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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第8話・わたしのブーツが街を襲う

「え~いっ!」

❝ズズズッ!ズッボーン!!❞

凄まじい大音響と共にわたしの巨大なロングブーツがビルの天井を突き破り各フロアを次々と踏み抜いてビルの中央部分をメチャメチャに粉砕した。

わたしの足元には凄い土煙が立ち込めている。

煙が収まると破壊されたビルは左右の外壁部分だけがかろうじて残っているのがわかった。

わたしはナチスビルにとどめを刺すために右足を少し浮かせて左右にスウィングさせながら残った外壁にブーツを当てて蹴り倒した。

「それ~!」

❝ブィーン!❞

❝ドカーン!❞

更に残った瓦礫を思いっきり憎しみを込めて踏みにじる。

❝ズリッ!ズリッ!、ズリッ!❞

ナチスのビルは跡形もなく破壊されて更地になった。


「わたし律子がやったね!」と両手でガッツポーズするわたし。

ふと足元をみるとわたしが壊したビルに掲げられていたナチスの旗が目に入った。

きっとビルの天井をブーツで押さえつけた時にヒールで旗を吊り下げていた金具を破壊してしまいビルの倒壊前に地面に落ちてしまったのだ。

わたしはとっさにこの旗を軽く踏みつけた。

するとわたしのブーツの靴底模様がくっきりと付いた。

赤地に白い丸、その中に黒いカギ十字のマーク。

綺麗な旗に細かいひし形を互い違いに並べた幾何学模様のようなどす黒い靴跡をくっきりとつけてやった。

“とってもいい気分だわ。”

でもわたしはこのナチスのシンボルであるカギ十字の旗をもっと辱めたくなってきた。

そこでわたしはこの旗をつまみ上げて左手の手の平にのせて広げた。

この旗小人達にとっては大きな旗だが、わたしにとっては8cm四方位の小さな布切れだ。

「ちょっと悪戯してやれっ!」

そんな軽い気持ちでわたしは口の中にたっぷりと唾を溜めた。

そして溜まった唾をカギ十字マークめがけて吐きかけた。

「ペッ!」

白く濁ったわたしの唾が旗の中心に命中してカギ十字マークを覆い尽くした。

それからわたしは右手の人差し指で唾を広げる。

ヌルヌルとベトついたわたしの唾が旗全体に広がりロング手袋の本皮の匂いと唾の臭いとが混じって“ツーン”と独特の異臭を放つ。

「これでウェットティッシュの出来上がり~!って感じかな。」

「これでわたしの汚れたブーツでも掃除しなくちゃね。」

わたしは少しおどけながら唾だらけになったこの布を右手でつまんでしゃがみ込む。

そして先ほどビルを踏み潰した右足のブーツのつま先から甲にかけて付着した粉塵の汚れをこの布で拭き取った。

「ぺッ!」っと途中でもう一度布に唾を吐きかける。

赤い布はみるみるうちにどす黒く変色していく。

「いい気味だわ!」とわたし。

あらかたブーツの汚れを拭き取った後、わたしはこの旗を足元の噴水の手前に広げて置いた。

そしてあらためて右足で軽く踏みつけて靴底模様をクッキリ刻みつけてやった。

わたしの唾と靴底の泥とで見るも無残なありさまになったナチスの旗を見て満足そうに笑みを浮かべるわたし。

「これが、わたしからナチの皆さんへのメッセージです!」

「遊びはこのくらいにして、もうひと暴れさせて頂きますね~!」

そういうとわたしは右隣のビルをいきなり蹴りつけた。

「えい!!」

❝ズガーン!❞

ブーツのつま先がビルの真ん中に突き刺さる。

そしてそのまま踏み降ろしてから思いっきり蹴り上げた。

「それ~!!」

❝ドゥッカーン!❞

小ぶりな6階建てのビルはひとたまりもなくメチャメチャになって空中に吹き飛ばされた。

「イェ~イ!!やったね!」と叫ぶわたし。

更に今度は隣のビルの屋上めがけて左足を高々と振り上げてから“ブイン!”とブーツのかかとを打ちつけた。

「これでもか!!」

❝ズボーン!❞

一撃で粉砕される哀れなビル。

瞬く間に2棟のビルがわたしのブーツの餌食になった。

もう手当たり次第に破壊するわたし。

「次に壊してもらいたそうなビルはコレかな?」

そういうとわたしは左手に建っていた5階建てのビルの天井を両手でシッカリと押さえつけてヒザ蹴りを喰らわした。

「え~い!」

❝ズバーン!❞

ジーパンに包まれたわたしの膝がビルを直撃したのと同時にビルは爆砕した。

わたしの足元は破壊されたビルの瓦礫で埋め尽くされ粉塵がモクモクと立ち上り所々でくすぶっていた。

「わたし的にはまだまだ暴れ足りないかも!」

「次はどれをぶっ壊してあげようかな~!」

めぼしいビルは全て破壊したので、あとは2階建ての商店街のような建物が軒を連ねている。

これはナチの建物とは関係なさそう、でももう少し暴れればナチの部隊がやって来るはずだ。

そう思ったわたしは商店街の前に躍り出ると手前の建物から躊躇なく踏み潰し始めた。

❝ズボーン!ズボーン!❞

「今日も暴れるお姉さんはァ、わ・た・し、だぞ~!、みたいな。」

と悪戯っぽく笑いながらつぶやくわたし。

「それ!それ~!」

❝ズボーン!ズボーン!❞

腰に手を当てながら膝を高く上げて行進するわたし。

そしていつもの決め台詞を叫んでみる。

「わたしはちょっとイケテルお姉さん、りんりん律子で~す!」

❝ズボーン!ズボーン!❞

足元を気にすることなく破壊しながら歩くのは実に爽快だ。

正義の闘いを続ける為には多少の犠牲は仕方がない。

それに先ほど避難勧告をやっているから、まさか居残っている住人はいないだろうとわたしは思っていた。

思った通り人影は見当たらない。

ナチスの兵士すら見かけない。

きっと隠れているに違いない。

❝ズボ~ン!ズボ~ン!ズボ~ン!❞

「どこなの?出てきなさい!」

そう叫びながらブーツで建物をメチャメチャに踏み潰して歩き続けるわたし。

町の中心街を壊滅状態にしたわたしは再び中央のロータリーに戻ってきて腰に手を当てて仁王立ちになった。

そしてしばらく様子を見る事にした。






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