彼女
彼女はキラキラと輝く
彼女の横顔は幼児の様に幼く、大きな瞳から小粒の涙がたくさんあふれ出ていた。
彼女の手に握られているタオルはふき取った涙が垂れるほどべたべたになっていた。
美麗だった。
僕は彼女をとても、とても、美しいと思った。
そう感じた瞬間、むずかゆい感情に襲われた。
それが何なのか、僕には分からなかった。
しばらくして、最初に気づいたのは彼女だった。
彼女は僕に気づくと、急いで涙をぬぐい、うつむいたまま少し口角を上げて見せた。
そして、立ち上がり僕の方に向かって歩いてきた。
「…ごめんね。」と僕の耳元で呟いた。
2017年7月14日
昨日、私が泣いている所を見られてしまった。
クラスメイト君!名前は、何だっけ?わかんないや。でも、前から少しだけ、なぜか気になっていた。まぁ、名前も覚えていないくらい、本当に少しだけ。
接点なんて殆どないクラスメイト君に私の泣き顔を見られてしまった。
完全に不覚だった!びっくりした。
視線を感じるから、扉の方を見てみると、クラスメイト君が突っ立ってるんだもん。
とっさに涙を隠して、ニコッと笑ったつもりだけど、多分手遅れ。
いつもと違う姿を見せてしまったからなのか、クラスメイト君に謝っていた。
クラスメイト君、今日来るよね?
階段を下りている途中、クラスメイト君とすれ違った。
「あ、待って!!」
クラスメイト君の腕をつかんで叫んだ。
ビックリ顔で振り向いたクラスメイト君は、私が思っていたよりも可愛らしい顔をしていた。
「やぁ!元気?あのね、ちょっと二人で話がしたいんだけど、今からいいかな?」
昨日の事か。大丈夫、僕は君の事をだれかに話すつもりも、話す相手もいない。って、君ならそれぐらい分かるだろ?
「大丈夫。昨日の事は誰にも言わないよ」
「それもそうだけど、まぁいいから!」と言われて彼女に手を引かれた。
彼女の手は細くて、優しくて、どこか懐かしい感じだった。
体育館倉庫の裏で彼女は僕にこういった。
「明日、駅前の喫茶店で会おう。」
唖然としている僕をよそに、彼女は笑いながら僕に向かってピースサインを送って
どこかに行ってしまった。
僕は彼女のその行動にドキッとした。
2017年715日
駅前に何時集合かを伝えられていなかった僕は、10時頃に駅前に着いた。
周りを見渡しても、彼女の姿は無い。
僕は、仕方なく、駅前の一番目立つ柱の下で彼女を待つことにした。
「灯台元くらしってきっとこういう事を言うんだろうね」
僕の耳元でそんな風に言われてびっくりしないわけがない。
僕は、これでもかと言うほど驚いて彼女を逆に驚かしたみたいだ。
彼女はその様子を見てケタケタと楽しそうに笑った。
いつもなら腹立たしいが、その時は、まったく。やれやれ。といった感じで微笑ましく思った。
「君が、集合時間を伝えるのも忘れるほど馬鹿だとは思わなかったよ」
「でも、君も集合時間なんて考えてなかったでしょ?」
「それもそうだな」と僕は少し笑って見せた。
ほら!あそこ!って私がクラスメイト君の手を引くと、なんだか懐かしい感じがした。
駅前の喫茶店。「さくら」に初めて友達じゃない人と入った。
店員さんに案内された窓際の陽がよく当たる席は、僕には明かりる過ぎる席だった。
僕は陽に背を向けるように席に着いた。
まぶしい~。と呟いて彼女も席に着いた。