表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祓い屋・龍炎  作者: 夢小路 一瞬
5/7

序章 龍炎 誕生 5

「見える? えぇ、見えますよ。怖い? どうして怖いのです? こんなに、かわいらしいのに。ねぇ?」


そう言いながら、女は何度も妖を撫でていた。妖の方も、頭を撫でられているうちに安心したのか、妖は女の廻りをくるくると駆け回り始めるようになった。

それを見ながら、女がつぶやいた。


「そう言えば、小さい頃から私は、たにんがみえない『何か』が見えていたそうです。祖母に言われていましたから。『あまり他人様にはこのことを言うもんではない』と。どうして人に言ってはいけないのか、よくわかりませんでしたが、私はその言葉を守り、他人様の前ではそのような話をしたことはありませんでした。」


「なるほど。そなたのおばあさまも、そなたとおなじように『見えて』いたのではないか?」


龍炎の問いかけに、女は首をかしげながら答えた。


「はっきりとは分かりません。見える、と聞いたこともありません。でも、今はたぶん、そうだったのだろうとおもいます」


「ふむ……」


龍炎は、魚を食べ終えると、串を片付け、妖に

「美味かったぞ。ありがとう」

と、言い、また腰を下ろした。


きっと、この女の祖母にも、『見鬼の才』に近い何かが備わっていたのだろう。『人ではない何か』が『見えて』しまう『力』が。

そして、それが『見える』ことを周りの人間に話したために自分が思いもしなかったようなひどい対応をされてしまった。その為に、その『力』を受け継いだのであろう孫娘には、同じ思いをさせたくないあまりに、『そのことは口にするな』と、言い聞かせたに違いない、と龍炎は思った。

たまに自分でも思うときがあるからだ。

この力、もし、自分が今のようなことをしない、ただの町民だったとしたら、なんの役に立ったんだろうか?と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ