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変な人

「自己紹介が遅れたけど、まぁ高1なら知ってるだろう」

「担任発表の時にも自己紹介したけど、新橋です。担当はキーボードなので、まぁ文化祭には多分出ないかな」

新橋先生は高校1年4組の担任であり、僕の担任だ、文化祭に出ないと言うのは水瀬先輩と担当楽器が被っているからだろう。

入部届を出したとき、少し嬉しそうに受け取ってくれた。

「ま、3人とも何かあったらすぐに話して」

「はい!」


「それじゃぁ自己紹介も終わったし、今後の予定とちょっとだけ練習して終わろっか」


水瀬先輩が床からかき集めたスコアをクリアファイルに入れ、大山先輩はホワイトボードの前に立った。

椅子と机は2つしかなかったので全員で床に座った。

「まず軽音楽部では、学校関連では年に4回ライブがあります」

大山先輩がホワイトボードにライブの予定を書いていく

「2日間で開催される文化祭では、両方の日程参加してライブをするのでそれで2回。」

「新入生への部活紹介で1回、あとは卒業式前に卒業生へ応援ソングとかをクラスで歌うんだけど、それの演奏が毎年軽音部だからそれで1回、それで学校関連のは全部です」


話終わった後に風間君が手を挙げる

「学校関連って事はそれ以外にもあるんですか?」

「そう、それがこれから話す外部でのライブだね」

大山先輩は手に持ったペンをまたホワイトボードに走らせる

「軽音部では毎年コンテストに出演してて、一番直近の受賞だと2年前の先輩たちが優勝したヤツかな」

「それって...」

僕が口を開くと、大山先輩はいたずらっぽく笑う

「それだよ」

「さっき青海君が歌ってくれた曲を作ったユニット、ソフィアが在校中に優勝したのが一番最近。」


「そこからは全然だけどなー」

花咲先輩がそう言う。

「まぁ3人じゃ厳しい所あるよね」

「だからこそ、新入生のみんなには優勝目指して頑張って欲しいなと思ってるんだけど、もちろん参加は強制じゃないから、出たい人だけって事になるんだけどね」


そこまでの話が終わると、隣に座っていた水瀬先輩がすっと立ち上がってキーボードへと向かっていった

「水瀬くーん、まだ途中ですよー」

「ちょっとまって、良いの思いついた」

水瀬先輩はヘッドホンを繋げると、キーボードの鍵盤を、何かを探るように叩き始めた

「水瀬君は、ここのバンドの曲の作詞とかをやってくれてるんだけどメロディーとかも作ってくれてるから思いついたらすぐに録音しに行っちゃうんだよね、ごめんね」

「まぁメロディーだけ作ってあとは俺のところに持ってくるんだけどな...」

花咲先輩が困ったような表情をする。

「いつもヘッドホンして作るから、実際に持ってくるまでどんなのが来るか分からないんだよ」

「文化祭の時のやつも水瀬先輩がメロディー作られたんですか?」

「あーMy Heart Blue?あれもそうだね、去年のコンサートのために作ったんだ」


「龍太郎君、アレなかなかやばいの作ってそうだよ」

「え?」

そういわれ振り向くと、水瀬先輩はずっとドレミファソラシドを繰り返し鳴らしているようだった。そう思っていると次は鍵盤をものすごい速さで弾いていく。

水瀬先輩の顔を見ると、目を瞑っているようだった。

「すご...」

後ろで横山君が口を開けている。


水瀬先輩が録音が終わると、キーボードに繋いでいたパソコンを外し、データを再確認する。

少し口元を緩ませると、またパソコンを操作する。

花咲先輩の方から通知音が聞こえ、先輩がスマホを取り出すと水瀬先輩は一言

「それ、よろしく」

とだけ言ってまたこちらへ戻ってきた。


「まぁ、年間のライブはほかにもいろんなタイミングであるし、入部してくれた3人ともどこかで出演できるように調整するから楽しみにしといて!」


「一応終わり?」

花咲先輩が大山先輩に聞く

「まぁ、ここからは練習タイムってことにしようとしてたけど」

「じゃぁ、ちょっと奥の部屋借りるから」

そう言うと花咲先輩は奥の方にある小さな部屋へ入っていった

「あそこは?」

「レコーディングスタジオ、録音とか作曲とかができる設備が全部入ってるんだよ」

「龍太郎、何しに行ったんだろ」

水瀬先輩がホワイトボードを見ながらそう言う

「あなたが送ったファイルを完成しに行ったんですよ...!」

大山先輩が呆れたように言った。

隣で『コンクール』の文字をずっと見つめている水瀬先輩は、やはり少し変な人だなと思った。

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。主人公は、部内のギターのオーディションでソフィアのデビュー曲を弾くところからも、「ソフィア愛」が溢れていますね。上手いだけでなく、それが水瀬先輩にも伝わったのですね。 …
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