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私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに  作者: Karamimi


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第35話:一気に進展しました~サミュエル視点~

 マディスン公爵の言う通りだ。このままラミア殿下によって、我が国を引っ掻き回されてはたまらない。


 ただ父上は穏便に済ませたい様で…


「ディステル王国に出向くのは、もう少し待ってくれ。それに貴族の中には、ラミア殿下と今後上手く付き合っていった方が、国益になると考える者もいるし…」


 そう言って言葉を濁しているのだ。正直最初は、ラミア殿下は我が国にとって国益になると考えている貴族も一定数いた。


 ただ、今はもうほとんどの貴族が、ラミア殿下をなんとかして欲しいと考えているのだ。


 このままだと、本当にこの国は滅茶苦茶になってしまう。


 皆が頭を抱えていた時だった。


「陛下、ディステル王国から国王陛下と王妃殿下がいらっしゃるとの連絡が入りました」


 何と、ディステル王国から陛下と王妃殿下が、我が国に来ることになったのだ。そして


「アラステ王国の国王陛下、王妃殿下、この度は我が妹、ラミアがとんでもない事をしでかしまして、本当に申し訳ございませんでした。まさかラミアが、他国に多大なご迷惑をおかけしているだなんて…本当に恥ずかしい限りです」


 我が国に到着するや否や、ディステル王国の国王陛下と王妃殿下が、深々と頭を下げ謝罪されたのだ。


 一体何が起きているのだ?さっぱりわからない。父上も同じ事を思ったのか


「どうか頭をお上げください。あの…どうして急に我が国にいらしたのですか?」


 恐る恐るディステル王国の陛下と王妃殿下に問いかけている。


 聞けば王妃殿下の母国でもあるグランズ王国の女王陛下から、ラミア殿下がアラステ王国で好き勝手して、多大な迷惑をかけているという旨を聞いたそうだ。さらにグランズ王国の女王陛下の義妹君が、わざわざグランズ王国を訪ね、涙ながらに“親友の母国を助けて欲しいと訴えた”との事。


 どうやらグランズ王国の女王陛下の義妹君は、カリアン王国の第一王女で、キャリーヌの親友らしい。人付き合いが苦手で、ずっと独りぼっちだったカリアン王国の第一王女の心を開き、彼女の人生を変えた人物こそ、キャリーヌだったそうだ。


「知らなかったとはいえ、私たちはとんでもない過ちを犯してしまいました。キャリーヌ嬢を始め、マディスン公爵殿には、何と謝罪すればいいか…本当に申し訳ございませんでした」


「ラミアは自分の悪事が外に出ない様に、ディステル王国の使いの者を口止めをしていた様で、私たちの耳に入らない様にしていたのです。私たちも、こんなにも長くアラステ王国にお世話になっている事に疑いを持たなかった時点で、落ち度がありました。本当にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございませんでした」


 初めてお会いしたディステル王国の陛下は、あのラミア殿下の兄とは思えない程腰の低い男性だった。大国ディステル王国ともなれば、もっと横暴な態度をとってもおかしくはないのに…


 王妃殿下に至っては、しきりにキャリーヌの事を心配していたのだ。王妃殿下直々にマディスン公爵家を始め、ラミア殿下に酷い事をされた貴族の家を回り、謝罪と慰謝料を渡したとの事。


 その上、今後はもっと密な関係を築いていきたいと、こちらに好条件で貿易をしてもらえることになったのだ。


 そして…


「本当にラミアが申し訳ございませんでした。もう二度とラミアにはアラステ王国の地は踏ませません。もしどうしてもジェイデン殿下がラミアとの結婚をと望まれるのでしたが、どうかジェイデン殿下が我が国にいらしてください」


 とまで、提案してくれたのだ。ただ、当の兄上は


「僕はこの国を離れるつもりはありませんので、申し訳ございません」


 そうはっきりと伝えていた。


 こうしてラミア殿下騒動は、あっけなく幕を下ろしたのだった。


 それにしても、ディステル王国の両陛下は本当に素敵な方たちだった。父上は何度かお2人に会った事があるはずなのに、どうしてすぐに相談しなかったのだろう。


 他の貴族も同じ事を思ったのか、父上に


「あんな素晴らしい両陛下でしたのに、どうしてすぐにラミア殿下の件を相談しなかったのですか?」


 と、かなり責められていた。ごもっともすぎて、父上も何も言えなかった様だ。やっと平和を取り戻した我が国。


 ラミア殿下という強力な後ろ盾を無くした兄上の勢力は、一気に衰退した。そして


「賛成多数で、ジェイデン殿下は王太子の座をはく奪、新たにサミュエル殿下が王太子殿下に就任する事が決定いたしました」


 貴族会議で、正式に僕が王太子になる事が決まったのだった。

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