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私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに  作者: Karamimi


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第69話:やっとキャリーヌを手に入れられる~ジェイデン視点~

「サミュエルは順調に弱っている様だね。それにしてもこの花の毒、本当に効くのかい?」


「ええ、もちろんですよ、殿下。サミュエル殿下の首には、シュテルベンの花の毒が体に回っているサインでもある、花のアザが色濃く出ているでしょう?あのアザが、進行具合を表しているのです。今は何色ですか?」


「昨日様子を見て来た限りでは、黒に近い紫色に変化していたよ」


「それなら問題ありません。あのアザが黒色に変化した時が、サミュエル殿下の寿命が尽きるとき。あなた様が王太子に返り咲く日も、もうすぐですよ」


「ありがとう、君が他国から優秀な魔術師を紹介してくれたお陰だよ。僕が王太子に再び戻れた暁には、君には僕の次に権力を与えるよ。それから、君の娘を王妃に、キャリーヌを側妃に向かえるという事でよかったのだよね?」


「ええ、それで構いません。ただ、マディスン公爵が黙っていないでしょうから、サミュエル殿下を片付けた後は、マディスン公爵を始末しましょう。この毒を使って!今度は私が、恨みを込めるとしましょう。マディスン公爵には、恨みしかありませんから」


「君も随分と悪だね。でも、君のお陰で僕は助かったけれど。キャリーヌも公爵という後ろ盾がなくなったら、僕に従うしかないものね。やっとこれで、キャリーヌが手に入る。全て君のお陰だよ」


「ありがとうございます。そろそろサミュエル殿下に、毒を飲んで頂くお時間です。殿下、どうか血液を」


「ああ、そうだね。正直自分の体を傷つけるのは痛くて嫌だけれど、キャリーヌを手に入れるためだ。我慢するよ。それに今日毒を飲ませれば、サミュエルの命は尽きるのだからね」


 針で自分の指を傷つけると、そのままシュテルベンの花のエキスの中に、ポタリと1滴入れた。


 一瞬紫色の光を放つと、エキスは無色になった。


「それじゃあ、これを薬に混ぜてくれ」


「かしこまりました」


 近くに控えていた医者に、エキスを渡した。実はサミュエルを診察している医者は、僕の息がかかった医者なのだ。医者を通じて、滞りなく薬を飲ませている。


 そう、他の医者がどんなに血眼になってサミュエルの体調不良の原因を探っても、決してバレる事がない。シュテルベンの花の毒には、魔力が加わっているのだから。


 もちろん、魔術師が見ればバレる事もあるが、我が国には魔術師は存在しない。そう、決してこの毒の存在はバレる事はないのだ。まさに暗殺にもってこいの毒。


 ただ、他国から優秀な魔術師を雇い入れるのに、随分と沢山のお金を使ってしまったが、僕が王太子になったらすぐにそんなお金は回収できるだろう。


 これでやっとキャリーヌが手に入る。そうだ、せっかくだからサミュエルが苦しみながら息を引き取るところを、この目で見てやろう。


 そして悲しむキャリーヌを、慰めてあげないと!


 そうと決まれば、早速サミュエルの部屋に向かおう。


「僕はせっかくだから、サミュエルの最期を見守る事にするよ。君はすぐに仕事に戻るといい」


「承知いたしました。それでは私はこれで」


 僕もサミュエルの部屋に向かおう。そう思い、部屋から出た。そしてサミュエルの部屋へと向かう。


 サミュエル、きっと今頃苦しんでいるのだろうな。実の弟に毒を盛るだなんて、僕は酷い兄だろう。もしかしたら、サミュエルに恨まれるかもしれない。


 でも…


 元はと言えば、僕からキャリーヌを奪ったサミュエルが悪いんだ。サミュエルが僕を立ててくれたら、僕だってこんな酷い事はしなかったんだから。だから僕は悪くない。


 キャリーヌだって、帰国した時すぐに僕を選んでいれば、すぐに正室として迎え入れたのに。キャリーヌが変な意地を張るから、今回側妃という形になってしまったんだ。とはいえ、僕はあの男の娘なんて興味がない。


 だから側妃とはいえ、キャリーヌを目いっぱい愛するつもりだ。


 さあ、着いたぞ。この部屋の向こうに、まさに今命を落とそうとしているサミュエルがいるのだな。最期の時を、しっかり見届けてやらないと。


 そう思い、扉に手を掛けた時だった。


「ジェイデン殿下、陛下がお呼びです。どうぞこちらへ」


「父上が?」


 僕は今から、サミュエルの最期の姿を見届け、悲しむキャリーヌを慰めないといけないのだが…父上の呼び出しを無視すると、後が面倒だ。仕方がない、急いで父上の要件を聞いた後、すぐにサミュエルの部屋に向かおう。


 そう思い、使用人に付いていく。使用人が向かった先は…


「ここは、大会議場ではないか。本当にこの場所で合っているのかい?」


「はい、間違いございません。どうぞ中へ」


 使用人がゆっくりと扉を開けた。

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