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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第4話・わたしは大暴れ

いきなり攻撃されて理性を失ったわたしは目の前の大部隊に向かって歩き出した。

 ❝ズシーン!ズシーン!❞

巨大なわたしの白いロングブーツが戦車隊の前に立ちはだかる。そしてわたしは両手を腰のあたりに当てて少し落ち着いた口調で叫んだ。

「すみやかに、わたし律子に降伏しなさい!」

「あくまで抵抗するのなら、わたしにも考えがあります!」

わたしは最後通告を突きつけて少しだけ反応を待ってみる事にした。

ところが先頭の戦車が再び発砲を始めた。

弾はわたしのブーツのつま先に当たったがわずかに黒くすすけただけだった。

「こうなったら、こうしてやる!」

そういうとわたしは先頭の戦車に狙いを定めて膝に少し力を込めて右足で踏みつけた。

❝ズシーン!❞ 

凄まじい轟音とともに土煙が立ち上り、あたり一面が粉塵で覆われた。

戦車を踏みつけたのと同時にモクモクと吹き上がる土煙を見て、わたしは吹っ切れたような気持ちになった。

そして、この瞬間戦車もろとも乗員と背中に乗っていた兵士合わせて10名ほどを一瞬で踏み殺したんだと自覚する。

それなのに不思議と罪悪感は全く無かった。

鋼鉄製の戦車は呆気ないくらいにグシャリと踏み潰された。しかし確実に踏み応えがあった。

「ちょっと快感かも!」とつぶやくわたし。

粉塵も収まったのでゆっくりと右足を上げると、そこにはわたしの巨大なブーツの靴跡が残っていた。

少し勢いをつけて踏みつけたので3cm以上は陥没している。

そしてちょうど靴跡にすっぽり収まるようにペシャンコに潰された戦車の残骸が地面にへばりついていた。車体にはブーツの靴底のギザギザ模様まで綺麗に刻まれている。

人を殺した罪悪感よりも高揚感の方が大きかった。

「やったね!」と思わず軽くガッツパーズするわたし。

こうなったらあとはやるしかない。そう思ったわたし、今度は左足で隣の戦車を踏み潰す。

❝ズシーン!❞

太目のがっしりとしたブーツのヒールが戦車の砲塔部分を直撃し前部と後部をわずかに残してグチャリと潰した。

わたしの巨大な白いロングブーツが獲物を求めて戦車隊に次々と襲い掛かかる。もう誰もわたしを止められない。

❝ズシーン!ズシーン!❞

❝ズリッ、ズリッ!!❞

戦車を踏み潰すたびにブーツを回転させて踏みにじるわたし。

「もっともっとわたしの力を見せてあげるわ!」

1台1台シッカリと狙いをつけて踏み潰しながら行進するわたし。

あっと言う間に20両の戦車がペシャンコになって地面に無残な姿をさらした。

腰に手を当てながら興奮気味に足元を見下ろしてみると、わたしの靴跡の中に戦車の残骸と共にたくさんの兵士達の潰された遺体があった。

随分たくさん殺してしまったのね、と少し冷静になってきたがもう今更止める訳にはいかない。そして今度は冷静な口調で兵士達に叫んだ。

「わたしを怒らせるからこうなるのよ、よ~く覚えておきなさい!」

「わたしのブーツがイイ感じだから、今日はあなた達が全滅するまで思いっきり暴れてやるわ!」

そういうと今度は残った10両の戦車を右足のつま先で1台づつ右に左に蹴り飛ばした。

❝ズコーン!ズコーン!ズコーン!❞

ブーツのつま先がもろに直撃した戦車はひとたまりもなく潰れて吹き飛ばされ、左右の建物の外壁に激突して爆発炎上した。

「あらあら、火事になっちゃったわね」

とくすぶる戦車の残骸を踏みにじりながら10数台の装甲車部隊の前で仁王立ちするわたし。

❝ズシーン!❞

大砲をけん引している先頭の装甲車を踏みつけたわたし。

「思ったより踏み応えが無いわねぇ」と少しため息混じりにつぶやく。


わたしはロングヘアーにキリリとした顔立ちの為、友人からよくモデルの塩田りんに似ていると言われる。

わたしもまんざらでもない感じだ。

そしてみんなはわたしの事を“りんりん律子”なんて呼ぶ。

わたしも結構気に入っているこの可愛い呼び名。

なので今度はこんな事を叫んでみる。

「わたしはちょっと優しいお姉さん、りんりん律子で~す!」

「でも今日はわたしに逆らった罰として、1人残らず踏み殺します!」

「えい!えい!えい!」

「それ、それ~!」

まるでアリンコでも潰すように逃げ惑う兵士達を掛け声と共につま先で次々と踏み殺すわたし。

そして、退却を開始しようとする残りの装甲車部隊を一気に全滅させようとわたしは少し勢いをつけて右足ですくい上げるように装甲車群を大砲もろともブーツで思いっきり蹴り上げた。

「え~い!」

❝ガシャ~ン❞と凄まじい音と共に引きちぎれた装甲車や大砲の残骸や兵士達の遺体が一気に空中高く舞い上がる。

「よし!!」と両手でガッツポーズするわたし。

戦闘部隊はわたしのロングブーツの執拗な攻撃によって全滅、あとは20台ほどのトラック部隊が残るだけだ。

生き残った数百名の兵士達は恐怖で顔を引きつらせながらトラックに乗り込んで敗走しようとしている。

「逃がさないわ!」

そういうとわたしはしゃがみ込んでトラックを両手で掴み上げた。

汚れまくった白いロングタイプのゴム手袋をはめたわたしの手が今度はトラック部隊に容赦なく襲いかかる。

トラックを掴んだわたしはギュッと握りつぶした。

❝ジュヴォッ!❞

そのたびに手の中で爆発するトラック。

ゴム手袋はどんどん黒くすすけて汚れていく。

5~6台のトラックを兵士達もろとも握り潰したわたし。

今度は平手でトラックを押しつぶす。

❝バシャーン!❞

わたしの手形が地面に刻まれる。

わたしの足元はわたしの靴跡と手形でいっぱいになった。

更に残ったトラック部隊を全滅させようと再び両手でトラックを掴み上げたわたしは足元に投げつけながら思わず叫んでいた。

「わたしはジーパンレディー!ロングブーツを履いた律子!」

「え~い!え~い!」

「こんなもの!」

こうしてわたしを包囲していた大部隊はわたしの大暴れによって全滅した。

街のメインストリートは多くの車両の残骸と千名以上の兵士達の遺体によって埋め尽くされていた。

「全部わたしが殺したのね・・。」

部隊を全滅させた満足感と共に罪悪感も湧き上がってきた。

でも仕方が無い、こんなに巨大なわたしだからひと暴れすればこういう結果になるのは当然だと実感した。

虚脱感でぼーっとしていると、前方の空が暗くなりうっすらと緑色に光だした。

そして、例の扉が地上30cmの所に姿を現した。

「今だ!」

また元の世界に戻れる。

そう思ったわたしは扉に向かって歩き出した。

そしてノブに手を掛けて扉を開けた。

「皆さん!暴れちゃってごめんなさい!」

「でも、こうするしかなかったんです。」

そう言い残したわたしは扉の中に消えた。





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