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巨大ヒロイン・ジーパンレディー律子  作者: スカーレット
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第261話・総統官邸破壊計画

 魔力によって自在に大きさを変えられるわたし達。

今は由美と話ができるように普通の大きさに戻っていた。


「ここじゃなんだから、移動しませんか?」(由美)


「そうね、どこか適当な所に連れて行ってくれる。」(わたし)


「なんか、美味しいものがあるといいな。」(律代)


「なに呑気な事言ってるのよ。」(わたし)

「わたし達、今暴れ回ったところなんだよ!」


少し苛々しがちなわたしだったが、少し歩くと強烈な異臭が漂ってきた。


「なによ、このニオイ?」(わたし)


何だか吐き気をもよおしそうな嫌な悪臭である。


「あれって、もしかして・・。」(律代)


「そうよ、さっきあなたが踏んづけた客車じゃないかしら。」(わたし)


そこにはぐしゃりと潰された列車の車両の残骸があった。

ほぼペッチャンコの状態になっていて、中には大勢の兵士達の無残に潰された遺体が挟まっていた。

この悪臭はこの残骸からプ~ンと臭っていた。


「これって、もしかして・・。」(律代)

「わたしのじゃないですよ。」


「なによ、あなただって注ぎ込んでたじゃない!」(わたし)


そう、この車両はわたしと律代で大量のツバを注ぎ込み、その後でわたしが女子息を吹き掛けたあの車両だった。

わたし達巨大女子の吐いたツバが乾いて凄まじい悪臭を放っていた。

そんな臭いに混じってわたしの口臭の残り香が漂ってきた気がした。


「もしかして、これ律子さんの唾息の臭いじゃありませんか?」(律代)


「失礼ね、わたしの口、こんなに臭くないわよ。」(わたし)


「でも納豆みたいなニオイしてませんでした?」(律代)


「気のせいでしょ。」(わたし)

「まったくレディーに対してホント、失礼なんだから。」


「何の話してるんですか?」(由美)


「あなたは気にしなくていいのよ。」(わたし)


早くこの話題を終わらせたかった。

女子同士の話題とは言え、なんだかとても恥ずかしかった。

そして悪臭まみれの一帯を素通りしてしばらく歩くと1台の黒塗りの車が停まっていた。


「リナさんが用意してくれた車みたいです。」(由美)


黒いSクラスのベンツで運転席には誰もいなかった。

破壊された街の粉塵だらけの一帯にピカピカに輝く高級車はひと際目立っていた。

それでも周囲には誰もいなかったからわたし達は後部ドアを開けて乗り込んだ。


「うわァ、革の匂いがしますね。」(律代)


本当にまだ子供の律代。

これから重要な話をするのに全然ピンと来ていない様子だった。

そんな彼女に構うことなく由美が話し始めた。


「とにかく計画を前倒しして実行に移すようにと言われました。」(由美)

「ここからすぐの総統官邸のそばまでこの車で送ります。」

「あとは、また巨大化して官邸を徹底的に破壊して下さい。」

「わたし達の調べでは、シュタイナー総統が官邸内にいるのは間違いない。」

「実は1週間前に行動派の将校による暗殺未遂事件があって、」

「彼は外出するのを嫌がってずっと官邸にこもっているんですよ。」

「おそらく地下壕に居る可能性が高いみたいです。」


「少し厄介ね。」(わたし)

「いくらわたし達が無敵の巨大オンナでも、」

「迷路のような地下シェルターに逃げ込まれたら、」

「殺せないかもしれないわ。」


「わたしはやれると思う。」(律代)

「このわたしのワクマスで徹底的に踏み砕いてやるんだから。」

「わたしに任せて下さい!」


「両面作戦っていうのはできますかね?」(由美)


「えっ、両面作戦ってナニ?」(わたし)


「律代さんが巨大化して官邸を破壊して、」(由美)

「白兵戦や銃撃戦に慣れている律子さんが官邸シェルターに暗殺にいく、」

「・・みたいな作戦です。」


「そういえばさっき律代ちゃんが巨大化したい衝動でわたし達、」(わたし)

「でっかくなったのよね。」

「シンクロしちゃうのかしら。」


「なんだ、まだ新しいパワーの使用法極めてないんですね?」(由美)


「当たり前でしょ!」(わたし)

「取説なんて無いし・・。」

「手探り状態なんだから。」

「そしたら、試しにマスターのわたしが、」

「律代ちゃんだけ巨大化するイメージをしてみようかしら。」


「まだやらないで下さいよ。」(由美)


「なんか腕が鳴るわ。」(律代)

「それに、わたしの足が、」

「ムズムズ、みたいな。」

「ムズムズ、みたいな。」


「これがシュタイナーの写真です。」(由美)

「よく覚えておいて下さいね。」


「へ~、結構イケメンなんですね。」(律代)

「その総統さんって。」


ブロンドヘア―に青い瞳をした面長のハンサムな男だった。

始めてみる彼の写真にわたしの気持ちが僅かに揺らぐ。


“本当に殺さなければいけないのかしら?”


彼がイケメンだからではなく、普通のサイズに戻るとやっぱり人殺しに抵抗を感じるわたし。

でもそんな本心を見透かされないように平静を装う。


「武器はたっぷりありますよ。」(由美)

「この車のトランクに。」


一旦車から降りてトランクを開けてみると、確かにマシンガンやら手榴弾やら、拳銃まであった。

これで武装してわたしが単身で乗り込むという極めて単純な作戦だった。


「大丈夫ですよ。」(律代)

「身長175mのわたしがついてますから!」


まだ子供の律代が妙にまぶしく見えた。


次回の更新は3月2日(0:00)になります。


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