表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓い屋・龍炎  作者: 夢小路 一瞬
6/7

序章 龍炎 誕生 6

 龍炎は女をみていた。

 『見える力』があるのに、ここに来た、と言うことは、どういう事か。


 「遅くなって済まぬ。茶を入れよう。」


 腰を下ろしたところなのだが、また立ち上がり、茶を入れる用意をし始めた。


 「あ、いえ、そんな。お気遣いいただかなくても……」


 そう言う女に、ぶっきらぼうに茶碗を差し出しながらこう言った。


 「まぁ、そう言うわけにもいかぬ。そなたは、ここに来た『お客様』だからな?」


 一瞬だけ、にこりとした龍炎をみて、女のほほが薄く色づいた。


 「で、そなた、何を見たのだ? 見えた相手は誰だ?」


 真面目な表情に戻った龍炎に聞かれ、女は慌てて答えた。


 「はい……。私の幼なじみなのですが、このところどうも様子がおかしいと感じることが続いていて。それで、ある時、彼を見たらその後ろになんか黒い影のようなものが見えて……」


 ふむ、と頷いた龍炎は、女の言葉を頭の中で繰り返した。そして、こう言った。


 「何か黒い影のようなもの、と言うことは、はっきりとした姿を見たわけではないのだな? 様子がおかしいのに気付いたのは、大体いつ頃で、どんなことでか、おぼえているか?」

 女は腕組みをして、しばらく考えていた。

 記憶の糸をたぐっていたのだろう。


 「最初にそう思ったのは、一ヶ月ほど前でしょうか。見かけたときに声をかけたのですが、返事がどこか上の空でした。それから一週間位して、見かける度に声をかけるのですが、そのときも『あぁ』とか、『うん』とか中途半端な返事ばかりなんです」


 「ほォ。一ヶ月前……。まぁ、それほど日が経っていないのは幸いだな。で、その黒い影、のようなものの、形は分かるか? 何かに似ていたりはしなかったか?」


 しかし、この問いかけに女は明確な返事ができなかった。ただ、首を横に振るばかり。


 「だろうな。まぁ、仕方のないことだ。で、さっきも言ったが、その黒い影、のようなものは、そなたの周りにいる、他のみんなには見えていないワケだな?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ