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【62】死

やって出来ない事は無いと思った。

悪魔の黒いモヤを吸収出来なければ、悪魔か悪魔の能力自体を奪って仕舞えば良いのだから……

しかし、それには僕が悪魔に近づくしかない為に完全に【黒死病】に感染してしまう。


死ぬ前の数分間の間に、全てを奪い取り! 悪魔を無力化出来れば僕の勝ちだ!!!


「……何をしている! 主人!!!」

「主人様!!!」

「あるじー!!!」

「天音ーーー!!!」

「主人様ーーー!!!」


「来るな!!!」


皆んなの叫びとは裏腹に、僕の予想通りに悪魔の黒いモヤは僕の右腕に奪い取られ! 

吸収されていった。


そして、僕の右手は……どんどん黒く変色していった。


「もう、やめろ! 主人!!!」

「死んでしまいます!!!」

「天音!!! それ以上! 続けたらブッ飛ばすわよ!!!」


皆んなの声は聞こえている。

しかし、やめる事は出来ない!!!

僕は、皆んなを助けたいんだ!!!  

僕なんかを助け……

支えてくれた皆んなを、街の人達を……


「フフフ……面白い事を考えますね。

あなた1人の命と引き換えに、皆んなを助けますか? 自分だけ助かれば良いものを……」


「……いいんだ。 皆んな僕の大切な仲間だから!!!」


「……そうですか。

でも、私もそう易々と諦めませんけどね」


そう言うと、悪魔は【粘糸】で動けないが……

片手の向きを変えると、爪を伸ばし!

僕のお腹を串刺しにした。


「ゔゥ……」


「これで、私が吸収されるのが先か? 貴方が死ぬのが先か? 面白くなって来ましたね」


そう言って笑う悪魔……

僕は、吐血しながらも意識を保つ為に必死に耐える……

(遠くから皆んなの叫ぶ声が聞こえる気がする……)


悪魔の黒いモヤを吸収し終える頃には、僕は腕まで黒く変色していた。


「……おや? 不思議ですね。

普通なら全身真っ黒になって死んでいてもおかしく無いのに……」


僕は、悪魔が何を言っているのかも理解出来ないくらい意識が朦朧としていた。

ただ、あと少し……悪魔自体を吸収するまでは…………


そして、悪魔は……


「貴方だけでも、一緒に来て(死んで)もらいますよ!」


そう言って、わざと自分を吸収させると……


僕は全てを奪い取ったと思うと……意識を失った。


そして、意識を失った僕は地上へと落下して行く!


それを寸前の所で、アルがキャッチをすると! ゆっくりと地面に下ろした。


地面に降ろされた僕は、呪いと悪魔を吸収した事により。

腕までだった黒死病は、肩まで侵食していく……


(皆んなの慌てふためく声と……2人のハッキリとした声が聞こえてくる)

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