第13話:あっはっは~・・・どうしよ・・・。
「おお、漸く気がついたか。無視されてるのかと思ったぞ」
目の前にいる金髪の背の高い男が言う。・・・背の高い奴とイケメンは死ねっ!
こんなことを思っているせいで、かなり嫌悪感が顔に出ていると思うな。
「何か用?あ、ないよね。僕には今火急の用事があるから。それじゃ」
自己完結し、そこから立ち去ろうとするも、
「ちょ!?待てって!」
肩を掴まれる。しかも、無駄に強い・・・。
「放してくれない?痛いし」
「ならこっちの話を聞け」
「わかったから手短にね。結構死活問題なんだから」
ミリス辺りがキレてるかも・・・いやだなぁ、またビリビリ飛ばされたりしたら・・・。
「お前、強いだろ?だから勝負しろ!」
いやだ・・・と言いたかったがすでに相手は背にあった身の丈ほどの大剣を抜刀。振りかざす。って!
「ほうあっ!!」
モンハンよろしく横っ跳びで回避。
ドスン!
見ればさっきまで僕のいたところにはクレーターが!
「おい!殺す気か!」
あんなのに当たったら即死だからな!
「いや、当たらなかったからいいじゃねえか」
結果論かよ!
「まぁいい、構えないと死ぬぞ!」
そう言ってまたこっちに振ってくる。今度はクナイを片手に装備し、受け流すと同時に相手の力を利用して跳び距離をとる。
「はは!面白いな!俺の目に狂いはなかったみたいだな!」
いえ、完璧に間違いです。避けたりできても攻撃できなきゃ意味ないしね。あ~あどうしよ・・・。でもこいつの性格からしたら終わるまで済まないだろうし・・・。う~む・・・。
「そらっ!考え込んでると痛い目見るぞ!」
いや、ある程度距離さえとっておけば避ける事自体は簡単なんだ。でもさ・・・、
「攻撃してこないのかよ!」
だからできないんだよ!こちとら戦闘能力なんて皆無に等しいんだから!避けることしかできないんだよこのやろー。
でもこのままじゃじり貧だよな・・・。もういいや、魔法を使おう。でもこいつに生半可な攻撃は効かないだろうからうろ覚えの中級魔法でも使うか・・・怖いけど。
クナイで相手の攻撃を受け流して避けつつ考えをまとめる。よく見ればまわりにはクレーターがいっぱいできている。どんだけ力強いんだよ・・・。
まぁいい。さっさとやりますか。
「≪氷よ、万物を凍らせその命すらも永遠に閉じ込める力を我に示せ!≫」
瞬間、閃光弾のような光に僕も相手も目をつむる。
光も収まり、目をあけると・・・
吹雪が吹き荒れる極寒の洞窟でした・・・。
「寒っ・・・くない?」
あれ?どうしてだ?
「ん?ここはどこじゃ・・・ってトオル!何処に行っておったのじゃ!」
何故かクドがいる。
「トオルッ!」
うおっ!レンまで?なんなんだ一体・・・。
『我を呼び出したのは貴様か?』
ん?だれの声?
クドを見る・・・首を横に振る。
レンを見る・・・首を横に振る。
なんか隣にいたチャイナ服を着た青いおねーさんを見る・・・首を縦に振る・・・って、
「あんた誰っ!?」
流れにのって自然に見ちゃったけど知らない人だった!
『ん?我のこともわからずに呼び出したのか、貴様』
わーお、怒ってる?いや、絶対怒ってるよね!
「ねークド、この方が誰だかわかる?」
なんか身分ってか存在が超越してる感じがするから少し言葉づかいを直す。
「バカ者っ!この方は氷を司る晶霊、セルシウス様じゃ!」
え?マジで?
「マジじゃ!なんでこんなことになっとるんじゃ!」
え~っと・・・、
「・・・でその少年を1撃で倒すためにうろ覚えの魔法を使ったというわけじゃな?」
「まぁ、そうだね」
僕が言った瞬間、クドがプルプル震えだした。あれ?どうしたの?そんなに拳を強く握り締めてさ・・・ってうわぁっ!
「危ないじゃないかっ!」
なに!?なんでただの拳が轟とかうなりをあげてるの!?
「うるさいっ!お主はこの魔法がどういうものかわかっておるのか!」
「いえ、だから中級魔法でしょ?」
「バカ者が!ただの中級魔法ごときで精霊を呼び出せると本気で思うとるのか!」
「いや、そりゃ無理でしょ」
「この魔法は禁術じゃ。それも術者が死ぬかもしれぬな」
「え、マジ?」
「これからトオルはセルシウス様と戦うこととなる。どうやら妾とレンはトオルと契約を結んでおるからここに呼ばれとるみたいじゃな」
「なら、さっさとやろうか」
「・・・トオル、それがどういうことかわかっておるのじゃろうな」
めちゃくちゃ暗い声でクドが言う。
「まぁ、しょうがないでしょ。そうしないとここから出ることすらできないんだし」
ならばさっさとやって終わらせるべきだろう。
「一つだけ言っておく。死ぬなよ」
そう言ってクドは腕輪状態に戻った。
「トオル」
「どした?レン」
袖を引っ張ってきたレンに返事をする。
「わたしも頑張るから・・・トオルも頑張って」
「ああ、任せろ!」
「紅かる心、風を纏いて、契り籠ん!!!」
レンも大剣の状態になる。
『さて、話は済んだか?』
律儀にも待っていてくれたセルシウス・・・・様?
『様はいらない。一応貴様が呼び出しておるのだからな』
「そうですか。ならセルシウスさんで」
『ふふ、できれば長い付き合いにしたいものだな』
笑いながらセルシウスさんは言う。
「そうですね。僕もこんなところで死ぬわけにはいかないと思うんですよ」
まだまだここでの生活も始まったばかりだし。
『本当に面白い。貴様のような奴は久しぶりだ。さて、構えろ』
そう言ってセルシウスさんは半身になって左の拳を前に右手の拳を腰に構える。
「行くぞ、クド、レン」
『うむ』
『うん』
さて、死合いの始まりか・・・。
はい、訳のわからん展開来ました。作者も予想外の出来事です!
この小説は一体何を目指していくのだろう・・・。
今回登場したセルシウスですが、イメージとしてはTOEのものからとっております。わかるかな・・・?
さて、次回はセルシウスとの死合いです!(誤字ではありませんよ?)
お楽しみに~。