【96】理由
「……ぉ……にぃ……ちゃん……お兄ちゃん!」
「…………ぇ……ぁぁ…………!」
「お兄ちゃんが、何で?
こっちの世界に居るの……?」
「……ボク……僕は……死んで、こちらの世界に転生したんだ……。」
ドキッ!!!
ドクッ! ドクドクッ……ドクドクッ……
その言葉を口にした途端、心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
「…………………………………ゅ……ゆい……は?」
「アリーーーース!!! 何してやがる!?
そいつを早く殺せ!!!」
「お兄ちゃん!!! 逃げて!!!」
「……ちょっと待ってくれ……!!!」
『頭の整理が追いつかない……
ゆいが……ゆいが……こちらの世界に居るって事は……!?』
「ぉにぃちゃん……おにーーちゃん!!!」
「……分かった! 今は、ガイアを倒す事に集中する! ゆい!!! よーく聞け……僕達は、他の世界から来た。だから、記憶……魂がこの世界のものではない! だから、ガイアの能力に抵抗が出来る!!!
だから、問題ない!!!」
「違うの!!! 私は、大丈夫だけど……もう1人の子が……」
「もう1人の子……? どう言う事!?」
「私がこの世界に転生した時、ママのお腹の中には、私と、もう1人居たの。
でもね! もう1人の子は生まれる前に、お腹の中で死んでしまったの……
でもね。【生きたい】って言ったの。だから……私は、もう1人の子の魂を体に受け入れたの。
だからね……私は、パパに抵抗出来ても、ママが危険になるとアリスが出て来て! パパの命令に従っちゃうの。
この子は、まだ子供なの……だから、ママが居ないといけないから。
だから、逃げて! お兄ちゃん」
『……そう言う事だったのか! ガイアがゆいをコントロール出来ない理由……そして、操る方法……』
「でも、大丈夫……」
「アリーーース!!! 母親が、どーなってもいいのかぁーーー!!!」
「…………ッ…………ぉ……にぃ……ちゃ……ん……
もう……限界…………」
すると、その言葉を残して! ゆいは、また目の輝きが失われ……オーラを纏い出した!
「……ま……まってくれ! ゆい……いやッ!
アリス! 僕は、君と争う気は無い!」
しかし、アリスは……
「やれ! アリス!!!」
ガイアの命令で動き出した!!!
「……クソー!!! もう少しなのに……
な……何か方法は……!!!」
その時……
天音に聞こえて来たのは!?
「あるじ〜。」
「主人!!!」
「主人様ーーー!!!」
頼りになる。仲間の声!!!




