初めてのレコーディング
作曲会議からしばらくして、僕たちは駅前の小さなスタジオを借りてレコーディングする事になった。
「じゃ、先生はその辺うろついとくから時間になったらまた呼んで」
そう言って新橋先生は足早にスタジオを後にした
「先生、レコーディング見ていかないんですかね?」
大山先輩に聞いてみると先輩が少し笑って言った
「僕たちのレコーディング見たら感極まって泣いちゃうんじゃないの?」
「前のライブの時も結構危なかったもんな」
「と言うかソフィアの在校中のラストアルバムの収録終わり大号泣だったじゃん」
先輩達の新橋先生号泣エピソードを聞いて、普段はクールなのにそう言う一面もあるんだなと思った。
「そう言えば僕たちはスタジオレコーディング久しぶりだね」
水瀬先輩が花咲先輩に言う
「前いつだっけ」
「半年くらい前?ソフィアのラストアルバムの時だから」
そんな会話を聞いて驚いた
「え、先輩ソフィアのレコーディング参加してたんですか?」
「最後の1枚だけね、『melody』って曲の作詞作曲、僕と龍太郎だもん」
「そうだったんですか!知らなかった…」
「まあ、僕だけノータッチだけどね」
大山先輩が言う
「彼方も何かすれば良かったのに」
「だってソフィアのベーシスト、上手すぎたんだんだもん。出来る事無かったよ」
「せめて彼方が6弦ベースだったら被らなくて済んだのにね」
「あんなの弾けない、凶器だよ凶器」
それを聞いた花咲先輩が笑って言った
「1年の頃の彼方が持ったら確実にどっかの骨は折れてただろうな」
「しょうがないでしょ、その時まだ細かったんだし」
大山先輩も笑って返した
「じゃあ、そろそろ始めるか」
水瀬先輩が目を輝かせながら言う
「それじゃドラムから録る?」
「そうだね」
「オッケー」
花咲先輩が自信満々にレコーディングルームへと入って行った
「ボーカルも撮り直したいし、3時間で足りるかな」
「何とかなるでしょ、青海君と風間君も今のうちに練習しときなー」
そう言われて僕はエレキギターを取り出し練習する
今回からギターが2人になったので、パートが分けられる事になった
風間君が弾くのは主にコードで、僕はそれ以外のギターを全て担当する
コードが無くなったので少しは楽になるかと思ったが、甘かった
新しいスコアはこれまでとレベルが2つほど上がったような感じで、「難しい」と言う言葉しか出てこなくなる程だった。
「次は誰が録るか先に決めときますか?」
風間君が水瀬先輩に聞く
「次がベースで、その次がシンセ、でその後コードのギター入れて、2本目のギター入れて最後ボーカルかな」
「分かりました!」
「最悪ボーカルは別日でも良いし、今日は曲さえ入れればそれでいいかな」
「頑張って1発録り目指します!」
「良いね、その調子」
こうして僕たちのファーストミニアルバムのレコーディングが始まった。




