部室
水瀬先輩のレッスンを受けてからしばらく経ち、曲を通しで練習する事になった。
先輩達は授業で遅く、横山君は今日も用事らしいので風間君と2人で練習しながら待っておく事にした。
「青海君はいつからギターやってるの?」
「初めて触ったのは中2の頃かな」
「そうなんだ、僕は本当に初心者だから分からない所あったら教えて欲しいな」
「僕に出来る事なら…」
「ありがとう」
そう言うと風間君は3歩ほど進んで練習を始めたので、シールドをギターに差し込んで準備を整える。
先輩たちが来る前に少しでも上手くなれるようになりたい、その一心で何度も繰り返して練習した。
部室のドアが開いたので顔を上げると、新橋先生が居た。
「2人ともお疲れ様、もう一人は?」
「横山君は用事があるみたいで帰りました」
「ふーん…横山は毎日用事があるんだな」
「そうみたいです」
「最後に来たの、部活初回の次の日とかだぞ」
「忙しいんですかね…」
「まぁ、なんでも良いけど」
新橋先生は少し困ったように言い、ピアノの前へ座る。
スコアを数枚並べて、ゆっくりとイントロを弾き始める
聞き馴染みのあるメロディーだったので、ギターパートを少し弾いてみる
新橋先生がハッとしたような顔になったが、続けてピアノを弾く。
「僕らそう、愛に飢えた生き物…」
先生も何かを思い出すように一音一音を弾いていく。
最後まで弾き終わったタイミングで、先生が口を開いた。
「よく知ってるね、この曲」
『愛に飢えた生き物』は、ソフィアが高1の時にリリースした2曲目の楽曲で、僕がソフィアの存在を知るきっかけになった曲でもある。
「僕は、ソフィアの皆さんに憧れて音楽を始めたんです」
「そうだったんだ、みんなすごい生徒だったな…」
先生がソフィアを思い出して懐かしそうにしていると、すぐ後ろから声が聞こえる。
「えっと…青海君、練習初めて大丈夫だよね…?」
大山先輩が申し訳なさそうに言った。
「先輩!?すいませんすぐ準備します!」
「全然大丈夫、あとすごく上手かったよ」
いつから聞かれていたんだろうと考えながらエフェクターを準備する。
水瀬先輩はシンセサイザーを忙しそうに操作して、音を変えているようだった
先輩のシンセは、みるからに古そうなタイプで操作もボタンではなくレバーやツマミを操作する物だった。
「水瀬、今回はそのシンセで行くのか?」
花咲先輩が聞く
「このシンセの方が良い音が出るから」
そう言いながらレバーを調節し、少しずつ音を変えて行く。
そうしている内にギターの準備が出来たので先輩たちに方へ向かう
「練習よろしくお願いします」
「よろしくねー」
「それじゃぁ、1曲目から通しで3曲目まで練習するぞ」




