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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第267話・中に入ると・・

 今、わたしが思いっきり蹴ってやったから、中にまで響き渡る轟音。

それもそのはずで3m超のデッカイアラサー女が力任せに蹴り付けたのだから鋼鉄製の扉も強烈にへこんでいる。

この音が中にいる連中を震え上がらせている事だろうと、少しニンマリするわたし。


“中に入ったら、どうな風にイジメてやろうかしら?”


そんな風に想像しながらほくそ笑むわたし。


「ホント邪魔よ、ジャマ!」(わたし)

「コンニャロ~!」


“バシュッ!”

“ヴァコッ!”


総統室の前に横たわる衛兵の遺体やら土のうやらが邪魔で更にイラつくわたし。

わたしは土のうやマシンガンを遺体と一緒に蹴散らした。

大したスペースも無いエレベーター前のホールはわたしの蹴りでバラバラになった遺体や敗れた土のうの砂で更に酷い有り様になっていた。


「こうなったら、こうしてやる!」(わたし)


わたしは更に大きくなり5m以上の大きさになっていた。

仰向けの姿勢になって自分の右足を扉に押し当てるような恰好になった。

そして膝に目いっぱい力を込めてドアを蹴った。


「それっ!」(わたし)


“ゴ~ン!”

“ゴ~ン!”

“ヴァゴッ!”


何回か蹴り付ける内にドアがへしゃげ始めた。

さすがわたしのパワーだ。


「わたしの女子力舐めんじゃねぇよ!」(わたし)

「オリャ~!」

“ヴァゴ~ン!”


最期の一撃は心地イイ手応えを感じた。

わたしの蹴ったドアはくの字に折れ曲がって部屋の中に勢いよく飛んで行った。

どうやら中にもう1枚木製の重厚な扉があってそこに激突してひっくり返っている。

表の扉の内側は小さい20㎡程のホールになっていてそこには誰も居なかった。


「まったく手間掛けさせやがって!」(わたし)

「こいつも、」

「ホラァ!」


“バキッ!”


鍵の有無など確認もせずに木製のドアを蹴破るわたし。

ドアは簡単に蹴られて開いた。

わたしの怒りの蹴りが辺りを埃まみれにしていた。

うっすらと粉塵の中に人影が見えた。


「あらっ?」(わたし)

「誰?」


ドアを蹴破った事でわたしの怒りもすぐに収まり身長も180cm位に縮んでいた。

どうやらわたしの気持ちによって大きさが微妙に変化するらしい。

白い粉塵が消失すると総統室の中がはっきりと視認できた。

想像していたよりも随分広い部屋で30m四方はあって高さも4m程あった。

真ん中に大きなデスクがあって壁には本棚がいくつもあって多くの資料や本が納められていた。

最初にわたしと目が合ったのはブロンドヘアの端正な顔立ちの男性だった。

そして彼の傍らにブロンドの女性と男の子が1人居た。

衛兵というよりは世話係のような男性職員が3名いた。

彼らは武装していなかった。


「わたしは、律子って言います。」(わたし)

「あなたがフューラーのシュタイナーね?」

「ってか、わたしの言葉じゃ解んないか・・。」


でもブロンドの男はゆっくりとうなずいた。

この世界に関わるようになって、全ての悪の権化のような存在と思っていた人物と今正に対面しているのどある。

想像していたのとは全然違う。

見つけ次第、踏み殺そうか、蹴り殺そうか、はたまた殴り殺そうか悩んでいたのに・・。

とても落ち着いた表情で家族と一緒に居たとは。

まさかこの小さな男の子と奥さんの目の前でなぶり殺しにするのはあり得ない。


“まいったな、どうしてやろうかな?”

“奥さんや子供を殺す訳にもいかないし・・。”


彼らは外での銃声やわたしの大暴れによる轟音にすっかり怯えきっていて、総統は覚悟を決めたような表情だった。

全員、黙った状態で堅い表情のままわたしの一挙手一投足を見守っている。


「わたし、無意味な殺しはしないの。」(わたし)

「だから、奥さんとお子さん達には何もしないから。」

「あと、そこのスタッフにもね。」


シュタイナーがテーブルの上の箱のボタンを押すとドイツ語の音声が流れた。

どうやら自動翻訳機のようだった。

今、わたしが話した内容が翻訳機を通して彼らに伝わったようだった。

自動翻訳の内容を聞いて全員が少しホッとしたような安堵の表情に変わった。


「きっと、わたしの事を恐ろしい鬼とでも思っていたんでしょ?」(わたし)

「さっきは怖がらせてしまって本当にごめんなさい。」

「中にご家族がいるなんて思ってなかったから・・。」


優しい口調で話しかけるわたし。

金髪の可愛らしい5歳位の男ん子は少しにこやかな顔になった。

わたしはこの子のところに歩み寄って優しく頭をなでてあげた。


「わたし、ここに来るまでに大勢の人を殺しました。」(わたし)

「でも仕方なかったんです。」

「それがわたしに与えられた使命だから。」

「わたしはあなたを殺すように指示されています。」

「でもそれは命令ではなくて、」

「依頼なんです。」

「リナからの・・。」


リナの名前を出すとシュタイナーの表情が強張ったように見えた。

わたしの目的はちゃんと伝えられた。

でも、総統をこの場で殺す雰囲気ではなくなった事だけは確かだった。

さあ、どうするわたし?

ここから全員を連れ出すか。

それともシュタイナーだけを連れてリナの所に行って引き渡すか。

政治的な事になると本当に疎いわたしだから。

思案に暮れるしかなかった。


次回の更新は4月13日(0:00)になります。

本当にすみません、所要で時間が取れませんでしたので第268話は書きあがり次第更新致します。


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