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水瀬先輩のしたいこと。

CD用の曲のデモがいくつか完成したとグループチャットで連絡があったので、早速僕たちは次の活動日に部室で鑑賞会をすることになった。


「それじゃあ、流すね」

水瀬先輩が白色のCD-RをCDプレイヤーに入れると、プレイヤーの画面が切り替わり、ピアノ伴奏の曲が流れ始めた。

「砕け散った夢があるならば、欠片だけ拾い上げてほら...」

水瀬先輩の歌声が聞こえ始め、夏を感じる爽快感溢れる曲が流れた

「愛に飢えていて、望み壊れてく。そんな世界がなんか嫌で...」

Bメロではギターやピアノ以外にもストリングスの音が入ってきて、さらに壮大なメロディーへと変化していく。

「そして群青色の風が吹いて、嫌な思い出の欠片飛ばし。目の前に立った壁も削って...」

サビで一気にバンド曲っぽくなり、いかにも青春な曲となっていた。

「いいねーこの曲。」

大山先輩は気に入った様子でスピーカーに耳を傾けている

花咲先輩も、最初は真剣な眼差しで見つめていたが、しばらくすると心地よさそうに目を閉じて曲を聴いていた。

「まずこれが1曲目の『群青色の風が吹き』って曲ね」

「すごく良い曲ですね!」

風間君は目を輝かせながら言った

「爽快感があって、夏らしさ全開って感じですね」

僕も続けて言う

「ここしばらくの間作曲も色々勉強したから、これくらいの曲なら作れるようになったよ」

水瀬先輩はそう言っていたが、少し不満そうな感じがした。

「じゃ、2曲目行くね」

先輩がそう言って再生ボタンを押すと、次は優しいメロディーから曲が始まった。


「夏の夜空に三角形が生まれていて、それがすごく美しかった...」

今度は落ち着いた夜の曲で、ベースやドラムの主張は少なめ、ストリングスとアコースティックギターで大半が構成されていた。

「何億年も前の光手に集めて、それを今ここで振りまいたら...」

シンセサイザーでエフェクトが掛けられ、キラキラとした音が鳴る

「身体がガラス体になって、夜空の星座達反射して...」

水瀬先輩も普段と違って、優しい歌声で曲を歌い上げている

ビブラートを使わない歌唱法で、ムダをすべて省いたようなダイレクトな歌声に魅了された。

「これが2曲目の『水晶夜』ね」


そこから残りの2曲も聴いて、計4曲を既存曲とどう織り交ぜてアルバムにするのか会議をしていた。

水瀬先輩が歌詞ノートを取り出してそれぞれの曲の歌詞を照らし合わせようとした時、水瀬先輩のカバンから一枚の紙が落ちた。

慌てて水瀬先輩が拾おうとするが、先に花咲先輩がそれを拾う。

「ん、なにこれ」

「何でもないよ...」

水瀬先輩は少し焦っているようにも見える

「『ザクロのように』?」

「新しく...作ろうと思ってた曲の歌詞。」

「ミニアルバムに入れようと思ってたのか?」

「まぁ...」

「ちょっと読ませて、良い?」

「良いけど」

そんなやり取りの後、この歌詞を読んだ花咲先輩が一言言った

「良いじゃん、入れようよ」

「ダメだって!雰囲気、壊れるから...」

歌詞を読んでいない僕たちは困惑気味だった

「青春で完全に固める必要なんてないだろ、なぁ彼方」

「え?まぁ、そうだね。」

大山先輩も困惑している

「それに、この曲を入れたら良いアクセントになると思うんだ」

「そうかな...」

「俺たちはなんでも歌えてなんでも曲に出来る最強集団だと思われるかもしれないだろ?」


「あの...先輩...話についていけないです...」

そう切り出したのは風間君だった

「あぁ、ごめん。これ読んでみて」

そう言われて紙を受け取ると、少し変わった風な歌詞が記されていた。

「結構攻めてるとは思いますけど、すごく良い歌詞だと思いますよ!メッセージ性も強くて」

「なぁ、水瀬良いだろ?」

「分かった...良いよ好きにして」

「よし、それじゃあ今日うちで作るから予定会う人は全員部活終わったらついてくるように!」

結局また良く分からないまま話が進んでしまった。

が、水瀬先輩は先ほどまでとは違って、少し嬉しそうな表情になっていた。

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― 新着の感想 ―
インディーズレーベルでミニアルバムを、凄い前進ですね。青春系で固める中、水瀬先輩の新曲は少し雰囲気が違うようで、でも入ることになって先輩も嬉しそうで良かったです。『群青色の風が吹き』、いいですね。続き…
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