【0.86】 真実
お爺さんとお婆さんは、いつにも増して真剣な顔をしている。
僕は、黙って2人の話を聞いた。
「……アマネ、実は……お主は、この村の子供……
わしらの孫では、ない……」
「・・・？」
何を真剣な顔で話すのかと思えば……
幼い頃の記憶……いや！ 前世の記憶すらある僕は、全て知っている。
しかし、お爺さんとお婆さんには
その事は話していない……
その事を2人は、僕に伝えようと
だから、こんなにも真剣な顔を……
しかし、何故！？
そんな事を今更……？
「……それが……どうしたの？」
「……………………」
2人は、顔を見合わせる。
「…………いや！ じゃなかった。
知ってるよ！ 2人が僕の本当の家族じゃ無いって事は……」
「！！！」
凄く驚いた顔をされた。
「……だって！ お爺ちゃんとお婆ちゃんの髪の毛の色は、白じゃないか。
僕の髪は黒だし！ それくらいの事は、分かるよ！」
「はぁ〜……」
少しため息を吐いた後……
「元々は、わしもお婆さんも黒髪じゃ！！！
これは、年を取り白髪になったんじゃ！
そんな事も分からんとは、わしらはお主の事を優秀じゃと思っておったのじゃが……
勘違い！ だった様じゃな！！！
年をとった事を気にせん様にしていたのに！
改に自覚させるとは、なんて奴じゃ！！！」
めちゃくちゃ早口で、怒られた。
「……まぁ……それは、冗談として！
本当に、知ってたよ」
「・・・・・・」
あんなに饒舌だったのに、また黙ってしまった。
「……何故？ 知っておるのじゃ？」
……僕は、正直に話す事にした。
前世の記憶を残している事は、黙っておくが……
赤ちゃんの時の記憶がある事は、話す事にした。
2人は、僕の話を真剣に聞くと……
「……ては！ わしらが、お主を殺そうとした事も分かっておったのか！？」
「……まぁ…………」
「では！ あの時の天の声も、お主なのか？」
「……それは、分からない。
あの時の僕は、話す事は出来なかっただろうし
それに、あの時！ なんて言ったかなんて覚えていないよ」
すると！ お婆さんが……
「……本当の両親の事は、覚えていないのですか？」
僕は、正直に答える。
「覚えていない……
僕が、覚えているのは馬車が木に激突した辺りからで、その時すでに人の姿は無かった」
「……そうですか…………」
そして、2人は少し黙った後……
「とりあえず！ 分かっているのなら話は早い！！！」
……そうだ！ まだ、話は終わっていなかった。
ここからが、本題って言ってたし。
僕は、お爺さんの話に耳を傾けた……
お爺さんの話は、僕が後2年後にこの村を出ると言う事だった。
何でも……
この世界では13歳で成人の為。
13歳になってから【自由では無くなる】と言う話で村人達を説得したらしい。
だから成人する前に、この村を旅立てとの事だった。
お爺さんもお婆さんも僕に冒険者になる夢を諦めろ！ とは、一言も言わなかった。
むしろ僕を逃がそうとしてくれているし、影ならが応援してくれているのだ！
僕は、それが凄く嬉しくて仕方がなかった。
そして、僕は覚悟を決めて！
「分かった！」
そう返事をした。
そして、お爺さんは言った……
「なので……お主には明日から地獄の特訓を受けてもらう。
それを成し遂げられなければ、この村を旅立つ事は許さん！！！」
そう言われた。
そして、次の日から……
お爺さんとお婆さんに、よる地獄の特訓が始まった！！！
