【0.91】 憧れと現実。
森に入ると……
微かに「きゃゃーぁーーー！！！」と言う声が聞こえた気がした。
僕は声の方に急ぐと……
ミーナを発見した！！！
なんと！ レットボアに襲われていた。
僕は急いでレットボアに爆薬を投げつける。
ボォンッ！！！
と言う音と共にレットボアが僕に気づくと！
標的をこちらに向けて来た。
僕目掛けて突進して来るレットボアを何とか交わすと！！！
僕はミーナと木の上に避難した。
「……お兄ちゃん、ありがとう」
ミーナは僕の腕の中で震えながら感謝を伝えて来た。
僕はミーナの頭を優しく撫でると……
「大丈夫だよ。 すぐに村に帰ろうね」
そう言った。
この時の僕は、ミーナの目から見たら……
憧れた！ ガシュ達にの様に、映ったのだろうか？
そんな事を考えているとレットボアが僕達の上った木に突進して来た！！！
僕とミーナは、振り落とされない様に木にしがみついた。
あの程度の攻撃ではレットボアに傷一つ与えられていない様だった。
そして、ミーナが……
「……どうしたの？ お兄ちゃん、モンスターを倒さないの？」
そう聞かれたので……
「倒さないのではなく！ 倒せないのだよ！！！」
そう答えた。
そして、ミーナは不安そうな顔になったので
「大丈夫！ お兄ちゃんに任せて！！！」
そう言って、ミーナをヒモでグルグル巻きに自分に縛り付けた。
「何これ？」
「実は、お兄ちゃん力もないから……
ミーナを抱っこしては、木に飛び移れないから背負う事にした」
そう言うと……
少し幻滅された。
……だって、しょうがないじゃないか！！！
僕だって！ レットボアを華麗にやっつけたり。 女の子をお姫様抱っこしてピョンピョン飛んでみたいよ！
でも、強くないし！ 力もないから……
これが！ 最善の策なんだ！！！
そんな事を思いながら僕は、木から木へと飛び移った。
木から木へと飛び移る際、少し落ちそうになると！ ミーナは余りの恐怖から悲鳴を上げ続けていた。
僕は、耳元で五月蝿いのでミーナの口元を布で押さえた。
ミーナからは「……ゥ……ゥゥ……」 と小さい声しか出なくなった。
そして、その声もいつの間にか聞こえなくなった頃……僕は森を抜けた！
いつの間にかレットボアも居なくなっていた。
そして、ミーナも寝たみたい！なので、そのまま草原を歩いていると……
ミーナの父親達が助けに来てくれた！
そして、僕に……
剣を向けて来る！！！
「……？」
何故か目が血走っている。
「……どうしましたか？」
そう言うと、いきなり斬りつけて来た！！！
僕が避けると……
「チッッ！！！」
「ちょっと……危ないですよ！！！」
そう言ったが、無視をされ！ 周りを囲まれた。
そして！ 「やるぞ……」
ミーナの父親のその声に皆んなの殺気が一段と強くなった。
僕は対話をしようと試みたが、今の状況を整理した。
ミーナをヒモでグルグル巻きにして背負っている僕……ミーナは、気絶をしている為に説明は無理。
そして、ミーナの父親は人を嫌っている。
しかも……1番嫌って居るのは人攫い！！！
今の僕の姿は、そんなふうに見えるだろう。
それにミーナの父親達が僕に向ける目は、前世で見た事がある。
この目をして居る人は、話を聞いてくれない。
しかも、何か発言すると怒り出す！！！
僕は、言い訳をするのを諦めて……
ゆっくりと……ミーナを地面に降ろすと……
煙幕を発動する！！！
ミーナ父親達が呆気に取られて居る隙に、僕は逃げ出した！！！
僕は急いで森に入り……レットボアの方へと進んだ！！！
レットボアを見つけると、また煙幕を発動してレッドボアをやり過ごす。
その後……
僕を追って来た！ ミーナの父親達の叫び声が聞こえた気がしたので……
「どうか……死なないで下さい」
そう言いながら手を合わせた。
そして、先を急ぐ！！！ 追いつかれたら僕が殺されるから……
そのまま僕は、王都を目指した！！！
