第57話・巨大女捕獲作戦
ジーパンレディー律子と麻美が立ち去った後・・。
ドイツ空軍第5航空艦隊所属の戦闘ヘリ部隊が残された巨大ジーパンレディー里奈子に特殊化学兵器による攻撃を加えていた。
戦闘ヘリ部隊隊長・ルードヴィッヒ・ヘスラー少佐
「標的はもう動けないようだ、頭部を重点的に攻めるぞ!」
副隊長レオポルド・シュミット中尉
「巨大女2名は忽然と消え去りました。」
「この巨大女捕獲の為に地上部隊がまもなく到着予定です。」
ヘスラー少佐
「そうか、ではまた暴れないように念入りに薬剤を噴霧しよう。」
特殊薬剤入りのタンクを装着したヘリ12機は倒れたままの里奈子の上を旋回していた。
どうやら里奈子は気を失ってしまったようだった。
しばらくしてドイツ軍地上部隊が到着した。
橋脚などを運ぶのに使用する大型の台車を4台トレーラーが牽引してきていた。
更に大型のクレーン車も6台到着していた。
現場指揮官ヴォルフガング・レーム大佐
「この巨大女を台車に載せてヘーゲルシュタット空軍基地に運ぶ!」
数十名のドイツ軍工兵部隊が倒れた里奈子の体にワイヤーの装着を始めた。
特殊薬剤が効いていて里奈子は全く動けない状態だ。
里奈子の両手・両足・胴体に巻きつけられたワイヤーが6台のクレーン車に装着された。
大佐の号令で里奈子の体がゆっくりと持ち上がっていく。
そして、その下につなぎ合わせた4台の台車が牽引されて来た。
この巨大な台車は4両の戦車によって牽引される。
ちょうど里奈子の体が台車の上に載った瞬間だった。
一瞬意識を取り戻した里奈子が叫ぶ。
「ちょっと、何なのよ!わたしをどうする気?」
そういうと右手でクレーンを掴み上げようとした。
里奈子の純白のロング手袋に掴まれたクレーンはグニャリとへしゃげてしまった。
「こんなもの~!」
❝グッシャン!❞
クレーンを引きちぎった彼女は別のクレーン車に投げつけようとしたが再び意識がもうろうとし始めた。
「一旦全員撤退!」
大佐の命令とともに工兵隊は里奈子の体から離れる。
そして再度里奈子の顔目掛けてヘリ部隊による噴霧が始まった。
今度はさすがにもろに顔に薬剤を浴びて完全に気を失ってしまう里奈子。
引きちぎったクレーン車に寄りかかるように倒れた里奈子を再度クレーンで持ち上げて台車に載せる作業が再開された。
台車に載せられて身動きが取れないように何本ものワイヤーでくくり付けられる里奈子。
「移動開始!」
レーム大佐の号令の下、台車がゆっくりと動き始めた。
ここから20キロほどのところにあるヘーゲルシュタット空軍基地の大型格納庫に収容されることになっていた。
途中でまた里奈子が暴れださないように防毒マスクをした工兵部隊が台車の周りを固め、上空にはいつでも薬剤を散布できるようにヘリ部隊が飛んでいた。
1時間程して空軍基地に到着した捕獲部隊は中央の大型格納庫に台車を運び入れる。
ここは普段大型輸送機を格納する建物だ。
身長27mの里奈子でさえ小さく見えてしまう。
格納庫の中に入ると台車に載せられたまま今度は鋼鉄製のアームのようなもので台車に固定する作業が始まった。
両手・両足そして胴体にもそれぞれ2本づつの頑丈なアームが取れつけられ、ちょうど小人に捕まったガリバーのような格好になっていた。
「これでこのオンナが覚醒しても大丈夫だな。」と満足そうな笑みを浮かべるレーム大佐。
「ジーパンレディースと名乗るこの巨大女は日本語を話していたようです。」と副官のブラウン中尉が報告する。
「それではこのオンナが覚醒した時に尋問できるように日本語の堪能な者を手配するように。」と大佐。
「了解しました。」と中尉が応えた。
何時間経っただろうか、ようやく意識を取り戻し始めた里奈子だった。
「あ~、わたし、どうしちゃったんだろう?」
「え~、ちょっと何よコレ~?」
台車に幾重にもワイヤーで縛り付けられた上に鋼鉄製の10本のアームで固定されて身動きの取れない事に気づいた彼女。
「これじゃ、動けないじゃない!」
「こんな事して、タダで済むと思ってんのかよォ~!」
「今すぐ外しなさいよォ!」
怒りとともに叫びまくる彼女。
台車の上で両手両足をバタつかせて暴れまくるがちょっとやそっとではビクともしない風だった。
そこで一旦暴れるのを止めて様子を見ることにした彼女。
先ほどは町を破壊して大勢の兵士を殺したから、タダで済むとは思えなかった。
だがいざとなれば隙を見て逃げ出せば良いのだ。
手足が自由になればまた思いっきり暴れてやろうと思っていた。
そうこうしているうちに格納庫内が巨大なライトで明るく照らされた。
里奈子の方に向かって数名の将校達が歩いてくる。
よく見ると軍服を着た高級将校に交じってアジア系の顔立ちをしたスーツ姿の青年が1人いた。
里奈子の顔の辺りにやってきた3名のドイツ軍将校と通訳の青年が何やら話をしている。
そして、青年が里奈子に向かって声を掛けた。
「あなたはどこから来たんですか?」
「あなたの名前は何というんですか?」
よく見ると端正な顔立ちのこの青年、日本語も流暢だった。
「あなた、日本人なの?」と聞き返す里奈子だった。