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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第60話・助けに来たのに・・

 律子と麻美が飛行場で大暴れしていた。

いつになく凄い形相で手当たり次第に攻撃用ヘリコプターを壊しまくっている。

「こんなもの、みんなぶっ壊しちゃえ~!」

❝ズヴァ~ン!❞

麻美がそう叫びながら大型ヘリコプターをブーツで踏み砕いた。 

「わたし達に歯向かうなんて、許せない!」

❝ビュ~ン!ボッカ~ン!❞

律子はヘリの胴体後方のテールブームを無造作に掴み上げると振り回して地面に叩き付けた。

空から攻撃を受けている時は手も足も出なかったが、駐機しているヘリ部隊は彼女達の絶好の獲物と化していた。

綺麗に並んでいた20機ほどのヘリ部隊もあっという間にその大半が粉々になっていた。

そこに里奈子が叫びながら走ってきた。

「律子さ~ん!麻美さ~ん!」

「里奈ちゃん!やっぱりここにいたんだ!」と律子の顔がほころぶ。

「よかった~!無事だったのね。」と麻美もにっこりと微笑んだ。

「わたしは大丈夫です。だからもう止めて下さい!」と里奈子。

「ちょっと里奈ちゃん、ナニ言ってんのよ?」と麻美が顔をしかめる。

「あなたもこいつらを踏み潰しちゃいなさいよ!」とけしかける麻美。

浮かない表情の里奈子を見て律子が破壊するのを止めた。

「里奈ちゃん、何があったの?」と優しく問いただす。

「この世界の人達って、そんなに悪いとは思えないんです。」と里奈子の口から信じられないような言葉が飛び出した。

「あいつらに何かされたの?」と麻美が問い詰める。

「散々暴れまくったわたしの事、とっても優しくしてくれたし・・。」と告白する彼女。


「なにそれ?意味わかんない!」と少しイライラし始めた麻美。

「里奈ちゃんがいたのってあそこ?」と律子が格納庫の方を指差した。

「そうなんです。」

「あそこに日本人がいるんです。」と応える里奈子。

「えっ、マジで~?」と驚きを隠せない麻美。

「とにかく行ってみましょ!」そういうと律子は格納庫に向かって歩き出した。

そして、2人もついていく。

格納庫の入り口に着いた3人、いきなり麻美が扉を蹴りつけた。

「えいっ!」

❝ズ~ン!❞

麻美が扉を蹴破って中に入っていく。

すると中にいた20名ほどの警備兵達が麻美を取り囲むようにして機銃を撃ち始めた。

「うるせ~っつ~の!」

そう叫ぶと手前にいた警備兵をブーツで蹴り飛ばした。

更に足元の兵士に狙いをつけては思いっきり踏みつける。

❝ジュリッ!❞


「やめて!もう殺さないで!」と悲鳴にも似た里奈子の声が響き渡った。

「あなたは黙ってて!」そういうと麻美は天幕の張ってある方に向かって歩いていく、そして天幕を乱暴に引きちぎった。

「何これ?」そういうと先ほど里奈子が用を足したタンクを持ち上げた。

フタを開けて顔をしかめる彼女。

「ちょっとなんなのよこれ?」そういうと背後を取り囲んだ警備兵の一団に向かって中の小便をぶちまけた。

「これでも喰らえっ!」

10名の兵士達に里奈子の小便がまんべんなくひっかかった。

「アッハッハッ、いい気味!」

辺りはたちまち強烈なアンモニア臭で包まれた。

「やっぱ、これってオシッコだったんだ。」

と言って小便まみれになった兵士達の前に立ちはだかる麻美。

「覚悟しな!」

そういうと次々に兵士達をブーツで踏み殺し始めた。

❝ジュヴッ!❞

❝ジュリッ!❞

❝ジュリジュリッ!❞

その傍らで言葉を失って立ち尽くす里奈子。

律子もどうしたらよいのかわからず麻美の蛮行を見守るばかりだった。

警備兵を全滅させた麻美は満足そうな笑みを浮かべながら2人の方に振り返った。

そして「片付けたわよ。」と素っ気無くつぶやいた。

里奈子は恐る恐る殺された兵士達の中に卓真がいないか確かめる。

しかし、彼の姿はどこにもなかった。

「そういえば里奈ちゃんが言ってた日本人ってどこ?」と尋ねる麻美。

「もういなくなっちゃったみたい・・。」とか細い声で答える彼女。

「その人が優しかったんでしょ?」と律子。

その問いかけにわずかにうなずく里奈子。

それっきり思いつめたような表情で黙りこくってしまう彼女。

「とにかくここを出ましょ!」と言って律子は里奈子の手を引きながら歩き出した。

麻美もまだわずかに息のあった兵士にヒールでトドメの一撃を喰らわせると小走りに2人の後を追った。

「その日本人ってどんな奴だったの?」と興味津々の麻美。

「ひょっとして、それってオトコ?」と面白がる彼女。

黙ったままの里奈子。

律子もどことなく浮かない顔をして歩き続ける。

「せっかく助けに来てくれたのにごめんなさい。」と消え入りそうな声の里奈子。

「でも、無事で良かった!本当に心配したんだから。」と律子が里奈子の肩をポンと叩いた。

「わたし達、トリップ待ちの10日間生きた心地がしなかったんだから。」と麻美。

「本当にごめんなさい。」とうつむいたままの彼女だった。

すると、麻美がふと足を止めた。

彼女達の右手の方から戦車隊やトラック部隊がこちらに向かってやってくるのが見えた。

「わたし、まだまだ暴れ足りなかったのよねェ。」と両手を腰に当てる麻美。

「麻美さん、もう帰りましょ。」と懇願する里奈子。

「ちょっと~、本当にどうしちゃったのよ?」と困惑気味の麻美。

そのやり取りを見ていた律子が言った。

「今日はこのくらいにして帰りましょ。」

「初めてだけど、ちょっと試してみるね。」

そういうと律子は手鏡を取り出して呪文を唱え始めた。

すぐにグリーンの閃光が走り扉が出現した。

「戻るわよ!」そう叫ぶと里奈子の手を引っ張って扉の中に入る2人。

麻美もしぶしぶ2人に従った。

里奈子救出作戦はわずか30分ほどで終了した。















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