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私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに  作者: Karamimi


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第47話:お互いの気持ち

「サミュエル殿下、私は今でも変わらずサミュエル殿下の事が大好きです。もしかしたら、子供の頃よりも今の方が、あなた様の事を深く愛しているかもしれません。ですが私は7年半前のあの日、あなた様を裏切り、ジェイデン殿下を選びました。その事がどうしても引っかかっていて…あなた様を裏切り、傷つけた私が、サミュエル殿下を幸せに出来る訳がない、別の令嬢と結婚した方が、サミュエル殿下は幸せになれる、そう思ったのです。ですから私は、あなた様を避けていたのです。でも…」


「でも?」


「さっきミリアム様と話をして、私が間違っていた事に気が付きました。私は一度ならず、二度までもあなた様を傷つけてしまったのです。私は自分の事ばかりで、周りが見えておりませんでしたわ。本当にごめんなさい」


 改めてサミュエル殿下に頭を下げた。すると…


「キャリーヌは7年半前の事を、未だに苦しんでいたのだね。あの時、君は僕を裏切っていない。僕の方こそ、助けてあげられなくて本当にごめんね。僕はあの日、モニターで君たちの様子を見ていたんだ。大人たちの厳しい圧に必死に耐えながら、何とか断ろうとしているキャリーヌを見た時、僕は本当に嬉しかった。でもそれ以上に、キャリーヌが大人たちに責められている姿を見るのが辛くて。キャリーヌは兄上を選んだのではない、選ばされたのだよ」


「いいえ、私はあの時、ジェイデン殿下を自分で選んだのです。いくら大人たちに圧を掛けられていたとしても、結局選んだのは私なのです。ですから私は…」


「キャリーヌ、君は自分に厳しすぎるよ。あの状況では、誰もが屈してしまうのは当然だ。モニター越しに見ていた僕ですら“キャリーヌ、もう無理しなくていいよ。頼む、これ以上苦しまないでくれ”そう願ったくらいだから。それにあの後、キャリーヌは泣きながら僕に謝っていたよね。僕はそれだけで、十分幸せだったよ。決して悲しいとか、裏切られたなんて思っていない。それだけは、知っておいてほしくて」


「サミュエル殿下…」


 確かにあの日私は、大人たちから酷い圧を掛けられた。でも…


「キャリーヌ、最後まで抵抗してくれてありがとう。どうかもう、僕を裏切っただなんて思わないで欲しい。僕は自責の念に苦しんでいるキャリーヌを見るのが、辛いんだ。それにキャリーヌには、誰よりも幸せになる権利がある。ミリアム殿下も、誰よりも君の幸せを望んでいるのではないのかい?もちろん、僕もだよ。だから君がどうしたいのか、教えて欲しい」


 優しい眼差しでサミュエル殿下が語り掛けてくる。


 私は…


「私は、サミュエル殿下と一緒にいたい!ずっとあなた様が大好きだったから。一度は離れてしまったけれど、それでもやはり、私はあなた様が大好きです」


 溢れる涙を止める事が出来ず、泣きながら気持ちを伝えた。ただ、なぜだろう。自分の気持ちをぶつけたことで、心の奥がスッと軽くなるのを感じる。


「ありがとう、キャリーヌ。僕もずっと君が大好きだよ。それじゃあ、これからは僕の傍にいてくれるかい?ずっとずっと、この命が尽きるまで」


「ええ、もちろんですわ。ごめんなさい、私が愚かなばかりに、あなた様を散々傷つけてしまって。こんな愚かな私が、サミュエル殿下の傍にいてもいいのか、正直不安です。でも…私はやっぱり、サミュエル殿下の傍にいたいです」


「僕はキャリーヌが傍にいてくれるだけで、とても幸せだよ。僕たち、もっときちんと話をすればよかったね。正直言うと、僕はキャリーヌと話をするのが怖かったんだ。はっきり拒絶されるのではないかという思いがあってね。僕も大概臆病者だよ。こんな僕だけれど、本当に傍にいてくれるかい?」


「私がサミュエル殿下との話し合いを、拒んでいたのです。サミュエル殿下は悪くはないですわ。サミュエル殿下…いいえ、サミュエル様、大好きです!」


「僕も、キャリーヌの事が大好きだよ!もう二度と、離さないから」


 ギュッとサミュエル様が、私を抱きしめてくれる。その温もりが、心地いい。私のせいで、随分すれ違ってしまったけれど、もう二度と彼から離れたりしない。これからはずっと一緒だ。

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