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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第277話・怖いくらい全部同じ

 「こんにちは、お久しぶりです!」(わたし)


「あら、律子ちゃんじゃない!」(幸恵)

「ホント、久しぶりね?」

「どうしてたの?」


わたしは気になっていた幸恵さんのライダーズハウスに来てみた。

小ぶりだけどとても綺麗な施設で幸恵さんは全く変わっていなかった。

とは言ってもこちらの世界の幸恵さんはわたしと戦った彼女ではない。

でも元気そうな彼女に会ってホッとした。

それにしても壁に掛けてある4人で撮った写真の顔ぶれ。

幸恵、洋子、仁美、里緒と顔も服装もあの時と同じ。


「彼女達も元気なんですか?」(わたし)


「あれ、あなたあの子達の事知ってたっけ?」(幸恵)


“あっ、そうか知ってる訳ないんだよな。”

巨大化の流れで当時知り合ったのだから、もちろんわたしが知っているのはおかしい。


「むかし、幸恵さんが可愛い後輩達がいるって言ってましたよ。」(わたし)


「あれ、そうだっけ?」(幸恵)

「まあ、どっちでもいいけど、」

「あの子達も真面目に元気してるよ。」

「でも最近は週末も来客で忙しくなってさ、」

「ツーリングも月1くらいになっちゃって。」

「でもみんなちゃんと仕事して、ちゃんと生きてるからね。」


わたしはその言葉を聞いて安心した。

でもなぜだろう、本当にあっちの世界の4人と全く同じ人物だったし違和感もなかった。


「じゃあ、幸恵さんも元気で!」(わたし)


わたしは彼女の元気な姿を確認して引き上げた。

今の所、トリップメンバーは皆普通の暮らしをしている。

次は白バイ隊の人達だ。

わたしは地元イベントの安全教室にあの3人が来るかもしれないと思って行ってみた。

女性の白バイ隊員は少ないからきっと会えると思っていた。

当日、やはり彼女達シルバーリリンズが会場にやって来た。

コスチュームはあの時と同じ、明るい青の上下にテカテカのシルバーブーツにシルバーのロンググローブ。

正美と奈美江と美由紀。

特に長身の美由紀は目立つ存在だ。

ただ、この世界ではわたし達は全く関係性が無いのだから、どうしたものか。


「あの~、カッコイイですねその制服。」(わたし)


わたしは思い切って話しかけてみた。

すると奈美江が笑顔を振りまきながらやって来た。


「ありがとうございま~す!」(奈美江)

「わたし達も気に入ってるんです。」

「あなたもバイクに乗るんですか?」


「いえいえ、わたしは歩くの専門ですけど、」(わたし)

「でもコスチュームがすっごく素敵なので。」


すると美由紀と正美もやって来て予想外の談笑会となった。

みんなやっぱり正義感が強くって、優しいバイク女子だった。


「もし悪の帝国に巨大化して乗り込んでいけたらどうします?」(わたし)


わたしは思い切って変な質問をぶつけてみた。


「面白い発想ですね。」(正美)

「わたしだったら、まずは悪党を捉まえちゃうかな。」


「え~?わたしだったらお構いなしに踏み潰しちゃいますよ。」(美由紀)

「わたしもわたしも!」(奈美江)


「皆さん正義の味方なんですね。」(わたし)


笑顔の3人娘と別れてホッとした。


あとは里美先生か。

わたしはあのスペイン料理の店に行ってみようと思った。

でもあんな高い店にやみくもに行く訳にもいかない。

そこであの時(わたし達が初めて会った日)と同じ曜日と時間に合わせてお店の前で待機することにした。

時間は掛かるかもしれないがどうせヒマな人生だから構わない。

すると張り込み初日に見覚えのあるメンバーが集結している。

最初に現れたのは一ノ瀬久美子だった。

そして香代子に奈穂子に律江。

最後に桐越里美准教授が現れた。

“そうだったんだ、いつもこの曜日のこの時間に集まるんだ。”

そう思いながらわたしも彼女達に少し遅れて入店した。

店内は満席でこれはマズいと思った。


「ご予約名を頂けますか?」(黒服)


「あっ、予約はしてないんです。」(わたし)

「とっても美味しいお店だって聞いて来てみたんです。」

「ダメですか?」


「大変申し訳ありません。」(黒服)

「あいにく当店は完全予約制になっております。」

「ですので・・。」


「あらっ、宜しければわたし達と一緒にいかがですか?」(里美)


一部始終を見ていた先生が見かねて声を掛けてきた。


「えっ、ご迷惑では?」(わたし)


「全然!アラフォー女のただの女子会なの。」(里美)

「お嫌でなければ一緒におしゃべりでもしません?」

「それにせっかくだから、」

「わたしにご馳走させて。」


相変わらず気前のいい先生だ。

わたしはいったんは断りつつ、本当にいいんですか?と言いながらお言葉に甘えさせてもらった。

全てわたしの狙い通りだった。

世間話に花が咲くアラサーのわたしとアラフォーの彼女達。

どうやら先生は古代史の研究者をしているらしい。


「先生、巨大神の伝説ってご存知ですか?」(わたし)

「鏡の魔力で巨大な女性が現れて悪の帝国を破壊する、みたいな。」


「えっ、なにそれ!」(里美)

「なんかすっごく、ロマンチックな神話?」

「どこで聞いたのそのお話。」

「もっと詳しく教えて下さらない?」


興味津々の先生。やっぱり元の世界の先生と性格も人格も全く変わらなかった。

わたしはサービス精神旺盛だから。

わたしの体験記を抜粋しながら話して聞かせた。

そして、


「これって、全部わたしの妄想なんですよ。」(わたし)


「それもっと膨らませて本にすればいいのに。」(里美)

「すごく面白いじゃない、それ。」


高い食事をご馳走してもらうのにはちょうど良いネタだったのかもしれなかった。

でも妄想話の世界で終わってよかったとここでもホッとするわたしだった。


次回の更新は6月22日(0:00)になります。


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