第98話・ドイツ軍の反撃を許さないわたし達
建物に逃げ込んだドイツ兵もろとも破壊の限りを尽くすわたし達。
豪快にビルをぶっ壊したわたしは泥々になった服の汚れを払い落としながら立ち上がった。
「わたし、マジでサイコーの気分かも!」と幸恵にむかって微笑みかける。
「せっかくだから、もっともっと暴れてやりましょっ!」と幸恵もにっこりと応える。
「まだまだ隠れてる奴らが居そうよねェ。」
「ってか、この辺が怪しいかも!」
「ソレッ!エ~イ!」
❝ズボッ!ズボッ!❞
興奮が治まらないわたしは手当たり次第に周辺のビルを蹴りつける。
わたしのブーツがヒットする度に大きな穴が次々と開いていくビル。
「どこに隠れてるのかしら?」
「隠れてもムダよ!早く出てきなさい!」
❝ジュボッ!ズブズブズブッ!❞
ブーツを履いた足でビルを乱暴に蹴りつけながら、上層階の窓に無理やり手を突っ込んでは中をメチャメチャにするわたし。
何か手ごたえを感じて掴み出してみると、瓦礫や粉塵にまみれた兵士の遺体だったりした。
「何だ、死んじゃってるんだ。」
「残念でした~!」
そういいながら足元に遺体を投げ捨ててブーツのトゥで踏みにじるわたし。
そんな事を繰り返していたら上空から物々しいエンジン音が聞こえてきた。
「何かしら?」とわたし達が見上げると、ドイツ空軍のヘリコプターが10機程こちらに向かって飛んでくるのが見えた。
「うるさいハエどもめ!」
「こうしてやるわ!え~い!!」
❝ヴァギヴァギヴァギヴァギ!ズッヴォ~ン!❞
そう叫びながらわたしは足元に建っていた5階建てのビルを力任せに引き抜いた。
そしてヘリコプター編隊に向かって投げつけてやった。
「それじゃあ、わたしも!」
❝ジュヴォッ!ヴァリヴァリヴァリッ!ガッシャ~ン!!❞
「ソレ~~!!」
幸恵も叫び声を上げながら手前にあった8階建てのビルにブーツで強烈な一撃を加える。
そして倒壊しかけた中層階から上の部分を両手で抱え上げると体を一回転させながら空中に放り投げた。
「エ~~イ!!」
❝キュンキュンキュンッ!ズバッ!❞
わたし達によって上空いっぱいにバラ撒かれた建物の瓦礫片が、一瞬にして辺り一面を真っ暗にした。
そして、無数の瓦礫片が攻撃態勢に入っていたヘリコプター部隊に降り注ぎ4機が爆発して墜落していった。
「ヨシッ!ヤッタネッ!!」とガッツポーズで喜ぶわたし達。
「逃がさないわよ!」
❝ジュヴッ!ズボ~ン!❞
そう叫ぶと幸恵は手頃なビルの外壁に右足を突き刺してそこを足場にヘリ部隊に向かってジャンプした。
黒く光った幸恵のブーツのとんがりトゥがビルの2フロアを粉々に蹴り砕いていた。
そして彼女のジャンプと同時に幸恵の美脚ブーツがビルをメチャクチャに踏みしだいていた。
「捕まえた~!!」
❝ヒューン!ヴォーン!❞
ジャンプした幸恵の両手がヘリコプターのテイルブームをガッチリと掴んだ。
そしてそのまんま小ぶりなビル街に倒れこむ彼女。
「どうなってんのよ~!」
❝ヴォヴァ~ン!!パラパラパラ!❞
彼女の純白のロング手袋に掴まれたヘリは爆発しながら粉々に砕け散った。
そして彼女の巨体が3階建ての建物が建ち並ぶ一角をグシャグシャに押し潰していた。
更に立ち上がる前に手足をワザとバタつかせる彼女。
ホコリまみれで真っ白になった黒いロングブーツが辛うじて無傷で残ったビルを直撃して蹴り散らかす。
「なんか、お祭り騒ぎのわたし達~!」
「ホント、快感だわ~!」
両手で股下を押さえながらそう叫ぶ幸恵だった。
体全体を使って暴れまくるわたし達の反撃に、さすがのヘリ部隊も高度を上げて一旦退散せざるおえなかった。
「全滅できなくってホント、チョームカよね~!」と苦笑いする幸恵。
「でもォ、わたし達の実力見たかよ!って感じですよネ。」と少し満足顔のわたし。
「残りのヤツラもこのわたしの手で叩き落してやりたいわ!」
と言いながら薄汚れたロング手袋をはめた手を見つめる幸恵。
メチャメチャに破壊されたビル街の中で仁王立ちのわたし達。
すると向こうの方から更に3機のヘリコプターがやって来る。
「本当に懲りないヤツら・・。」
「てか、わたし達に逆らうなんてマジで許せないわ!」と怒りをぶちまけるわたし。
彼らも馬鹿ではないから、もう先程のビルを投げつける戦法もジャンプして掴み落とす戦法も使えない。
「どうしてやろうかしら?」と足元を見渡すわたし。
わたし達が踏み荒らしたエリアの少し先の方に大きめの駐車場を見つけた。
100台くらいの車が並んでいる。
「アレを使いませんか?」と幸恵に問いかけながら駐車場に向かって歩き出すわたし。
❝ズシーン!ズシーン!ズシーン!❞
わたしの後に幸恵も続いて駐車場の前にやって来た。
わたし達の足元に綺麗に並んでいる車の中から適当に右手で1台掴み上げるわたし。
「悪いけどこうしてあげるわね。」
❝グシュ!クシュクシュクシュ!❞
わたしの手の中でペシャンコに握りつぶされる車。
更に左手も使って潰れた車体を丸め始めるわたし。
丸めやすいように途中で“ペッ!”と軽く唾を吐きかける。
そしてボール状に丸めた鉄の塊を上空に待機中だったヘリに向かって思いっきり投げつけた。
「え~い!」
❝ビューン!シュルシュル、ズバッ!❞
わたしの放ったストレートの球が3機のヘリの真ん中の機体に見事に命中した。
いよいよドイツ軍とのガチな対決が始まった。