【0.75】 恩恵
それから……僕は10歳になった。
僕が10歳になると、村には王都から恩恵を鑑定する神官が呼ばれた。
この村では長い事、恩恵の鑑定が行われていなかったが……
僕が村の人達や村長のお爺さんを説得して久しぶりに鑑定が、行われる事となった。
5歳の頃から村の村長である。
お爺さんの手伝いをしていた僕は、嬉しい勘違いで！ 優秀だと思われ。
僕の恩恵や冒険者になる事を待ち望んでくれる人も増えて来た為に、今回のこの企画が行われる事となった。
長く行われていなかった為に、結構の子供が鑑定をする事となる。
しかし、この国では13歳で成人の為。
13歳以上で、ギルド登録を行なっている者はステータスで自分のスキルや恩恵を確認出来るので、その者達……15歳以上の人は除外となった。
そして、年上から順番に恩恵の鑑定が行われた……
順々に鑑定が行われたが、恩恵の持ちの人は
ほとんど居なかった。
しかも、恩恵が確認できた人も……
料理、速歩、踊り、など！ 戦闘に直接的に関係するスキルでは無かった。
「恩恵持ちって、意外とすくないんだなぁ〜……」
そんな事を口にすると！ お爺さんから当たり前じゃ……
楽して強くなろうと思うな！！！
そう、お叱りを受けた。
僕は、別にそんなつもりで言ったわけではなく……
この世界の事は、よく分からないが……
半分くらいの人が、恩恵を貰えるのかと思っていたので
何となく口走ってしまっただけで、ある。
そして、やっと自分の番が回って来ると！
ドキドキしながらも……
余り期待しては居なかった。
何故なら！ 僕は、魔法も剣術も才能がない。
それは、分かっているので……
もし、そんな僕に神様からの恩恵があったとしても……
差し詰め！ 裁縫……そんなもんだろう。
しかし、村人達は僕に期待をして集まって来た！
5歳から村長である。お爺さんを手伝い！
村の問題解決を数々行って来た僕は側から見れば、とても優秀に見えるに違いない。
だか、現実は違う。
前世の記憶を持って生まれた為……
5歳だって出来る事が多かっただけだ！
しかし、10歳になってしまえば……普通の村の子供と何ら変わり無い。
今までは、皆んなを騙している様で心苦しかったが……
これからは、特別扱いされる事は減って行くだろう。
そして、自分の番が回って来て神官が鑑定を行う……
ここで良い恩恵が見つかれば、僕は奴隷となる事は無くなる。
無くても別に良いが、ある事に越した事はない！
「・・・」
少しの沈黙……
神官は大抵、恩恵が無いと黙りとする。
そして、『……ありません！』そう答える。
この黙りは、僕も恩恵は無かったのであろう……
神官！ 溜めるな！！！ 皆んな期待してしまう。
早く言ってくれ！！！
すると……
「……あり…………ます……！」
神官が歯切れが悪そうに、そう呟いた。
しかし、僕は喜び！ 驚き！
村人達も多いに喜んだ！！！
しかし……
1人の村人が、
「恩恵は……
神様からのギフトは、何なのでしょうか？」
そう尋ねると…….
「この者の神様からの恩恵は、職業スキルになる為……固定のユニークスキルとなるでしょう。」
「おおー！！！」
それを聞いて、みんな盛り上がった！
僕も冷静を装っては居るが……
心の中！ 内心は、穏やかでは無かった。
そして……
でッ！！！ 僕の恩恵は！！！！！！
「で！ アマネの恩恵とは？」
