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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第9話・わたしは闘う女の戦士!

 律子が街で暴れている頃、東部方面軍総司令部では緊急会議が開かれていた。

エルンスト・シュミット陸軍中将を中心に作戦参謀が招集されヘルムート・シュルツ少佐による報告が行われていた。

少佐

「先日ベルゲンシュタットで暴れまわったジーパンレディーと名乗る巨大女が再度出現し、ビアロフカの町で暴れているという報告が入りました。」

中将

「ビアロフカにはたしか国家秘密警察の地区統括本部があったはずだが。」

少佐

「そのゲシュタポ本部ですが、すでにジーパンレディーによって完全に破壊されました。」

「ビル内にいた局員と警護隊員合わせて84名が犠牲になったようです。」

中将

「現地周辺に展開中の部隊はどのくらいの規模かね?」

少佐

「ビアロフカ近郊にSS武装親衛隊第6師団の歩兵1個大隊と第11機甲師団の一部が演習中でしたので取り急ぎビアロフカ市内への移動命令を出しました。」

「現場での対応は歩兵大隊指揮官のアドラー大佐に一任してあります。」

中将

「では、逐次アドラーからの報告を上げるように!」


カール・ハインツ・アドラーSS大佐は歩兵大隊1200名と戦車隊12両を指揮しながらビアロフカ市内に到着しようとしていた。

このSS武装親衛隊は最新鋭の重火器を装備し、よく訓練されたエリート部隊である。

アドラー大佐

「ジーパンレディーを確認した。戦車隊は正面から戦闘態勢を取れ!」

「歩兵部隊はジーパンレディーの西側の住宅街に展開し各小隊ごとにできるだけ分散配置せよ!」



中心街を徹底的に破壊したわたしはドイツ軍部隊が市内に入ってくるのを見つけた。

「いよいよ現れたわね。」

「よ~し、わたしの恐ろしさを教えてあげるわ!」

メインストリートを進軍してくる部隊をよ~く見てみると戦車が10両位とあとはオートバイやトラック部隊が30台位って感じだ。

思ったよりも小規模なので拍子抜けのわたし。

「な~んだ、この程度じゃ物足りないな・・・。」とわたし。

でもせっかくわたしの為に来てくれたんだから思いっきり歓迎してあげなきゃネ。

ところが、戦車隊に続いていた歩兵部隊を乗せたトラック部隊はわたしの左手に広がる住宅街へと方向転換した。

「えっ! どうする気?」

住宅街に侵入した部隊は更に分散し始めた。そしてトラックから降りた完全武装の兵士達は各住宅の中に入って陣地を構築し始めた。

「わたしに住宅地を破壊させたいのかしら?」

いくら破壊の女神となったわたしでも一般住民の住宅を壊すのは気がすすまない。というよりは嫌だ・・。

さっき避難するように呼びかけたとは言え、まだたくさん人が残っているかもしれない。

罪もない人達を傷つける訳にはいかないし・・。

でもそうこうしている内に住宅街から対戦車用の小型ミサイルが飛んできた。

そして重機関銃による一斉射撃も始まったようだ。

彼らの攻撃などわたしのロングブーツを汚すほどの威力もないのだが、わたしをイラつかせるのには十分だった。

「まずはわたしの正面にいる戦車隊から片付けなきゃ。」

❝ズシ~ン!ズシ~ン!❞

戦車隊に向かって歩き出すわたし。彼らも発砲しながら下がっていく。

「さすがにわたしの事を怖がってるみたいね。」

暴れる前から優越感に浸りまくってるわたし。

いきなり踏み潰すのも可哀想だから一応呼びかけてみることに。

「ナチの皆さん!すみやかにわたしに降伏しなさい!」

「抵抗しても無駄よ!」

「武器を捨てて出てきなさい!そうすれば命だけは助けてあげるわ!」

ところが部隊の攻撃は一向に止まない。

「本当にわからない人達ね!」

そういうとわたしは左手の指を揃えて“ピン”と伸ばし、胸の前でかざして見せた。

指先までピーンと伸びたロング手袋をはめたわたしの手は実に美しい。

「この皮製のロング手袋って、買ったばかりなの!」

「今日はこの手袋の威力、試してみたい気分なんで~す!」

そうつぶやくとわたしは先頭の戦車を左手でつかみ上げた。

そして“ギュッ”と握りつぶした。

「えいっ!」

❝グシャッ!❞

鈍くきしんだ音と共にわたしの手の中で握り潰される戦車。

潰れた戦車を足元に放り投げると2両目の戦車をつかみ上げる。

そして今度は砲塔を親指と人差し指でガッチリと掴んで引きちぎった。

❝ジュヴッ!❞

砲塔を投げ捨てると戦車の内部に指を突っ込んでグリグリとまさぐる。

乗っていた戦車兵はわたしの人差し指に押し潰された。

「これって、わたし流スキンシップ?・・みたいな。」

そういうとこの壊れた戦車を足元の別の戦車めがけて投げつけた。

「えい!」

❝ボッカ~ン!❞

直撃を受けた戦車は爆発炎上した。

「やったね!」と喜ぶわたし。

更にわたしは3両ほどの戦車を次々とブーツで踏みつけてやる。

「えい!えい!えい!」

❝ズシーン!ズシーン!ズシーン!❞

あっと言う間に3両のタイガー戦車はグシャグシャになった。

この光景を見て残りの戦車隊が慌てて後退し始める。

「逃がさないわよ!」

そういうとわたしは残った6両の戦車めがけてヒザ落としを喰らわした。

「え~い!!」

❝ズズ~ン!!❞

右足の膝を曲げながら倒れこむようにしてわたしのスネを戦車隊の並んでいるあたりに打ちつけた。

凄まじい爆音と共に土煙がモクモクと立ち上り、わたしのブーツもジーパンもホコリだらけになった。

これはかなり強烈な一撃だったみたい。

ブーツの筒の部分が戦車隊を完全に押し潰して地面は大きく陥没した。

ペシャンコに潰された各戦車の残骸は完全に地中に埋まっている。

わたしはジーンズの汚れを手で“パンパン”と払い落としながら立ち上がった。

「ごめんね~!ちょっとやり過ぎだったかも。」

と冗談まじりに謝るわたし。

そして戦車隊を全滅させたわたしは住宅街の方を睨みつけた。

「厄介な所に逃げ込んでくれたわね、どうしてやろうかな~?」

さすがに先ほどの商業施設のように遠慮なく破壊するのはためらわれた。

困り果てたわたしはその場でしゃがみ込んでしまった。

だけどわたしは巨大ヒロインジーパンレディーだ。

「ナチを全滅させるのがわたしの使命。」

「わたしは正義を愛する女の戦士なのだ!」

迷ってはいられない。

そう決心するとわたしは住宅街に向かってゆっくりと歩き出した。












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