第31話・わたし達の都市壊滅計画
いよいよトリップデーが明日に迫ったので、わたし達は3人で作戦を立てる事にした。
今までは行き当たりばったりだったけど、今回はより具体的に時代と場所を決めておいた方が良いと思ったからだ。
「とりあえず、時代は1945年の4月にしましょう。ちょうどドイツが降伏する直前なの。」と切り出すわたし。
「そうなんだ、わたし達が歴史に登場!って感じよねェ。」と麻美。
「わたし達3人の女子力で歴史を変えちゃいましょう!」と里奈子。
「ちょっとォ、歴史を変えるなんて大それた事、できるかどうか分からないわよ。」と遮るわたし。
「とにかく、わたしが適当な大きさの工業都市を選んでみたから。」と説明を続けるわたし。
「ドイツ西部のヘルネブルグって言う町で人口が5万人位、大きさは4km四方位なの。」
「だからわたし達の身長が400mだとすると、ちょうど8m四方位かしら。」
「この町は工業都市で戦車の部品なんかを造っていたんですって。」
「ここをわたし達で襲って徹底的に破壊しようと思うの。」と2人に話し続けるわたしだった。
「面白そうじゃん!わたし、どこでもパワー全開で暴れてやるからネ!」と麻美。
「わたしだってジーパン攻撃でメチャメチャにしてやりますよ!」と里奈子もやる気満々だ。
「って言うか、今回はわたし達って400mの大巨人になるかもしれないんだよ!」とわたし。
「8m四方ならァ、わたし達3人で取り囲んで端からブーツで踏み潰して歩くって感じかな?」とニコニコ顔の麻美。
「今までとは違った感覚ですよネ。だってェ、わたし達が歩くだけで、町メチャクチャッ・・みたいな。」と里奈子もニコニコ顔。
「わたし達って、正義の味方だから一般市民はなるべく殺したくないの。」
「だから、まずは工場地帯から破壊し始めて、その間に住民が避難するでしょうから、その後に麻美のやりたい放題やっていいわよ。」と付け加えるわたし。
「は~い!わたし!徹底的に暴れる事を誓いま~す!」と半ばふざけ気味の麻美だった。
「ところで、律子はどんな格好で行くの?」と麻美が尋ねてきた。
「結局、わたしは白いエナメルのレインブーツで行く事にしたワ。」と応えるわたし。
「白いブーツなんてオッシャレ~!」と麻美。
「そうなの、ピカピカのエナメルの白だからァ、女性っぽい優しさを表現しつつ、でも街を踏み荒らしちゃうゾッ!・・みたいな。」
「可愛い白ブーツで町を全滅させちゃうゾッ!・・みたいな。」と調子に乗るわたし。
「でも、今回は超巨大なわたし達だからァ、足下に唾なんか吐いたら大変よねえ。」と冗談交じりの麻美。
「わたし達の女子唾で町をコーティングしちゃいましょうよ。」と里奈子が少し下品な唾責めに積極的なのでちょっと驚くわたし。
「ちょうどわたしィ、今風邪気味だからァ、もろ痰ツバ吐きまくりだヨ!」
と麻美が応える。
「麻美の痰ツバかなり臭そう!小人達可哀想っ!」とおどけるわたし。
「クシャミした後ってェ、結構臭いのよネェ、わたしの唾って。」
「だからァ、ツバを吐きながら町を踏み潰して歩いたら、後でわたしのツバが乾いてかなりヤバイ臭いになりそう。」と麻美の下品な口調が止まらない。
「誰だって唾は臭いですよォ、わたしだって小人に唾ひっかけて指でこすったら結構臭かったですよ。」と里奈子も顔に似合わず下品な会話に参加する。
「実はわたしも痰ツバ攻撃って嫌いじゃないのよねェ。」とわたしも参加。
「とにかく、あの当時の建物はせいぜい10階建てくらいだから、殆どがわたし達のブーツ丈の半分以下よ、だから踏み潰すって言うよりはすり潰すって感じかも。」とわたし。
「わたしのベージュグレーのブーツが町を全滅させるなんて、考えただけでも興奮してきて今夜は眠れなくなりそうだわァ。」と麻美が期待に胸を膨らませる。
「でも、もし思った場所に行けなくていつものサイズだったら?」とちょっと心配そうな表情の里奈子。
「そうなったら、この間みたいに暴れまくるだけよ。」と麻美。
「そうよねェ、本当にわたし達の想像通りになるかどうかはまだ分からないものね。」とわたし。
「でも、想像通りになったらァ、この次はもっと昔に行ってみたくない?」
と麻美。
「身長1000mなんてちょっと想像できないわよネェ。」と応えるわたし。
「逆に、もっと最近の時代に行けばわたし達も小さくなるって事ですよねえ。」と里奈子。
「それはそうよねェ、わたし達の身長が3m位なら小人達にやられちゃうかもね。」とわたしが応える。
「ヤダァ、そんなのってェ、暴れる楽しみがなくなっちゃうじゃない!」と顔をしかめる麻美。
「でも、彼らの武器がわたし達に効かないんだったら、それも面白いかも。」
「街を破壊するのとは違って、ナチの奴等を次々に殴り倒して殺しまくるなんて、ちょっと女の戦士っぽくてカッコいいし!」と続けるわたし。
「そういう楽しみ方もあったか、それってイケテルかも!」とちょっと乗り気の麻美だった。
そんな冗談話をしながらわたし達は明日のトリップを楽しみに解散した。
あとは本当に想像通りに事が運ぶかやってみるだけだ。