第40話・わたし達の次なる標的は?
都市壊滅作戦を終えて帰ってきたわたし達。
麻美も里奈子もスッキリした表情だ。
わたしも何だかやり遂げた感でいっぱいになっていた。
「とりあえず、わたしの部屋に戻りましょ。」と言って麻美と里奈子を連れて帰宅した。
「今回の作戦は大成功よね!」と麻美が興奮冷めやらず切り出す。
「わたし達のせいで、町が1つ無くなっちゃったんですよねェ?」と里奈子。
「そうよ!このわたし達のロングブーツの跡が歴史に残ったって事かも!」
と玄関の汚れたわたし達のブーツを見ながら応える麻美。
「それにしても、今回の襲撃でどのくらいの虫けら共を殺したのかなァ?」
と麻美が尋ねてきた。
「そうねえ、ざっと5万ってとこかしら。」事も無げに答えるわたし。
「そんなに殺しちゃったんだァ、ヤッタネって感じよねェ!」と喜びを爆発させる麻美。
「一般市民もたくさん殺しちゃったですよねえ?」と里奈子。
「そうねえ、結局わたしが避難を呼びかけたけど、そんな時間無かったし・・。」とわたし。
「そんなの関係ないじゃん!今更ナニ言ってんのよ?」とちょっと怪訝そうな表情の麻美。
「わたし達の大戦果なんだよ!もっと喜ばなきゃ!」と再び笑顔に戻った彼女だった。
わたし達たった3人で5万人もの人達を全滅させたなんて考えたらちょっと怖くなってきた。
麻美は無邪気に“虫けら共”なんて言ってるけど、わたし達があまりにも巨大すぎて虐殺している実感がわいて来ないだけだ。
このままだと人を殺す事が当たり前になってしまって、だんだん感覚が麻痺してしまうのかもしれない。
そんな複雑な心境になり始めていたわたしは思わずこんな事を言ってしまった。
「今度はもっと最近の時代に行ってみたくない?」
「最近って、いつ頃?未来は嫌だからね!」と麻美。
「もちろん、未来なんて行かないわよ。」
「例えば10年前とか。」とわたし。
「そうするとわたし達の大きさも50mちょっとって事ですよね。」と里奈子。
「50mかァ、ちょっとスリルがあって面白いかも。」とやけに乗り気の麻美。
「10年前って言ったら、奴等の武器もかなり新しいだろうし、ちょっと苦戦するかもね。」とわたし。
「だからイイんじゃん!いくら武器が新しくたって、わたし達には効かないんでしょ!」
「それに50mだって結構な大きさだからァ、その辺のビルだったらわたしのブーツ蹴りで一発だよ!」と自信満々の麻美。
「でも、人間の大きさも5cm位になるからちょっとキモくないですか?」と里奈子。
「たしかに5cm位の小人がウヨウヨいたらキモいよねェ。」とわたし。
「そんなやつら、わたしがブーツで蹴散らしてやるわよ!」とヒートアップする麻美。
大虐殺にすっかり慣れてしまったわたし達。
人間的な感覚を取り戻すのにはちょうど良い機会かもしれない。
身長5cmの小人の兵士だったら、1人踏み殺すのにもちょっと勇気がいるかもしれない。
なぜなら、殺すたびに彼らの悲鳴が間近で聞こえてくるからだ。
「よし!じゃあ、次回は2004年にしよう!」とわたしが提案。
「いいんじゃない!わたしの“女の戦士”としての力を思いっきり見せてあげるワ!」と張り切る麻美。
「わたしも麻美さんみたいなブーツ蹴りを試してみますね!」と里奈子。
「時代はいいとして、どんな所に行こうか?」とちょっと考え込んでしまうわたし達。
「やっぱり、軍隊相手に闘ってみたいから、占領されたちっちゃな町なんてどう?」と麻美。
「ドイツ軍もやっつけつつ、町も破壊する・・みたいな?」とわたし。
「とにかくわたしっ!町を思いっきり壊したいんですゥ!」と里奈子が身を乗り出す。
「軍隊の相手はお2人に任せますからァ、わたしはビルや家をジーパンで押し潰してみたいんですよ。」と今回は派手なジーパンアタックが出来なかったので次回の街破壊を期待する里奈子。
「里奈ちゃんの馬乗りジーパン攻撃って結構強烈だもんね。」と麻美。
そして自らの妄想を語り始める。
「わたしはァ、虫けら共をもっともっといたぶってやりたいの。」
「ブーツのヒールでグリグリと弄んでやったり~。」
「わたしの痰唾でベトベトにしてやったり~。」
「あいつ等の手足をもぎ取ってやったり~。」
「チョー汚れたわたしのゴム手でひねり潰すなんていうのもありかも!」
「あ~、考えただけで興奮してきちゃう!」
「麻美ってェ、マジで“ドS”なんだからァ!」と笑い飛ばすわたし。
「そうよ、わたしはマジで“ドS”の麻美女王様なんだからァ!」
「わたしに逆らうとどんなヒドイ目に遭うか思い知らせてやらなくちゃ!」と語気を強めてアピールする彼女。
「うわァ~、麻美を怒らせたらマジでコワそう!」とチャカすわたし。
「わたし達って、愛と正義の女の戦士ジーパンレディースでしょ。」
「少しはわたし達の恐ろしさ思い知らせてやらなきゃ!」
「オンナだと思ってナメられたくないし!」
たしかに麻美のいう事にも一理ある。
わたし達はもう後戻りできない闘いにのめり込んでしまっているから、多少は冷酷にならなければならないのかもしれない。
❝オンナだと思ってナメられたくない!❞こんな強い思いが麻美を駆り立てているのかもしれない。