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私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに  作者: Karamimi


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第72話:一件落着です

「ミリアム様、カイロ様、今回の件、本当にありがとうございました。あなた様達の協力がなかったら、今頃サミュエル様はどうなっていたか」


「僕からもお礼を言わせてください。ミリアム殿下、カイロ殿、本当にありがとうございました。あなた達は僕の命の恩人です。一度ならず二度までも助けていただくだなんて。このご恩は、一生忘れません」


 “サミュエル殿下、話しすぎですわ。それに私たちはその…友人なのです。友人が困っている時に、手を差し伸べない人間などおりません。恩を感じていただく必要はありませんわ”


 “ミリアムの言う通りです。私達もキャリーヌ嬢には、返しても返しきれない程の恩があるのです。この程度の事、気にしないで下さい。ただ…ジェイデン殿下の処分は、しっかり行ってくださいね”


「ええ、もちろんです」


 モニター越しのミリアム様とカイロ様が、微笑んでいる。やっとこれで、全て解決したのだ。


「ミリアム殿下、カイロ殿、私からもお礼を言わせてください。愚息子の身勝手極まりない行動のせいで、多大なるご迷惑をおかけした事。さらに国の宝と言われる魔術師殿まで、サミュエルの為にご協力いただいた事、心より感謝いたします。本当にありがとうございました」


「「「「ありがとうございました」」」」


 陛下に続くように、貴族たちも一斉に頭を下げたのだ。あまりの迫力に、ミリアム様もカイロ様も固まっている。


 “陛下、それに貴族の皆様、どうか頭を上げて下さい。私どもは本当に、大切な友人の為に動いたまでです。ですから、お気になさらずに。今後もよき関係を続けて行けたらと、考えております。それでは私たちはこれで、失礼いたします”


 “キャリーヌ、来月また会いましょうね。それでは、ごきげんよう”


 頭を下げるカイロ様と、笑顔で手を振るミリアム様に、私たちも頭を下げた。結局私は、母国に戻ってからも、ミリアム様に頼りっぱなしだ。それがなんだか情けないが、こうやって困った時に助けてくれる友人がいるという事が、なんだか嬉しい。


「キャリーヌ、今回の件、君にも随分と心配をかけてしまってすまなかった。母上から聞いたのだが、僕の看病でろくに寝ていなかったそうだね。食事もほとんど摂れていないと聞く。すっかりやつれてしまって…今日からは僕が、キャリーヌを看病するよ」


「私は病人ではありませんわ。それに原因が分かってからは、しっかり食事をしておりましたし」


 ただ、どうしても私の手で犯人をあぶり出したかったため、寝る間も惜しんで証拠集めに翻弄していたことは、内緒にしておこう。


「その割にはやつれている!来月には僕たちの婚約披露もあるし、しばらくはゆっくり休んでくれ。それから…」


 サミュエル様が、陛下や貴族たちの方を向いた。


「今回私の不注意で、皆様には多大なるご迷惑をおかけした事、深くお詫び申し上げます。まだまだ未熟が故、キャリーヌを始め、カリアン王国で出会った友人達、それに我が国の貴族たちに支えられているのが現状です。ですがいつか立派な王太子、そして国王になり、今度は私が皆様を支えられる様に、これから精進して参りますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします」


 サミュエル様が皆に頭を下げたのだ。私も一緒に頭を下げた。


「今回の件は、サミュエル殿下のせいではございません。それにしても、サミュエル殿下の留学には、本当に大きな意味があったのですね」


「カリアン王国の王女殿下と公爵令息殿という、高貴な身分の方があなた様の為に動いて下さったのです。きっとこれから、増々カリアン王国とアラステ王国の絆は、深まっていく事でしょう」


「サミュエル殿下、あなた様には私どもも、とても期待しております。あなた様ならきっと、今の陛下以上に立派な王になって下さるでしょう」


「おい、私以上に立派な王とは、どういう意味だ!ただ…確かにサミュエルなら、この国を今よりもっとよい国にしてくれると、私自身も信じている。キャリーヌ嬢、どうかサミュエルの事、今後もよろしく頼む」


 今度は陛下が私に頭を下げたのだ。隣で王妃殿下も、頭を下げている。


「陛下、王妃殿下もどうか頭を上げて下さい。もちろん、私はサミュエル様を全力で支えるつもりです。サミュエル様は私にとって、誰よりも大切な人ですので」


「僕もキャリーヌが、一番大切だよ」


 嬉しそうに私を抱きしめるのは、サミュエル様だ。そんな私たちを見て、どこからともなく拍手が沸き上がる。その拍手は次第に大きくなっていき、大会議場に響き渡った。


「皆の者、今後なのだが、ジェイデンを始め、ティーヌン侯爵及び今回の事件に関わった医師や使用人たちの処罰について、改めて会議を開きたいと思っている。私は息子だからといって、処罰を甘くするつもりはない。どうかそのつもりで。それは、今日は解散としよう」


 陛下の言葉で、皆が一斉に部屋から出ていく。


「キャリーヌ、僕たちも部屋に戻ろう。それにしても、随分とやつれてしまって。可哀そうに。今から僕がしっかり看病してあげるからね」


「何度も申しますが、私は病人ではありませんので看病は必要ありません。サミュエル様こそ、病み上がりなのですから、お部屋でゆっくり休んでください」


「もう僕は平気だよ。毒もすっかり抜けたしね。今日は休暇をもらったし、とにかくキャリーヌと一緒にいたい。いいだろう?」


「もちろんですわ。それじゃあ、まずは食事にしましょう。今日うまくいくか心配で、朝食をあまり食べていないのです」


「それは大変だ。すぐに食事にしよう。僕が部屋まで運んであげるよ」


 そう言うと、サミュエル様が私を抱きかかえたのだ。さすがに恥ずかしい!そう叫びたいが、すっかり元気になったサミュエル様の顔を見たら、これ以上何も言えなかった。


 サミュエル様が倒れた時、本当に心配でたまらなかった。でも今は…


 その後は時間が許す限り、2人で過ごしたのだった。

次回最終話です。

よろしくお願いします。

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