第28話・わたし達のロング手袋でビルなんかぶっ壊しちゃえ!
里奈子の得意技“ジーパンアタック”はわたし達にも大好評で、わたしはすでに3つ目のビルを押し潰していた。
麻美もビルに抱きついたり、飛び乗ってジーパンで押し潰したりと手当たり次第に壊しまくっている。
麻美の破壊はどんどんエスカレートし、ジーパンアタックでビルを押し潰しながら倒れこみ、ゴロゴロと転がって周りの建物をも押し潰した。
モカベージュのシャツもジーンズも粉塵まみれになっていたが全く気にしない彼女だった。
「麻美!そんな事したら服が汚れちゃうヨ!」とわたしが言っても身体全部を使って暴れまくる麻美を止める事はできなかった。
「イイのよ!少しくらい汚れたって、もっともっとぶっ壊してやるんだからァ!」と破壊の手を緩めない彼女。
すでにわたし達3人で20棟以上のビルを破壊していた。
わたしも里奈子もジーパンアタックを繰り返していたから麻美に負けず劣らずシャツもブーツもジーパンも結構汚れていた。
そんな破壊を楽しんでいるわたし達、次にどのビルを壊そうかと思って振り返るとナチスの旗が掲げてあるビルが目に入った。
よ~く見直してみると、わたし達が暴れているブロックの反対側にかなり大きなビルがあり、天井から巨大なナチスの旗が3本掲げてある。
更にその周りにも同じようにナチス旗の掲揚されているビルがいくつもあった。
「わたし達、何やってんだろ。アレをぶっ壊さなきゃ!」とつぶやくわたし。
「みんな!あっちにナチの本拠があるわ!」
「みんなでぶっ壊しに行きましょ!」と叫ぶわたし。
「ホントだ、わたしに任せて!」と立ち上がってシャツやジーパンのホコリを“パンパン”と手で払い落とす麻美。
「わたしもジーパンでぶっ壊したい気分かも・・。」と里奈子。
3人の巨大ヒロインがナチスのビル街に向かって歩き出した。
❝ズシ~ン!ズシ~ン!ズシ~ン!ズシ~ン!❞
ドイツ軍部隊を壊滅させた周辺のビル街は、わたし達によって破壊し尽され瓦礫が散乱しメチャクチャな状態になっていた。
その無残なエリアの反対側のブロックにはベージュ色の綺麗に建ち並んだビル群が広がっていた。
わたし達は足元を気にする事もなく道路や小ぶりな建物を容赦なく踏み潰しながら綺麗なビル街の正面にやって来て立ちはだかる。
そしてわたしはこう叫んだ、
「わたし達は正義の巨大ヒロイン・ジーパンレディースよ!」
「いいことっ!これから思いっきり暴れてやるから覚悟しなさい!」
まずはわたしが正面の20階建てのナチス本部ビルに駆け寄ってしゃがみ込んだ。
そして、上層階の窓から中を覗き込んだ。
すると中には大勢の制服を着たナチの奴等が慌てふためいているのがチラッと見えた。
「わたしの手で掴まえてやるっ!」
そう叫ぶとわたしは両手をそのフロアの窓に突き刺した。
❝ガッチャ~ン!ズブズブズブッ!❞
わたしのアイボリーホワイトのロング手袋が窓を突き破って“ズブズブ”とフロア内に侵入し始める。
わたしはお構い無しに両手を無理矢理ビル内にめり込ませていく。
わたしのロング手袋をはめた手が壁を突き破り、ビル内をメチャメチャにしながら突き進んでいく。
そして遂には反対側の外壁を突き破って飛び出した。
❝ズッヴォ~ン!❞
「イェ~イ!ピース!」とビルを貫通した両手でわたしはピースサインをして見せた。
その様子を膝に手を置いて少し中腰で見つめる麻美と里奈子。
「律子!その手袋攻撃面白そうじゃん!」と麻美が立ち上がって同じ事をしようとしている。
「わたしもやってみたいなァ!」と里奈子も早速隣のビルに狙いをつける。
わたしは突き刺した両腕を乱暴に引き抜いた。
❝ジュヴォッ!❞
するとビルには大きな風穴が開いていた。
「トドメはわたしの愛のブーツキックよ!え~い!」
❝ズッヴォ~ン!❞
低層階目掛けて思いっきりブーツ蹴りを喰らわすわたし。
わたしのブーツがビルに突き刺さり、そのまま大きな風穴が開いた部分まで突き抜けていった。
本部ビルは中央部分が無残に崩壊し両サイドがかろうじて残った状態になった。
「よしっ!」と両手でガッツポーズするとわたしは残った両側の部分の天井に手を掛けて“グイッ”と押し倒した。
❝ヴォヴォ~ン!❞
あっと言う間にビルは倒壊し、わたしは快感に浸っていた。
「いい気味だわ!」
麻美と里奈子もわたしと同じようにビルの真ん中に両手を突き刺してビル内をメチャメチャに破壊しながら突き破ってピースサインを決めている。
「イェイ、イェイ、イェ~イ!」と叫びながら可愛らしく笑う里奈子。
麻美は両腕を突き刺したまま一気に立ち上がる。
❝ヴッヴォ~ン!❞
「アッハッハッ!わたしのピースサインが決まったって感じっ!」と笑いが止まらない麻美。
この後はわたし達のロング手袋が残ったナチのビル群に襲い掛かった。
前半の破壊は強烈なブーツ蹴りを楽しんだわたし達。
後半はロング手袋をはめた手でビルを叩き潰し始めた。
麻美はどす黒く汚れたゴム手袋をはめた手で思いっきりビルを叩き壊している。
「ホラホラ!こんなものっ!邪魔だっつ~の!」
❝ズッヴォ~ン!ババ~ン!❞
長身の里奈子は狙いをつけたビルの天井に両手を掛けて押し潰している。
「え~い!それ~!わたしの手袋がイイ感じかもっ!」
❝ズッヴァ~ン!❞
買ったばかり純白エナメルのロング手袋で壊しまくる里奈子。
さすがにビルを壊すたびに土煙がモクモクと上がり純白の手袋も薄黒く汚れ始めていた。
ナチスの旗が掲揚されたビルも含めてあたり一面に建ち並んでいた約15棟のビルをぶっ壊したわたし達、そろそろ1時間が経とうとしていた。
「そろそろ時間だから扉が現れるわ!」と叫ぶわたし。
「え~!もっと暴れたいよォ~!」と名残惜しそうな麻美。
「わたしも暴れ足りないかも・・。」と里奈子も物足りない気分だったみたいだが、わたし達の上にグリーンの閃光が走り始めていた。