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6弦の重み

レコーディングルームには少し大きな窓が付いていて、外から中の様子が見えるようになっていた

ヘッドホンで音を聞きながらベースを入れていく大山先輩を見学しながら僕は先輩たちと話していた

「そう言えばアイツ、6弦ベースは凶器とか言ってたわりには普通に弾いてるよな」

「彼方はすぐ謙遜するからね」

「それにしてもいつからやってるんだろうな、6弦」

「去年家に行った時は部屋に置いてなかったよ」

話題は大山先輩の6弦ベースの話で持ちきりだった


窓の外の事は一切気にせず弦を弾き続ける先輩は誰の目から見てもカッコいい

高2のメンバーの中では唯一の黒い髪で、ピアスの穴も空いていない

真面目で優しくて、それなのにベースを持った瞬間人が変わったようにカッコよく見える先輩は「プロ」だなと思う。

「大山先輩ってすごいですよね」

考えていた通りの事が口から溢れる

「彼方は普段『見せない』だけで、本当の姿はあれなんだよ」

水瀬先輩が少し笑って言う

「水瀬は彼方大好きマンだから何でも知ってるぞ」

「仲良いんですか?」

「まぁ、片思いって所?」

花咲先輩が水瀬先輩を見ながら冗談っぽく言う

水瀬先輩はそんな事気にせず、透き通った瞳を大山先輩に向けていた

そうしている内に先輩は録音が終わったようで、ヘッドホンを外して部屋から出てきた

「お疲れ」

「龍太郎君も水瀬君もエグい曲ばっかり持ってくるから疲れたよ」

大山先輩はいつもの笑顔で言う

3人とも本当に仲が良いようだった


「シンセ運ぶのってめんどくさいよね」

水瀬先輩はそう言いながらレコーディングルームにシンセサイザーを持っていく

「水瀬君って、あれだけの重量あるシンセ運んでるから相当力あるんじゃない?」

「でも体力測定毎回サボってるから握力聞いた事ないわ」

「体育苦手なのかな」

「バスケ以外興味ないらしい」

水瀬先輩がバスケットボールをしている様子を思い浮かべる

スポーツをしてても映えそうな雰囲気だが、実際はどうなんだろう

そんな事を考えながら窓をぼんやり眺める

水瀬先輩がシンセサイザーを慣れた手つきで弾いている姿を見て、僕は思い出したようにリュックからノートを取り出す。

さっき作り始めた詩に、新たな文字を追加していく


『疲れてるみたい、浮かれた誘いに心惑わされて

本当にしたい事、忘れてしまったみたい』

水瀬先輩が「本当にしたい事」をしている様子を見ると、不思議と色々浮かんでくる

なるべく複雑にならないように意識しながら組み上げていく。

いつかこの曲を歌えるようになるのかな、なんて想像しながらAメロ部分を書き上げた

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