第38話・わたしの歌を聞きなさい!そして全滅するがいい!
「ハロー!ダーリン!イェ~イ!」
ドイツ軍部隊の前に躍り出たわたしが叫ぶ。
「わたしはちょっと優しいお姉さん、りんりん律子で~す!」
「今からわたしの歌を聞いてくださ~い!」
そう叫ぶとわたしは小刻みにステップを踏みながら踊りだす。
曲はわたしがさっきから口ずさんでいるフィンガーファイブの<恋のダイヤル6700>だ。
あの“りんりん・・”と言うフレーズが大好きなわたし。
軽快な“りんりん・・”に乗ってドイツ軍に襲い掛かる。
「♪りんりんりりん♪りんりんりりんりん♪わった~しはリ~ツコです~♪!イェイ!《ズシ~ン》!」
「♪りんりんりりん♪りんりんりりんりん♪ジ~パン履~いてます♪!イェイ!《ズシ~ン》!」
「♪りんりんりりん♪りんりんりりんりん♪ブーツでひ~と暴れ~♪!イェイ!《ズシ~ン》!」
わたし流アレンジの替え歌が響き渡る。
そして、フレーズ最後の“イェイ!”という掛け声に合わせてわたしの足元のドイツ軍戦車や歩兵部隊に狙いをつけては踏みつけるわたし。
歌いながら彼らを踏みにじっていたぶるのはとても気分がいい。
調子づいたわたしは更に歌いながら軽快なステップで踏み鳴らしドイツ軍の戦車や装甲車を容赦なく踏み潰していく。
わたしの足元に展開するドイツ軍部隊は戦車40両に装甲車とトラック部隊が30台づつ、それに5千名程の歩兵が車両周辺を行軍していた。
ちょうど2~3m四方くらいのエリアに展開中だから、歌いながら暴れるのにはちょうどいいスペースだ。
そして更に踊りながら歌い続けるわたし。
「♪わたしフジモリリツコなの!<ィェィ、ィェィ>♪」
「♪わたしジーパンレディーなの!<ィェィ、ィェィ>♪」
「♪ロングブーツで踏みにじり!<ィェィ、ィェィ>♪」
「♪そしてタンツバ吐きまくる!<ィェィ、ィェィ>♪」
「♪なのでわたしのまわりはギザギザ模様!♪ハロー!♪」
「♪わった~しは好~き!コ~ワ~スの好~き!♪」
「♪手~当~たり次第にみ~んなぶっ壊す~!♪」
「♪わった~しのツ~バ!ベトベトな~の!♪」
「♪ブ~ツのつ~ま~先で~広げちゃえ~!♪イェ~イ!」
「♪わった~しのタンツバ、か~わ~くとイイ臭い!♪イェイ!」
「♪りんりんりりん♪りんりんりりんりん♪わった~しは、大暴れ~♪!イェ~イ!」
「イェイ、イェ~イ!」
歌いながらテンションがどんどん上がっていくわたし。
もう自分を抑えきれなくなって足元のドイツ軍部隊をブーツで踏みまくる。
そして❝イェイ、イェ~イ!❞と大声でシャウトする。
あまりにも巨大なわたしと、そんなわたしに歯向かう事もできない可哀想なくらい無力なドイツ軍部隊。
そんな事を考えながら歌っていると、わたしの中の残酷な攻撃心が溢れ出て来て、冷酷なまでに力を込めて踏みにじってしまうわたし。
「どうだっ!わたしの力、思い知ったかヨォ!」
歌い終わって最後に叫び声を上げた瞬間、足元を見るとそこにはエナメルホワイトのロングブーツの綺麗な靴底模様がクッキリと無数に刻み付けられていた。
そして、そのギザギザ波打ち模様の中には踏み砕かれた戦車や車両の残骸片と潰されたドイツ兵の大量の死体が地表にへばり付くようにめり込んでいた。
わずか1~2分くらいの間にやって来たドイツ軍の大部隊は全滅、いや消滅した。
わたしはやっと冷静さを取り戻し、おもむろに右足を上げてブーツの靴底を確認してみた。
すると靴の裏に彫り込まれた細かい溝の中に、踏み潰した戦車の切れ端や潰れたドイツ兵の死体がたくさんこびり付いていた。
それを見て満足そうな笑みを浮かべるわたし。
思わず「ヤッタネッ!」と叫んで両手で思いっきりガッツポーズを決めながら大暴れの余韻に浸るわたしだった。
この光景を見ていた麻美がわたしに向かって叫んだ。
「律子やったネ!あっと言う間にそいつら全滅じゃん!」
「歌って踊ってやっつけるなんて~、マジでサイコ~!カッコ良すぎ~!」
「やっぱ~、わたしもやりたかったなァ!」
「今度はわたしの番だからネ~!」
この歌&ダンスアタックは暴れるのが大好きな麻美にとってはかなりインパクトがあったようだ。
元々は彼女が無意識に鼻歌を歌いながら踏みにじっていたのがきっかけだったから、わたしはそれを少しアレンジしたにすぎない。
でもまた新しいわたし達の攻撃スタイルが出来てよかった。
ただ破壊したり踏み殺したりではちょっと残酷すぎる部分もあるので、Sっ気タップリの麻美と違ってわたし的には僅かに引っ掛かるところがあった。
でもこの歌&ダンス攻撃は楽しみながら暴れられるから、変なストレスが溜まらなくてよい。
そして里奈子もわたしに話しかけてきた。
「歌とダンスならわたしに任せて下さい!」
「わたし、前にダンスやってたし、歌にも自信ありま~す!」
「今度はみんなで歌って踊って、破壊を楽しみませんか?」
一見おとなしそうで実は派手な事が大好きな彼女だった。
「面白そう!わたしも自分の持ち歌考えなきゃ。」と麻美。
「わたしは、りんりん律子なんてたまに呼ばれるからァ、この歌古いけど結構気に入ってるんだ。」と応える。
そんなやり取りをしていたら、すっかり時間が経ってしまってあと5分程で扉が現れる。
ヘルネブルグの町は中心街の役所のビル群を残して跡形も無く、わたし達によってメチャメチャに踏み潰されていた。
「残ったあの辺はわたしに任せて!」と麻美が叫ぶと官庁街に向かって歩き出した。
いよいよわたし達の都市壊滅作戦もグランドフィナーレである。