【81】面白い事
外に出た僕達と茨の盗賊団。
しかし、そこにガイアの姿は、無かったが……
僕達は、他の盗賊達と戦闘となる。
戦闘が始まりすぐに、気づいた事だが茨の盗賊団は、かなり強かった。
人数もさる事ながら……一人一人の実力が、かなり高い。
僕は、ガイアの側に居た屈強な男と戦ったが……
実力は、確実に僕より上で紅姫と互角ぐらいだと思った。
いつも紅姫に特訓してもらってる。
僕だって、そう簡単には負ける訳にはいかない!
でなければ、訓練に付き合ってくれてる紅姫に怒られてしまう。
そうして、ガイアの付人と戦い続けている間に……
フェルやユキ、紅姫達は次々と盗賊達を倒して行った!!!
僕が気づいた時には、ほとんどの盗賊達は地面に倒れ!
残すは、僕とガイアの右腕の付き人との一騎打ちを見守る形となっていた。
そして、お互いに消耗して……
そろそろ決着が着きそう時に、ガイアがやっと外へと姿を現した!
「中々やるじゃねーか!!!
ここまで、やられるとは思わなかったぜ。
こっちも最終兵器を使わせてもらおうか!」
そう言うと……
アジトの中からガイアの後を追いかける様に1人の女性が姿を現した!
その女性は、ガイアの足元にすがりつくと……
ガイアは、その女性を殴り飛ばした。
「何だお前、お前なんかに用はない!」
殴り飛ばされた女性は、僕の前に倒れ込んだ……
そして、1人の男が走ってくると
「申し訳ございません! いきなり暴れて飛び出して行ってしまいました。」
男がそう説明するとガイアは、その男の事を殴り飛ばし……
「コイツじゃなく! ガキを連れて来い!」
「はッ……はい!」
そして、僕は殴られた女性に近づき
「大丈夫ですか?」
そう声をかけ顔を上げる女性を覗くと……
「……お母さん!!!」
いやっ! 違う違う……居るはずが無い!
ここは異世界! 前世の母親が、居るバスが無いんだ!!!
そうわかっていても、前世の母に顔がそっくりな、その女性を他人とは思えないでいた。
そして、その女性は弱々しい細く綺麗なその手で僕の頬に触れると……抱きついて来た。
「ハハッ……何だ!? 母親にでも似ているのか?
たが、残念ながら! その女には娘しかいない。
間違っても、お前の母親ではないぞ!!!」
「……そんな事は、分かっている!!!
僕に親は居ない。
ただ……間違えただけだ!!!」
「ハッ……何だ!? お前! 親に捨てられたのかッ!!! それは残念だったな!!!
まぁ、あのクソジジイ達のガキだ。
そのくらい平気で、やるだろーよ!!!」
「お爺ちゃん達を馬鹿にするな!!!
あの人達とは、血の繋がりは無いが……
彼らは、そんな僕を育ててくれた恩人だ!」
そう話している間も女性は、僕に抱きつき離れない。
それを見ながら……
「……へぇ……お前、アイツらの本当の孫では無いのか……
所で、お前! 歳はいくつだ!?」
「……歳? 歳なら13歳だけど……」
「……そうか。」
「……天音! ずっと、言いたかったのだけど……何で? その男の質問に全て答えるの!? 喋ってないで、やっつければイイじゃない!!!」
紅姫に言われて、ハッとした!
「……確かに」
何故!? 僕は、この男の問いに全て答えているのか……
「おい! マルシェ……お前、さっきから抱きついているが、そのガキを知っているのか?」
女性は、僕の顔を覗き込んでくる……
「……やっぱりか! 実は、その女は俺のスキルで行動や感情に制限をかけている。
なのに、おまえの前にいきなり現れた!」
「それが何だ!?」
アイツが何を言っているか、さっぱり分からない。
そして、ガイアは続ける。
「その女は、俺のガキを2人産ませている。
妹の方は、俺の手元に居るが……
兄貴の方は、13年前にコイツが自分の手で殺したと思っていたが、しかし、コイツの反応を見る限り……間違いないな!」
……どう言う事だ……!?
ガイアの言っている事が、正しければ!
この女性は、僕の母親でガイアは僕の父親……
そんなはずがない……
それが本当なら、どうして……
この人は、僕を捨てた。
「そんなはずがない……」
「そんな事は、無いぜ!
試しに、確かめてやろうか!?」
「どうやって!?」
そう言うと……ガイアは、僕に
「止まれ!」
そう叫んだ。
そして、僕は何を言っているのかと思いながら……
動こうとするが、体が言う事を聞かない。
「……ど……どう言う事だ!」
「やっぱり! そうか……ハハハッ!
これは、面白くなって来た!!!
教えてやるよ! 何故その女が、お前を捨てた理由と、お前が動けない理由をな!!!」




