【145】逃げる
紅姫の姿が無い。
「……どう言う事だ!!!」
僕が急いで結界まで戻ると
そこには、結界から抜け出せない紅姫の姿が……
「待ってて!
紅姫、直ぐ助けるから!!!」
すると、神官達が現れた。
「1人取り逃しましたが……
魔族の女だけは閉じ込める事に成功したみたいですね。
あの魔物を捕えなさい!」
「はッ!」
すると……
紅姫は、拘束魔法により。
自由を奪われた!
「やめろーーー!!!」
僕が怒りに任せて結界を殴りつけると……
バリバリバリバリッ………!!!
「ぎゃあぁぁぁぁー!!!」
結界魔法により攻撃を受けた!
そんな僕を見て、紅姫は……
「役に立たない人形ね!!!
アンタみたいな役立たずの人形は、用済み。必要ないからどっかに消えなさい!
邪魔よ。」
そう、冷たく言い放つ紅姫……
「魔物に操られるとは、何とも愚かな人間ですね。
まぁ、良いでしょう! 愚かにも操られたとは言え……天音様が人間という事は分かっております。
この魔物を殺せば貴方を救ってあげる事も出来るやもしれません。」
僕は、その意図を理解した。
紅姫は僕に要らぬ疑いが掛からぬ様に、魔物に操られてただけで……
僕には、何の罪もない。
そんな風に、僕を守ろうとしている!
そして、それを理解した僕は……
結界に向かって!
「ファイヤーボール!!! ウォーターボルト!!! 月光牙ーーー!!!」
「・・・・・・。」
……バチッ! バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリッ!!!
「ぎやあぁあぁあぁぁぁーーー!!!」
結界の魔法により物凄いダメージを受けてしまった。
「もう! いいわ。私の事は、良いから逃げなさい!」
そう必死に訴える紅姫に、ボロボロの僕は……
「ま……っ……てて……すぐ……助ける……から!」
「助けなくて良いから! 逃げろバカ!!!」
「何を言っているのですか? 魔物風情が!
天音様を魔物の手から助けてあげられるのは、我々だけです。
誰が誰から逃げるのですか? 訳のわからない事を言わないで頂きたい。」
僕は、最後の力を振り絞り……
ガイアの時に使った極大魔法を放とうとする。
すると!
「マスター! マスター!!!
これは、いったい! どーゆー状況ですか!?」
「アクア! 天音に、その魔法を使わせてはいけない!!! この結界は、攻撃された威力の魔法を跳ね返すの!!!」
「えっ? えっ!? はい!」
それを聞いたアクアは、天音の魔力を抑え込むと……結界に触れた。
バチんッ!!!
アクアの腕が消し飛んだ!!!
「……この結界は、厄介ですね。」
それを見た神官達が……
「何だ!? 何なんだ!? コイツは……
結界が触れただけで!
ここまで拒絶するとは……」
「しかも、この女! 普通の魔物ではありません!!! この魔力量……
ダンジョンボスを遥かに超えます!!!」
「こんな奴、野放しには出来ん!!!」
「アクア! 天音を連れて逃げてー!!!」
「ダメだ……アクア……紅姫を……助け……」
すると、アクアは僕を抱えると!
「一度、体勢を整えます!」
神官達が構えると!
「逃すかー!!!」
「転送……」
ブッウン……
アクアは、ダンジョンルーム避難した。
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あとがき
「くそッ……
あんな化け物を逃がしてしまうとは、なんたる不覚!
あやつは、逃がしてはいけなかった……。」
「神官様……
では!
この娘を餌に、あやつらを誘き出しては……」
「それは……良き考えかもしれん。
では!
その鬼人の娘を殺すのは、後回しにする。」
「承知しました。では、連れて帰るぞ!」
そうして、紅姫は神官達に捕えられた。




