第94話・わたしの快感のために犠牲になるのよ!
穴だらけになったバスの車体を再び掴み上げた幸恵。
今度は両手でシッカリと握り締めた。
「わたしから逃げられると思ったら大間違いよ!」
「こうしてやるんだからァ!」
「え~い!!」
❝グシュ~!ギュリギュリギュリッ!❞
真っ白なロング手袋をはめた幸恵の両手がまるで雑巾でも絞り上げるようにバスを“ギュッ”と握り潰したかと思うとそのままねじり回した。
「アラアラ、こんなになっちゃって、ちょっと力を入れすぎちゃったみた~い。」
「ごめんネェ~!」
そういいながらゆっくりと手を広げる彼女。
バスの車体はねじれた細い棒状になるまで潰され、乗客達の血がしたたり落ちていた。
そんな事はお構いなしにバスの残骸を足元に投げ捨てる彼女。
すると今度は足元に並んでいた車を睨みつけた。
「邪魔くさいのよ~!」
❝ガシャーン!ガッチャーン!❞
交差点に乗り捨てられた車が余程邪魔だったのか、少しイライラしながら右足で容赦なくなぎ払う彼女。
黒光りしたロングブーツのアウトソールが十数台の車をグシャグシャに粉砕しながらスクラップの山を築いた。
逃げ遅れたバスの乗客達をいたぶり殺している間に足元にいた小人達はすっかりいなくなっていた。
「なんだ、つまんないなァ。」
「もっともっといたぶり殺してやりたかったのにィ~!」とつぶやく幸恵。
少ししゃがみ込むと右手を口元に当てて叫んだ。
「出て来~い!」
「隠れてもムダなんだから。」
そういうと今度は交差点の一角に建っているビルを両手でシッカリと押さえ付け1階のカフェに向かって右足を蹴り込んだ。
❝ジュヴォッ!ガッチャーン!❞
つま先が尖った彼女のブーツがカフェのテラス席やガラス窓を粉々に破壊しながら店内の中央まで侵入して止まった。
「誰もいないのかよォ~?」
「ホラァ~!」
❝ジュヴォーン!ジュヴォーン!❞
店内に無理やりブーツを突っ込んだ彼女、今度は右に左に乱暴に蹴り回す。
巨大な幸恵のブーツが店内をメチャメチャに破壊しながら壁を突き破って1階のフロア全体を粉砕していく。
「出て来いっつ~の!」
❝ズヴォ~ン!❞
イラついた口調のまま左足で4階の辺りに膝蹴りを喰らわした。
色落ちしたジーンズに包まれた彼女のスラリとした美脚がビルの外壁に大きな穴を開けた。
凄まじい粉塵が立ち上り、ビルの瓦礫と埃が舞い落ちて幸恵の黒いブーツを真っ白にした。
「ちょっとォ、汚れちゃったじゃない!コノ~!」
❝ジュヴォッ!ヴァキヴァキヴァキッ!❞
カフェに突っ込んでいた右足を一旦引き抜くと、今度は3階の辺りに突き刺した。
そしてそのままビルに抱き付くと突き刺した右足を踏み下ろしながら彼女の全体重をビルに向かって掛けていった。
「ホラ~!出てこないとこうなるんだからァ!」
「わたしの体重に耐えられるかな~?」
❝ベリベリベリベリッ!❞
❝ズッド~ン!❞
凄まじい轟音と共に土煙を上げながら8階建てのビルは幸恵の体と共に一瞬にして崩壊した。
粉々になったビルの瓦礫と共に地面に倒れこむ幸恵。
せっかくのおしゃれなデニムジャケットも真っ白になってしまった。
倒壊したビルの瓦礫を踏み砕きながら立ち上がった彼女、ちょっと苦笑いしている。
「わたしったら、ちょっと調子に乗っちゃったかも~!」
そういいながらペロリと舌を出した。
遊び半分で交差点をメチャメチャにした幸恵、まだまだ暴れ足りない様子だった。
すると大通りの向こう側からドイツ軍部隊がやって来るのが見えた。
「幸恵さん!ドイツ軍です。」と指差しながら叫ぶわたし。
反射的にそちらの方を向いた彼女、薄ら笑いを浮かべながらわたしの方を向いて言った。
「やっと現れたじゃない、わたしのオモチャ達がァ!」
❝ズシーン!ズシ-ン!ズシーン!❞
そういうと待ちきれないのか戦車隊に向かって歩き出した彼女。
「わたしの名前は岸本幸恵っていうの!」
「ちょっと優しいお姉さんのわ・た・し!」
「今からわたしの力を見せてあげるから、いいこと!覚悟しなさい!」
キリッとした表情になった彼女、先頭の戦車に手を掛けると一気に持ち上げて股下に挟み込んだ。
「わたしのジーパンで押し潰してやるわ!」
「う~ん!えいっ!」
❝グシュッ!グシュグシュグシュッ!❞
ライトグレーに塗装されたタイガー戦車の車体は履き込まれたネイビーブルーのジーパンに喰い込んでいく。
キャタピラが弾け飛び、鋼鉄製の戦車もだんだんと変形し始めた。
たまらず中の戦車兵が砲塔のハッチを開けて外に出ようとしたが、不幸にも巨大な幸恵の股下が眼前に迫っていた。
「あァ~ん!これって快感かも~!」
「逃げんじゃね~よ!」
ハッチを閉めて中に戻ろうとした戦車兵を指先で摘み上げるとそのまま人差し指と親指とでひねり潰した。
「潰れちゃえ~!え~い!」
❝グシュ~ン!❞
最後に股間に目一杯の力を込めた彼女、一瞬にして車体はペシャンコに押し潰された。
わずかに股間に込めた力を抜いた彼女。
グシャリと潰された戦車はその哀れな残骸を地面に叩き付けた。
❝ガッシャーン!❞
「あ~、すっきりした!」
「さあ次にわたしに可愛がって欲しい悪い子はどの子かなァ~?」
と悪戯っぽく微笑みかける彼女だった。