三階の探索を再開
やはり枕と布団で迎える朝というのはいいですね。
枕は起きた時には頭の下に無かったけど。
どうして起きたら手の届かない遠くまで行ってる時があるんでしょうね。
不思議でしょうがないですが、寝相そんなに悪いんでしょうか。
お泊りで友達の家で一緒のベッドに寝た時は何ともないんですが。一人だと何故か。
目覚めたら壁が至近距離にありました。
もう少しで頭打ってたかも……。良かったその前に目覚めて。
真ん中に寝たつもりだったんだけどなぁ。
布団も綿や布を詰めていないので、一晩経てば自分の重みでぺったりと窪んでいた。
例え埃でも何も敷かないで寝るよりは良かったとは思う。身体の楽さが違うもの。
他の場所も掃除したら、更に集めてこよう。せっかく使い道があるんだから有効活用。
睡眠は生活を支える大事な時間ですもの。
さて寝る前に脱いだお仕着せを身に纏って、と。
不味い食事をもそもそと済ませて、その不本意な刺激で全身がしゃっきりと目覚める。
トイレに行く必要はまだ無さそうだけど、いつでも行けるように経路を掃除しておきますか。
それから三階に行く経路を掃除して。余力があれば、あの部屋に行こう。
昨日使った灯りも棒も崩れているので、新しい守り石さんの棒を作って今度は光らせました。
掃除日と決めたからこれ一個で兼用でいいや。
ちゃっちゃとモップ掛けしちゃいましょう。
廊下は幅一杯を制御して一気に出来たけど、階段には結構時間を取られましたね。一段ずつだから。
あの部屋の前まで床の掃除が終わった頃には結構魔力を使いました。
埃の塊は、とりあえず各階の階段近くの脇に寄せておきました。
階段と一階廊下の分だけは回収して、敷き布団の補強用に。
これだけあれば、ぺたんこに固くなっても満足できる厚さは確保できそう。
王都に出たばかりの時に泊まった宿の布団よりはいい寝心地にはなるかと。
乏しい予算内で個室を優先したから、寝台なんて無くて今と同じように床に直敷きで。
自分で浄化しないと臭かった。きっと手入れしないで使い回してるんだろうなぁ。
個室に泊まれる宿としては破格の安さだったんだから仕方ないけどさ。
むしろ、女性部屋あります!と謳ってる大部屋系の宿の方が高かったくらい。
女性部屋が無いとこは……まともな宿ならやんわり断られるし、やばそうな宿は論外。
都に出てくる前にちゃんと、最低限身を守る予備知識は教えられてますよ。
少し疲れたな。
休憩と言ったって布団に座ってぼーっとするくらいしか出来る事ないんだよなぁ。
いっそ昼寝でもしちゃおうか?
でも時間わからないから仮眠なのか次の日まで寝てるのか謎だ。
まぁ、いいや。寝よう。
自分の中では昼寝のカウントなので日数用のミニクッションは動かさない。
軽~く、おやすみなさい。
……光る棒がまだ崩れてないから、仮眠だったはず。
でもいつ崩れるかわからないから新しいの作って持っていこうかなぁ。
あの部屋の中も埃だらけだから掃除して脇に寄せてから、詳しく見たいし。
いや、ダメか。
建物の見取り図や本のある場所には、棒を持ったまま近付かないようにしなくちゃ。
また変な現象が起きて、魔力を一気に持ってかれたら困る。
守り石さんを持ってなければ大丈夫だよね?
……大丈夫かな?
大丈夫な気がしないから、見取り図を光らせるのはやめておこう。
あの部屋から隣に繋がる扉の向こうをまだ見ていない。
そっちはどうなってるのかな。
本を安全な場所に隔離してから、窓を開けて見取り図を眺めるのはどうだろうか。
見取り図自体を光らせようとしなければ、本は本で離せば灯りで照らして読めるはず。
よし、まずは物を無視して隣の部屋を確認する。
棒は持ってるけど、床掃除はしないで入室。埃っぽいけど転がらなければ問題ない。
入口に近い方の隣に繋がる扉に手を掛けてみる。
手前に開くみたいですね。中は一階の小部屋と同じくらいの広さの行き止まり。
何にも無いようなので、床を綺麗にしてしまいましょう。
とりあえずは奥側の壁際に埃寄せておくだけにしといて、窓側の方の扉も見ますか。
こっちは幅は変わらないけど奥行きが倍くらいかな~、向こう側にも扉があって外壁の方には窓も付いてる。
ここの窓は開けてもいいかな?問題ないよね?
奥の扉を開けてみたらまた広い部屋。二つの主室を繋いでるって事かな。
どっちかが居間なんだろうか。貴族なら寝室を共にしない夫婦部屋って事もありうる。
この部屋には……何にもなさそう。ここも窓を開けて良さそうだ。
あ~、本は無いけど壁に見取り図と同じような大きさの枠があった。
でもこっちは縁取りだけだ。嵌め込んだような板が無くて、窪んだ部分は周囲の壁と同じ素材。
絵画とか飾ってたのかな~。ど~んと雄大な山の風景とかもこの大きさならできそう。
広いから、掃除は後でいいか。
対照的な形になってるから、隣の小部屋も同じ作りだよね。こっちは覗くだけで終了。
気になる部屋に戻ってきました。
本と見取り図どっちから見ようか。本は時間掛かりそうだな……見取り図にしよう。
棒を先に小部屋に置いてきてから、丁重に本を拾う。
埃の積もった装丁の材質は革っぽい。鎧みたいにガチガチに固い。
綺麗にした小部屋のど真ん中に安置して、とりあえずは後回し。
紙切れ一枚以上の文字って、私……読んだ事ないよ。
あれ一冊全部に文字が書いてあるとしたらと想像するだけで、うわぁとなる。
見取り図は絵みたいなものだから、大きくたって大丈夫。
さあ、窓を開けて。観察してみるぞ~。
案の定、見取り図は中央が二階で、右側が三階でした。地下は描いてない。
地下は入口が裏手しかないから完全に使用人専用スペースっぽいからかな。
建築の時に使った図面じゃなさそうだものね。飾る為にわざわざ作った板なんだろう。
二階は来賓をもてなす為の部屋が並んでいて、三階は領主一族の居住空間で構成されていた。
ここは領主様の寝室だってさ。夫人の部屋と奥の小回廊で繋がっていてそれぞれに支度室。
まだ行ってないけど子供部屋とか浴室、居間やテラスもあるみたい。トイレは下階と同じ位置。
食事は二階にある正餐室を使ってたのかな。この階には無いみたい。
気分によって居間やテラスで食べてたのかもしれない。
貴族の朝食って部屋に運ぶ事もあるか。全員揃っていただきますとは限らない。
寝室これだけ広ければ、テーブルセットも揃えてそう。
裏手には倉庫と控え室の他に配膳室だけはあるし。
軽い飲み物でも食器に注いでから階段の上り下りはできればしたくないよね。こぼすし。
倉庫はたぶんこの階にあるのはシーツとかの置き場だろうな。今の時代と変わらなければ。
とりあえず、一階から三階までの作りは理解した。
領主館って入ったの初めてだけど、概ねお城の縮小版なんだね。
執務と社交と生活のスペース。無いのは軍関係だけかな。
あれは領主様が残した本なのかな……。
魔境が広がって移住を余儀なくされた時に最後まで領主様が残ってたのか。
でも骨らしきものも何も無いよね。最後には本だけ置いて館を出たのかな……。
まだ見てない部屋をざっと巡回してから、本に取り掛かろう。
もしかしたら他に何か残されていたりしないかも、確認しないとね!