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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第5話・わたしはジーパンレディー

小人達の軍隊を相手に大暴れして全滅させたわたしはとりあえず元の世界に戻りたくて扉を開けて中に入った。

そして薄暗い通路を抜けて2つ目の扉を開けるとさっきまでいた自宅近所の公園に戻る事ができた。

そして扉は幻のようにすーっと消えた。

相変わらずシトシトと雨が降っていて誰もいない。

❝夢だったのかなぁ?❞と思ってしまう。

気だるい感じで少し疲れた。

ベンチにはわたしのバッグと傘が置きっぱなしになっていた。

わたしは慌ててバッグを手にとって携帯電話を取り出して時間を確認してみる。

随分長い間夢の世界にいたように感じたけど、時間は殆ど経っていなかった。

そして、両手を見てみたらゴム手袋をはめている。しかも、手の平がやけにすすけて黒く汚れている。

更に膝や足元もマジマジと見てみるとジーパンの太もものあたりにすすけたような汚れがたくさん付いている。

それにレインブーツにも何かが当たったような黒い汚れが無数に不着していた。

わたしは指に唾をつけて汚れた部分を少しこすってみた。すると汚れは簡単に落ちた。


やっぱりさっき体験した世界は現実だったのだ。

これは夢なんかではなくわたしは確かに別次元にトリップしていたのだ。

という事はサイズが小さいとは言え1000人以上の人を殺した事になる。

そう思うと胸が痛い。

でも仕方がなかったし、今は落ち着いて冷静に判断できるけど、あのままあの世界にいたらおそらくは街を破壊していたのかもしれない。

とにかくわたしはずいぶん混乱していたので自宅に帰る事にした。

自宅に帰ったわたしはシャワーを浴びてベッドで横になっていろいろと思い起してみた。

まず、あの手鏡には凄い魔力があるらしい。

手鏡をかざして呪文を唱えればまたあの世界に行く事ができるのかもしれない。

試してみる価値はある。

それにしてもあの世界はいったい何時の何処だったのだろう。

タイムスリップしたような感じだったが、思えばあちらにいたのはちょうど1時間くらいだった。

でも町並みや車のデザインに人々の服装など、やはり数十年前のような印象だった。

そして戦車や装甲車の側面に描かれていたあの十字のマークはどこかで見たような印だった。

そこでわたしはネットでいろいろと調べてみる事にした。

あまりにも興奮していてとても寝られそうに無い。

明け方までネットサーフィンしてみていろいろとわかってきた。

あのマークは第二次大戦中のナチスドイツ軍のマークだった。

そういえばあの独特の形をした装甲車、前輪がタイヤで後ろがキャタピラー式のハーフトラック。

ネット画像で出てきた当時のドイツ軍の車両とよく似ている。

それにあの町並みは確かにドイツの地方都市のような感じだった。

小人達の顔立ちも金髪の白人が多かったし兵士達が来ていたユニフォームもドイツ軍の制服と同じだった。

もしかして、わたしは第二次世界大戦中のドイツにタイムスリップしてナチス軍と闘ってきたのかも・・・。

そう思うとますますまたあの世界に行ってみたくなってきた。

ナチスといえば当事罪も無い人達を大勢殺してヨーロッパを征服した悪党どもだ。

そんなナチの奴等をわたしが正義の味方になってやっつけるなんて考えただけでも興奮してきちゃう。

まだ確たる証拠が無いとはいえ、わたしは勝手に妄想を広げてワクワク感を募らせていった。

きっと大勢の小人達を踏み殺してしまった事を正当化する理由が欲しかったのかもしれない。

そういえば戦車隊を相手に暴れている時に思わず口走った言葉が強く印象に残っていた。

「わたしはジーパンレディー!ロングブーツを履いた律子!」

そうだ!これからはわたしの事を❝ジーパンレディー❞って呼ぼう。

昔からコスプレヒロインに憧れていたわたしだけど、今やわたし自身がヒロインなのだ。

そして派手なコスプレをするよりもジーパンにブーツイン大好きな普段着姿の方がわたしっぽいかもって思った。

小人達を攻撃するにはやっぱりジーンズにロングブーツインスタイルが一番破壊的だ。

そして時々叩き潰したり握りつぶしたりする場面もあったから手にはロングタイプの手袋も必要。

今回はバイト先で使っているゴム手袋だったが、どうせなら皮製の本格的なロング手袋の方がカッコいいかも、色はやっぱり白系がかわいい。

そこで早速ネットオークションで探して見たら40cmの長さで内側にファスナーの付いたアイボリー系の皮製ロング手袋を発見。すぐに落札した。

これなら遠目には白っぽく見えるけど実際には薄いベージュっぽい感じで濃い色の紺系か赤系のチェックのシャツによく映える。

それに手の平の付け根あたりから縁まで20cm位のファスナーが付いているからシャツをインさせるのも楽だ。

そしてジーンズはいつも履いているお気に入りの紺系デニム。

膝やお尻のあたりはすっかり色落ちしていい感じのくたびれ具合だ。

ブーツは次回はいつも履いているダークブラウンの皮製ロングブーツにしよう。

この他に黒のブーツもあるし白のエナメルブーツと3足をその日の気分で決めよう。

どのブーツもヒールは5~6cm丈で少し太目のタイプだ。

ピンヒのような派手な感じは無いが筒丈も40cmと長めでどちらかと言うと品の良い婦人ブーツ系なのでシルエットが美しい。

ジーパンにロングブーツ、紺色か赤系のチェックのシャツにアイボリーのロング手袋、普段着とはいえ中々サマになっているわたし流コスプレヒロインの誕生だ。

こんな格好で大暴れするなんて想像するだけで興奮してくる。

早く街で大暴れしたいなんて想像しながら疲れがどっと出てきたわたしはウトウトと眠ってしまった。

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