【0.97】仲間。
何でも方向性の違いで揉めているようで……
「何で!!! お前らは、そうなんだ!!!
俺は、もっと上を目指したい!!!
もし、それが出来ないのなら……俺は、このパーティーを抜ける!!!」
身体の大きな男が、そう叫ぶ!
職業は多分!? 戦士であろう……
大きな斧に所々露出している鍛え抜かれた肉体が、それを物語っている。
彼はDランクパーティーのメンバーみたいで、Dランクと言えば報酬の高い! 高ランクのクエストも受ける事の出来る実力者と言える。
なので、彼のパーティーは金銭面的には安定していて彼の言う。
もっと上とは危険度も格段に上がる為……
Dランクで満足する者だって居るし。
安全の為にお金を貯めて装備を揃えてからCランクを目指す者も多い。
しかし、そこで足止めをくらうも者も多いので、一気に駆け上がりたい彼の気持ちも分かる。
でも、安全をとるパーティーメンバーの気持ちも分かる。
両方とも間違ってない。
だから誰も何も、言えないでいると……
ラッシュが戦士の彼に話しかけた!!!
「君は、そのパーティーを抜けるのか?
なら、俺達のパーティーに入らないか?」
「はあ? お前ランクは?」
「今さっきEランクになった、ばかりだ!
パーティーメンバーは、あそこに居る。
言っておくが! 俺達は止まらない。
いずれは、勇者パーティーになる!!!」
「はあ? お前らみたいな新米冒険者が勇者?」
「ああ。」
ギルド中の人達が笑い出した!!!
しかし、ラッシュは真面目な顔をしたまま……
戦士の男も笑ってはいなかった。
そして、戦士の男が一言……
「……はぁ……。
お前らだけじゃ……無理だな!!!」
その言葉に周りの人達が、はやし立てる!
「そうだ! そうだ! その身の程知らずに言ってやれ! ゴウセル!!!」
ラッシュは、まだ真剣な顔……
「俺の名はゴウセル!!!
俺が! お前達を勇者パーティーにしてやるよ!!!」
そう言うと! さっきまで騒いでいたギルドが静かになった。
そして、ラッシュが……
「ああ、よろしく。 ゴウセル!!!
今日からお前も【星の光】のメンバーだ!!!」
そうして、2人は拳を合わせると……
握手をして、ゴウセルが仲間になった。
僕は、この時! 改めて思った……
やっぱり! 星の光のリーダーはラッシュだと!!!
その後、ゴウセルは元のパーティーに色々と言われていたが……
そのままパーティーを抜けて僕達とパーティー登録を行なった。
そして、自己紹介をしていると……
ギルドの端に1人で座っていた。
少し背の低い全身黒ずくめの! ザ・魔法使いという様な格好女性が、ツカッツカッ! と近づいてくると……
「私も仲間に入れてもらえないかしら……」
そう話しかけて来た。
名前はソフィ、年齢は15歳! 目元がキリッと鋭い魔法使いの女の子。
今日、冒険者登録をした所らしく……
僕達は、ソフィを歓迎した。
そして、星の光は
ラッシュ、僕、マーリン、ゴウセル、ソフィの5人パーティーとなった。
その後は、全員で自己紹介! ゴウセルは16歳で、僕達の一年先輩の冒険者らしく……
「分からない事が、あれば! 何でも聞け!」
そう言われて、何とも頼もしいと思った。
そして、僕の職業について話すと……
少し睨まれた気がしたが、ラッシュが説明をすると!
皆んなの顔が普通になったので、誤解が解けて! よかったと思った。
そして、最後にラッシュが……
「俺達…… 【星の光】は、パーティーであり! 家族だ!!!
だから俺は、家族を裏切らない!」
そう付け加える。
僕は、この世界に来て! 2度目の家族の暖かみを知った。
その後は、皆んなで食事をとるとバラバラの宿に帰って行った。




