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少女2人の異世界巡り  作者: 夕日に染まる鎌ボコ
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バタフライ孤児院

「「ただいま戻りました~」」と、アンタルチカとメナムの凛とした声が大広間に響き渡る。

 すると、奥の方から一人の男性が出てきて「お二方ともよくぞご無事に戻ってきてくださいましたね。お怪我などは御座いませんか?」と彼は言葉を綴った。

 それに対しメナムは口を開き「たったの四時間程で、外はまだ完全に暗くなりきっていないというのにフォルティアさんは相変わらずの心配性ですね」と言った。

 その頃アンタルチカはというと、二人のやり取りを微笑ましく眺めていた。

 そして、フォルティアがメナムの発言に対して言葉を返す。

「そうですね~。私は昔から心配性かもしれませんが、お二方のことを大事に思っているからこそ、こう口うるさく毎回似たようなことを言ってしまうのかもしれません。それと、間もなく夕飯の支度が整うのでお二方も準備をし終えたら一階の食堂までお越しください」

「分かったわ」とメナム、「了解です」とアンタルチカの順に答えた...。

 そして時刻は午後六時を回る。

 二人は、一旦部屋に戻り身支度を済ませ一階にある食堂へと向かっていた。

「それにしても初めての外界は感慨深いものだったわね。あなたもそう思うでしょう?」

「そうだね。確かに街の中と外界で差があることは予想できても、あそこまで明確な違いがあるのには少し驚いたよ。けど、正直外界の自然には感動さえしたよ」と、アンタルチカがメナムの質問に対し答えた。

「そうね。街の青果店で売っている果物や街には無い植物とかが辺り一面に広がっていたというのはとても魅力的だったわね。それで、いつでも外界の天候が安定してくれていたら何も問題はないのだけどね...」と、メナムは少し気落ちした様子で言葉を綴った。

 そうしている間に二人は食堂の入口へと着いた。


 ここで一旦二人の住んでいる所についての説明をするとしよう。

 ここは、バタフライ孤児院というルーナディアでも屈指の規模を誇る孤児院だ。

 建物は地下を含め三階建てとなっており一階には、約八〇程の人数が席につくことのできる食堂、ここで働く職員たちの就寝部屋と子どもたちが勉学に励むことのできる教室のようなものが二部屋あり、そこではこの街の歴史~外界について今の段階で分かっていることについて学ぶことができる。

 そして、アンタルチカとメナムは順調に単位を取れたこともあり、現時点で最後の過程まで学び終えている。

 それは彼女らの覚えが他者よりも一段と早く、勉強熱心だったためだ。

 二階には、彼女らの部屋を含めて子供たち用の部屋が十八程あり、今は十部屋が使用されている。

 そして地下には大浴場がある。

 勿論浴場は混浴などではなく、しっかりと男女別になっている。

 以上がこの孤児院についての簡単な説明となる。

 そしてこれだけ立派な孤児院を彼、つまりフォルティアが一人で築きあげた。

 彼は元々この街でも有名な輸入商の一人で、現役時代に稼いだありったけの資産を、この孤児院の建設費用としたのだった。

 また、彼は昔から「恵まれない子どもだろうとなかろうと同じように教育を受けたり、食事を摂ったりする権利があるはずだ」というのが口癖であり、職から退くとその夢を叶えるための施設としてバタフライ孤児院を建てたのだった。

 そして二人の少女が何故ここに来ることになったのかということについては、また別の機会に説明するとしよう...。


 話は戻り、アンタルチカとメナムは食堂の入口をくぐり席へとついた。

 それから「お待たせいたしました」と、ここで働く料理人たちの声が響く。

 そして各席へと料理が配膳された。

 今日のメニューは、この街の郷土料理の具材の沢山入ったスープ、この街の野菜をふんだんに使用したサラダと、良質な小麦粉でつくられたブレッドだ。

 味はさることながら、アレルギー面に対してもきちんと配慮されている。

「いただきま~す」と食堂のあちこちで声が上がる。

 大人も子どもも隔たりなく己の食欲に従うがままに食べ進めていく。

 それから約一時間が経ち「ごちそうさまでした」と、食事の始まりと同様にあちこちで声が上がった。

 そして皆同じように空っぽになった食器を厨房の方へと返却し、各部屋へと戻っていった。



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