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南インドの石油王令嬢は王女として日本に転校します。

「なぁ、今度ファーティマちゃんと海行こうぜ」


思えば、クラスの陽キャが騒ぎ始めたのは今日の昼休みの頃だった。


「今日は転校生が4人も来るぞー!!」


聞こえてきたのは、担任の先生のどこか筋肉バカ味を帯びた叫び声。

「えっ?マジ?やったぜー!!」

「え〜女の子?男の子?」

「はーい!先生かっこいいですか?かわいいですか?」

この先生、何気に生徒の受けが良い。

生徒たちに尋ねられて、誇らしげに語る。

「なんと4人とも外国からわざわざ来てくれたそうだ。しかも、めちゃくちゃかわいい!!」

その時だった。廊下の窓から差し込む光に、スカートの裾をひらりと揺らしながら、転校生の小さな影が見えた。声がふわりと教室に届く。


「ナンマ クラス アーシヤル… (なんか担任の先生思ったよりキモかったね……)」


これは……英語ではないことは確かだ。

恐らく……ドラヴィダ語族に属するタミル語……あたりの言語だと思うのだが……

1つ気がかりなのは、シンハラ語やヒンドゥー語、あとはマレー語などとも混ざって独特の訛りがあること。

しかも、実際にそれ出身の単語などもちゃっかり混じってる他、ちょっとムスリムっぽくもある単語が稀に混入している。


"マジでどこ出身なんだ……この言語……"


と珍しくちょっと聞こえるぐらいの声でボヤいてしまったが……

とにかく声がかわいい。

とにかく萌え声でキュートな声で……

クラスの男子は既に何人か気絶している。

……いや早すぎだろ


「タニパッタヴァナーガ, タン ・・・イルンダーン~(個人的には筋肉めちゃくちゃかっこよかったから大満足だけどな)」


あぁー!なんということだろうか?

個人的にはもう少し、このかわいい美声を耳に残していたいのに……

隣の席の陽キャの声や教室のざわめきが邪魔をして、かすかにしか聞こえないのがとても悔しい。


「"レーン=メイドゥナー・モデル" クーダ カルピッカマッター…(レーン=メイドナー・モデルのことは教えてくれなさそう…まぁいいけど)」


「ウンマイヤー アドゥ…(マジそれ…でも優しそう?)」


もっとも、俺はガリ勉陰キャの傾向が無くもないので、レーン=メイドナー・モデルの単語とその意味しか判別できなかったが……

ともかく、俺にとっては"コイツらは先生がちょっと嫌いなんだ"ということ、それをどういう訳か"他の生徒が「先生のことが大好き」なのだと曲解している"ことしか分からなかった。

すると、突然、クラスのとある陰キャが一言。

「先生、そういえばなんでこの転校生お昼に来たんですか?」

……正論だ。

思わず、正論すぎてびっくりしてしまい、椅子がゲシュタルト崩壊……いや正確にはひっくり返りかけたのだが……

担任の先生も、ちょっと正論すぎてびっくりしていて、

しばらく間を置いた後に慌てて訂正する。

「い……いや〜何でだろうな〜……べっ、別にこの子達が起立性調節障害で朝が凄く苦手とは敢えて言わないぞ!ハハハ……あっ……」

教諭……あっさり白状。

もはやそこら辺の雑魚の悪役並みの潔さだが、そこにツッコミを入れる新たな刺客が登場するとは……

誰も想像しなかった。

「誰が……起立性……調節障害ですって!?」

「「「ヒッ……ヒィー!ごめんなさーい!」」」

新たな刺客は、めちゃくちゃ丁寧な執事服を着たイケオジで、いかにも「あ……これから来る人はすごく偉い人なんだな」と思わず漏らしてしまいそうな、そんな威厳があった。

(追記:どんな威厳なんだ……と思うかもしれませんがなんかヤバいことやらかしたーって感じです{語彙力皆無})

すると背後からさっきの転校生のものと見られる声が。

「……やっ……やめて……おお……case?……いや。(止めて!大事にしないでれ)」

どうやら日本語は思ったよりできないらしい。

いや外国人の転校生なので、厳密に言うと当たり前と言ったら当たり前なのだが、なぜかそれで再び沸き立つうちのクラスもなかなか不思議なもんだ。

執事服を着たイケオジが引き下がり、転校生がクラスの中に入ってくる。

「やっ……やべぇ〜マジかわいい!!」

「えっ?え〜っと……なんかラブレター頂戴!!」

「かわいい!!え何このかわいさ〜超ヤバいんだけど」

途中、テンパりすぎて初対面でラブレターを求める激ヤバな男子もいたが、とにかくこれがすごく可愛いとウケたらしい。


………まぁ、ここまで美人だったらしょうがないよな。

なぜなら

・鮮やかなエメラルドグリーンとコバルトブルーのコントラストが「島と海!!」って感じを出してるアースアイの瞳(しかも4人とも……最後の一人に関しては、別に 三つ子ってわけでもなさそうなのに……なんか奇跡)


・小麦色の中間色って感じの健康的な肌。

(個人的にこれはめちゃくちゃポイントが高く、俺の性○にドストライク)


・藍色地に花柄の布とオレンジの水玉模様の2枚の布を髪を緩やかに隠すようにまとっている。

(これを現地の言葉で"アル=アミラ"と言うらしい……まぁ知ってた。{←嘘ですこいつこの人に会うまでこんなこと知りませんでした})

って感じ……

個人的には美人って感じもあるけど、ちゃんとロリっ子童顔でめちゃくちゃかわいいのもすごく配点が高い。


そんな感じで眺めてたら、転校生が教卓の前に立って「あぁ……自己紹介か……そいえばそうだったな……大変そうだな〜」となんとなく思って、なんか見とれていたんだが、ここで事件が発生した。

「……あ……れ?えっ?」

「ナイ! ニホンノ……スピーチ……プリント? ガ ヴァイッラ!!」

んんん………?

なんか、「ナイ! ニホンノ……スピーチ……プリント?」

と聞こえたが……

「………イインジャナイ?ドウセワカルシ!」

いやよくないだろ……絶対に!

こうして、まさかの台本なしでやり始めたのだが、これが、とてつもなくテンパっていた。

「えっ……え〜っと……あっ……エン?……じゃなくて、ワタシ……ファーティマ!ファーティマ・ビント・アッディーン」

最後だけ妙に力がこもっていて、自身ありげだったが、残念……クラスの皆にはおそらくほとんど伝わっていない。

「スキなの!ボカロイド……と……ニホンカレー!」

んんん?

なんか間ののが抜けてちょっと斬新な別の食べ物になった気がするがここはとりあえず黙っておこう。

「ワタシ……アーイシャ……サンキュー?……じ…なくて……コンニチハ?」

???

明らかにおかしい。

普通、そこはサンキューでもこんにちはでもなく「ヨロシク」となるのが正解のはずなのだが……

相変わらずこの姉妹はどこかおかしい。

「ワタシ……ファーリシャ!似てる……ファーティマ!だ……だから……ファーリたん!ファーティマは……ファーたん!」

なるほどなんとなくわかる。

おそらく「ファーティマとファーリシャは似てるから私はファーリたんでファーティマはファーたんと呼んでください」と挨拶もしたつもりになっていると思うが……

あっているのだろうか?

心なしか、身長139cmぐらい?のロリっ子だからか、だんだんとクラスの皆の視線が"かわいい!"から"なんかほっこり"に変わってきたと思ったのは俺だけではないだろう。

「私、ファイザ。ヨロシク」

うむ。至ってシンプル。

むしろこれぐらいが良い。


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