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サスカッチ  作者: シンノスケ一二三
第四章「エリア奪還戦」
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第四章「エリア奪還戦」ラスト

厳重な監視体制にも関わらず、狂い尾は牢の中で首の頸動脈を掻き切られて殺害された。


マデリンはすぐに番兵と責任者を呼びつけた。


「あれだけ目を離すなと命じておいて、なぜこんなことが起こったのよ!?」


「一人の番兵が、狂い尾を殺害し自らも毒により自決しました。おそらくスパイが紛れ込んでいたようです」


「だからって、何とかならなかったの?」


「ですが、あの手際の良さは只者ではありません」

番兵と責任者の答えにマデリンは黙るしかなかった。


しかし、この件で明確に、狂いシリーズが殺し合いをしようとしていることがわかったのだ。


さらなる波乱の幕開けをマデリンは感じていた。


その後、一人の兵が部屋に駆け込んできた。

「申し上げます!ナサニエル殿が五百の兵を引き連れて、マデリン様に御目通り願いたいと申しております!」


ナサニエルとは聖王ドナルドの忠実な部下だった者である。


「ナサニエルも生きていたのね!よし、通しなさい!」


「我が名はナサニエル。マデリン女王陛下がこのエリアを統治されたと聞き、この身を捧げるため、兵と共に馳せ参じました」

ナサニエルは部屋に入るなり、平伏した。


このように次々に、かつての権力者や、弱肉強食の世界に異議を唱える者が集まり、マデリンの勢力は盤石のものとなっていった。


一方マナブは火炎城に住み着いていた。


マナブは考える。

狂いシリーズは何時か一つの怪物になり、世界を崩壊に導くだろう。


そのために喧嘩師として自身の成長、もしくは奴らの弱点を調べておかなければならない。


そして、当初の目標である猿人に対しての情報をどうしても調べたかったのだ。


マナブは荒野を練り歩き、ついに地下図書館を見つけ、毎朝この図書館に通った。


後々わかったことだが、本と呼べるかどうかすらわからない謎の紙束を含めれば、80万冊以上の本がある大規模な図書館だった。


そして、いつの日かこんな本を見つけた。


<爬虫神について>


これは本ではなかった。

誰かが書いた記録のようなものだった。


この記録にはこう書かれている。

「爬虫神は我々の先祖と激しい争いを繰り広げ、そして絶滅した爬虫の怨念なり」


(爬虫の怨念・・・トカゲのお面を被った子供は、滅ぼされた爬虫類の怨念なのか・・・?)


その記録を手にしていたマナブに、一人の老人が声をかけてきた。


「ほう、よくそんな記録を見つけおったなあ」


「昔、こんな怪異の話を聞いたことがあって調べていたのです」

マナブはこう返答した。


その老人はここの管理者のようだった。

こんな時代でも情報は大切だと、この図書館が朽ちぬように守り続けているらしい。


「そうか、確かそれに関係ある記録がどこかにあったような・・・」


(管理者がそう言うなら、まだまだ調べてみる価値がありそうだな・・・)


マナブは1ヶ月間この図書館に通い続け、朝から晩まで情報を探した。

時には図書館に泊まり込むこともあるほどだった。


そして、マナブはとある記録を手に取った。


<抹消された進化論>


それにはこう書かれている。


「人類は猿のような姿から人へと進化した」


「しかし、それだけではない」


「幻獣のような姿から人へと進化したものもある」


マナブは狂い翼の言葉を思い出していた。


(残り5人の兄弟が死んだら、幻獣になれる・・・)

強さに酔いしれた狂い翼は、確かにそう口走っていた。


幻獣とは空想上の生き物の総称だろう。

現実に存在するはずはない。


マナブはさらに3ヶ月目、こんな記録に辿り着く。


<古の幻獣>


それにはこう記されていた。


「幻獣は鋭い牙、力強い顎、宝石のような眼、宙を舞う翼、頑丈な鱗、逞しい尾を持っている」


これを読んでマナブは思った。

奴らは最終的に牙を手にし、翼を手にし、尻尾を手にする。


いや、すでに手に入れてるのだ。


そして、これからも別の部位を手に入れる。


幻獣。竜となるために。


マナブは戦いの中で狂い尾に、竜の陰影を垣間見ていた。


奴らが本当にそうなるかはわからない。


爬虫類経由の人間はすでに絶滅しているのだから。


しかし、奴らが竜の化身であれば、そのように対策を考える必要があるだろう。


まだ、情報が必要だった。


そして5ヶ月が経とうとしたある日。


マナブは今後の方針として決定的な記録を見つけた。


その記録には、マナブが欲していた情報が全て書かれていた。


マナブはその記録を、メモ帳に一字一句書き留めると、荒野を歩き出した。


彼の姿が荒野の砂埃に霞み、やがて見えなくなっていく。


その後、彼の姿を見た者は誰もいなかった。

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