序章 龍炎 誕生 2
新しいすみかを決めた龍炎の元に一人の女性が現れます。
小屋を綺麗にしたため、雨露はしのぐことが出来るわけだが、今の所これと言った仕事をしているわけでもなく、金が手に入る当てがあるわけでもない。
さすがにコメが目の前から姿を消したとあって、龍炎も腕組みをして考えるようになった。
仕方なく、龍炎は使い走りの妖に、川で魚か何かをとってくるように言いつけた。魚でも食べられれば、少しは腹の足しになるというモノだ。
妖が戻ってくるまでの間、龍炎は小屋の外をうろうろしていた。
ただ待っていても仕方がないし、何もすることがないからだ。
小屋の外をうろついている龍炎に声をかけてきた者がいた。
「あのう……すみません」
「んっ!?」
少し腹が減っていたせいか、苛立たしげに返事をしながら振り返った龍炎に、声の主は驚いたようだった。
「ひっ」
「あっ、すまぬ」
慌てて龍炎はそう声をかけたのだが、振り返ったそのときにちらりと目が見えたのだろう。声の主は、龍炎の両の目の色が違うことに気付いて、息を呑んで立っていた。
「……っ」
声の主は若い女性だった。彼女が、なぜ自分に声をかけたのか、そして、なぜ、今は黙ったままで突っ立っているのかを察した龍炎は、努めてにこやかに応対することにした。
「驚かせるつもりはなかったのだ、すまぬ。それより、お主……」
女は龍炎にそう言われ、大丈夫、と答える代わりに、こくりと黙って頷いた。
さて、どのようなお祓い事が・・・・