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僕の心臓を君に 「改正版」  作者: オルハピ
1/2

崩壊

「僕の心臓を君に」の改正版です。

中身が細かくなってます。




2017年6月23日

 

 「普通」とは、何か知っているだろうか?

漫画やアニメの主人公なんかは、「ごくごく普通の中学生」とか「僕は、普通の高校生活を送っていた」とか「普通」という言葉を当たり前の様に使っている。

僕は、普通とはその人にとっての当たり前だと、とった。

だから、僕にとっての当たり前は他の人から見ると、かわいそうなのかもしれない。

って、そんなこと考えたりするのも、僕ぐらいだろう。

考え事をしだしたら深く。深くまで考えてしまうのは、僕の悪いくせだ。

ベッドから起き上がってまだ数分しか経っていないのに、僕は長々とした事を考えてしまっていた。


これが、僕にとっての普通。


階段をおりて、一階に向かう。


洗面台で顔を洗い、歯を磨く。


そして、食卓に向かう。


その日の朝の食卓には、不器用な父が作った不細工な卵焼きと墨と間違うほどしっかりと焼けたトーストが真っ白のお皿の上に乗っていた。

お皿にかけられたラップの内側に水滴がついていたから入れ違いで家をでたんだ、思った。

お皿の横には成人男性が書いたとは思えないほど、かわいらしい字で「あさごはん!しっかりたべる!」と書かれていた。僕は、静かにラップをどかし一口だけトーストをたべ、家を出た。


2017年7月13日

7時10分。この日はいつもより少し早い時間に学校に着いた。

僕は、職員室に向かい階段を上る。

「失礼します。」

と言って入った職員室は異様なほど静かで、誰も居なかった。

教室の鍵をとるため中に入り鍵入れを開けた。


僕は驚いた。


いつもあるはずの鍵が無かったから。

毎朝、僕が教室に一番に着く。だから、鍵を取りに行く事、教室の鍵を僕が開ける事は僕の中で習慣化していた。ましてや今日はいつもより早い時間だ。でも、鍵入れの中に僕の

「普通」は無かった。今日、いままで崩れなかった僕の普通が1つ崩れた。だから、驚いた。


 僕が学校に早く来るのには意味があった。誰も居ない教室は入りやすい。が、クラスメイトの居る教室に入る事は僕にはとても難しかった。

重い足で、朝日の当たらない薄暗い廊下を歩いて教室に向かった。


教室の前で僕の足は止まった。


教室に入りづらいと言う理由もあったが、そうじゃない。


僕の教室からすすり泣く声が聞こえたのだ。


僕は焦った。

でも、だからと言ってこのまま廊下でずっと立っている訳にはいかない。

少し迷って、僕は意を決し教室の扉を本当に、本当に少しずつゆっくりと開けた。

そして目に飛び込んできた光景に唖然とした。

窓際の一番後ろ、朝日が一番きれいに当たるその場所で、彼女は泣いていた。


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