【153】拘束
天音達が居なくなった後、捕まった私は両手両足を拘束され吊るされた状態で牢屋に収監された。
この牢屋は、魔物が弱体化する魔法がかけられている為に拘束具を破壊する事は不可能……
しかし
私のすべき事は、もう終わった。
鬼人族の封印された力の解放、それを天音に託した。
なら一族の悲願は果たされた。
それだけで、私は十分だ……
そして、私は自分が殺されるのを待っていたが……
数日が経っても殺される事は無かった。
何でも牢獄の警備兵の話を聞く限り
私を餌に、大物の魔物を誘き出し殺す為の計画が練られているらしい。
『きっと、アクアの事だ……』
アクアは、分かる者が見れば分かる。
あれは異常だ!
ダンジョンボスが、地上を自由に歩き回っている。
人間からしたら脅威以外の何者でも無い。
まぁ、それを言ったら力を解放した私達、鬼人も人間達からしたら同じくらい脅威になるかも知れない。
そんな事があって、数日が過ぎた頃……
牢獄を監視している兵士が2人現れた。
牢獄の鍵を開けて1人が中に入って来ると
「……おい。起きろ!!!」
「………………」
私が少しだけ顔を上げて、その兵士を見ると
「お前、仲間の化け物が助けに来るまで暇だろ! 俺が遊んでやるから喜べ!!!」
「…………。」
すると、牢獄の外の兵士が
「おい、何する気だ?」
「いや……この鬼人の女を見てたら、襲ってやりたくなってよ!
魔物のくせーに、顔だけは良いからな!
俺が楽しんでやろうと思ってよ。
別に良いだろ! どおせ殺すんだし。」
「いや、ダメだろ!
殺すのは、こいつの仲間を誘き寄せてからだ。
それまでは、生かしておくって言ってただろ!」
「分かってる。
別に殺しやしない……ただ……こいつを見てると我慢できなくなっちまうだ!
少し楽しむくらいは良いだろ!!!」
「やめておけ! そんな事を知られたら教団に入れなくなるぞ、お前!
それに神官様にバレたら異端として殺させるかもしれねーぞ!」
「いいだろ!
俺は、もう我慢できねーんだ!!!」
そう叫んで、兵士の1人は襲いかかって来た……




