第15話:キャリーヌは私の大切な人です~ミリアム視点~
次回、キャリーヌ視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
キャリーヌと友達になって、1週間。今までの生活が180度変わった。
ずっと私の世界は灰色だった。ずっと孤独だった。誰も私の事なんて興味がない、誰も私を見てくれようとしない。私なんて、居る意味があるのだろうか…
そんな日々の中、出会ったキャリーヌ。灰色だった世界に色が付いた。孤独で押しつぶされそうだった心が、晴れやかな気持ちになった。
毎日が楽しくて楽しくて、こんな日々がずっと続いて欲しいと思うくらいに…私には、キャリーヌがいてくれればいい。彼女がいてくれるだけで、私は幸せなのだ。
相変わらず私は、まだ自分の気持ちをうまく表現する事が出来ない。でも、そんな私の気持ちを、キャリーヌは上手く読み取ってくれるのだ。
「ミリアム様は本当に素直ではないのですから。でも、そこもミリアム様の魅力ですわ」
キャリーヌはそう言って、私の失言も笑い飛ばしてくれるのだ。どうして彼女は、こんなにも私に寄り添ってくれるのだろう。そう思うくらい、キャリーヌと一緒にいると、居心地がいい。
ただ、キャリーヌは本当に素敵な令嬢だ。今は嫉妬に狂った令嬢たちがキャリーヌを嫌っているが、万が一キャリーヌの魅力に令嬢たちが気付いたら…いつか私から離れていくのではないか?そうしたら私はまた、1人ボッチになってしまう。
密かにそんな恐怖を抱えているのだ。キャリーヌ、お願い。どうか私を捨てないで。やっと出来た、私の大切な友達を失いたくはない。
そんな中、事件は起きてしまった。裁縫セットを忘れた令嬢に、キャリーヌが2つ持っているからと貸してあげたのだ。それがきっかけで、令嬢たちと和解したキャリーヌ。
さらにキャリーヌは、自分とも仲良くして欲しいと、令嬢に言い出したのだ。
そうか…やっぱり失言の多い私なんかよりも、令嬢たちと仲良くしたいわよね…
何となく分かっていたが、どうしようもなく胸が張り裂けそうになり、つい俯いてしまう。
ただ、令嬢たちは、私がキャリーヌと仲良くしている事を気にしている様で、自分たちと仲良くすると私が嫌がるのではないかと言い出したのだ。
私がいると、キャリーヌは他の令嬢と仲良く出来ないわよね。キャリーヌの為にも、私は彼女から離れるべきなのだろう。でも、やっと出来た大切なお友達を、失いたくはない。
キャリーヌはどう答えるのだろう…そう思っていると…
キョトンとした顔のキャリーヌが
「どうしてミリアム様が、あなた様達の事を嫌がるのですか?ミリアム様は、そんな人ではありませんよ。確かにミリアム様はご自分の気持ちを伝えるのが苦手なところがありますが、きっと皆さまと仲良くしたいと考えておりますわ。ねえ、ミリアム様」
そう言って私に話しを振って来たのだ。急に話をふられて完全にパニックになった私は、また訳の分からない事を言ってしまった。
そんな私をフォローしてくれるキャリーヌ。彼女の期待に応えなきゃ!そんな思いで、自分も皆と仲良くしたいと伝えた。
でも、こんな私が他の令嬢と仲良く何て出来るかしら?そんな不安を抱えながらも、その日は令嬢たちと一緒にお昼を頂いた。
上手く話せない私を、上手にフォローしてくれるキャリーヌのお陰で、なんとか皆と仲良く話すことが出来たのだ。まさか私が、こんな風に令嬢たちの輪に入れる日が来るだなんて…
それがなんだか嬉しくてたまらない。ただ、なんだかキャリーヌを他の令嬢に取られてしまった様で、悲しくもある。そんな私に気が付いたのか、キャリーヌが急に抱き着いて来たのだ。さらに
「ミリアム様、私ともずっとお友達でいて下さいね」
そう言ってそれはそれは美しい微笑を浮かべたのだ。もしかしたらキャリーヌは、私の心が読めるのかしら?そう思うほど、絶妙なタイミングだったのだ。
キャリーヌったら…
きっとキャリーヌは、これからもずっと、私のお友達でいてくれるだろう。彼女の微笑を見たら、なんだかそんな気がした。
私を孤独のどん底から救い出してくれたキャリーヌ。私に友達の素晴らしさを教えてくれたキャリーヌ。私の事を初めて知ろうとしてくれた大切な人。
キャリーヌ、この国に来てくれて本当にありがとう。あなたと出会えて、お友達になれたことが、嬉しくてたまらない。
もしこれから、あなたに何か辛い事や悲しい事が起こったら、私がキャリーヌを支えてあげたい。彼女が困っていたら、全力で守ってあげたい。だってあなたは、私の大切なお友達だから。
キャリーヌ、私のお友達になってくれてありがとう。私こそ、ずっとお友達でいて下さい。
キャリーヌの笑顔を見ながら、心の中でそう呟いたのだった。