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神堕としの王  作者: 皇洵璃音
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神堕としの王は賢者を名乗る神を愛でる

帝国の首都に辿り着くと、簡単に手続きが終わっていく。

客室に待機していたけれど、すぐに皇帝陛下に呼ばれて今回の功績を讃えられた。

帝国を貶めた中年男性こと男爵は、宵闇の地下道に幽閉及び恒久の整備を行う罰が与えられた。

今後は死よりも辛い償いを行うことになるのだろう。

これでひと段落したから、僕らは神殿へと帰ろうか、とナタリアと相談していた時だった。

こんこん、とノックが聞こえる。

ナタリアが扉を開けると、正装したライゼルとアイゼの姿があった。


「わぁ……!ふ、二人とも、皇子様だったんだ……!」

「アオ様はご存じだったんだよ、ナタリア。あぁ、じゃあアイゼ。また後で」

「え?え?ライゼル、どこ行くの?えぇー?」


ライゼルは優しい笑みを浮かべたまま、ナタリアの腕を引っ張って部屋の外へ行ってしまった。

二人が出て行ったのを確認したアイゼは、神妙な表情で扉を閉める。

正装した姿は初めて見た。元々体躯はすごく良かったけど、正装するともっとカッコよく見える。


「どこから話せばいいんだか……まずは、俺たちの目的が無事に達成された。協力に感謝する、賢者アオ」

「あ、アイゼが感謝しているのは初めて見たかも……」

「どれだけ無遠慮に見えてたんだよ、俺は……それと。この度、俺は次の皇帝になることが決まった」

「……ん?あれ、ライゼルは?確かあっちが第一皇子だったよね?」

「兄は俺の補佐役に回ることを決意表明した。今後は宰相として動くことになる。それで、武力の強い俺が皇帝の位に着く」


宰相になるのなら、たぶん公爵辺りの位を受けることになるのだろう。

あの様子だと、ナタリアを公爵夫人として求婚するのかもしれない。後で聞きに行かないと。

うんうん、と頷いてるとだんだんアイゼが僕の傍に近寄ってくる。

高身長の相手が傍にいるとすごく圧を感じて、思わず後ずさってしまったがすぐに抱きしめられた。


「……悪い手段だとはわかっている。けど、これからも俺の傍にいて欲しい」

「え?え?どう、いう……こと……?」

「……アオイ・ツクヨミ。次期皇帝アイゼフォン・E・プレリュードの妃となってくれ」


妃になれ。え、それってもしかして僕も求婚されちゃっているのかな。

それよりもどうして、アイゼが僕の本名を知っているのだろう。ゆっくりと抱擁から解放された後、服の中に忍ばせていた手帳を開く。

僕の住所がどこにも記載されていない。

たぶんこれは、帰り道がわからなくなったんだと思われる。


「……せ、世界に堕とされた……?帰れない……?」

「あぁ……だから言っただろ、悪い手段だって」

「え、えっと……つまり、僕はどうすれば……?」

「俺のお嫁さんになれば何不自由なく過ごせる。あと、戸籍が欲しいなら登録もできる」

「アイゼのお嫁さん……?え、あ……え?僕、夢見てる?」


現状が夢か現実かわからなくなって、混乱してきた。

まさか、自分の愛する推しと結婚できることになるなんて想像もしていなかった。


「起きてるし、現実だっての!あぁ、もういい加減頷いてくれよ!アオイ!」

「は、はいぃ……ふ、ふつつかもの、ですが……よろし……んぅうううう!!」


完全に返事をする前に、また抱きしめられて縊るを奪われた。

長い口づけの後、ようやく素面のアイゼが満面の笑みを浮かべている。

僕はどうやら、この次期皇帝に堕とされたようです。

後にこの結婚を行ったアイゼのことは「神堕としの王」として広く伝わることになったのでした。

その通りだから上手いこと言っていると思うよ。

この次期皇帝陛下が、ツンを失くすとすごいデレ全開で溺愛してくると僕が知るのは、それほど経たないことだった。

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