、海巨人は野生の感を働かせて、飛び去っていくアイの右足首を掴み、そのまま甲板に叩きつけた。


「グワッ・・・!」


そして、海巨人はアイを海に放り投げる。


「姉貴ィーッ!」

見守っていたエリンが叫んだ。


海の中に消えていくアイを確認したエリンは絶叫しながら、海巨人に向かって弩を放ち、他の8人も雄叫びと共に弩を乱射した。


「このバケモノがあああッ!」

エリンが雄叫びを上げ矢を撃ち尽くす。


しかし、海巨人の体毛と筋繊維は金剛の鎧に匹敵し、弩の矢が簡単に弾かれてしまう。


「こんな奴が海に潜んでるなんて聞いたことねえぞ!」

ダンは持っていた弩を投げ捨て、剣に持ち替えた。


「こいやあッ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ