第256話・ツバ責めの顛末とは
「ちょっと、こうしてみると・・。」(わたし)
「どうなるのかしらァ。」
わたしはつぶやきながら客車の片方の扉をこじ開けようとした。
意外とガッチリと閉まっているこの連結部の扉。
でも指で突っついていたらすぐにへしゃげてポロっと落っこちた。
そして開いた出口を下に向けてみた。
すると中からトロッとしたわたしと律代のツバが染み出してきた。
調子に乗って2人して大量の唾を口に溜めては車内に注ぎ込んだわたし達。
悪意に満ちたイタズラだったが、中の連中にとっては生死に関わる拷問だったみたい。
最初はゆっくりと数ミリ程のツバの糸が地面に向かって垂れていく。
でもその内に泡っぽいツバの塊にコーティングされた兵士の遺体が次々と現れた。
細い唾で連結された遺体が糸を引きながら落っこちていく。
「あらっ、中の人みんな死んじゃったのかしら?」(わたし)
「可哀想に、溺れちゃったのかも、」
「わたし達のツバで。」
中からゆっくりと糸を引いて落下中の遺体に構うことなくわたしは車体を揺すってみる。
すると更に加速しながら2人、3人とツバに包まれた遺体が折り重なるようにこぼれ落ちてきた。
「ヤバ~い、みんな死んじゃってるじゃん。」(律代)
「こいつ等ホントに死んでるのかなあ?」
「えいっ、え~い!」
そう言いながら地面に落下した唾まみれの遺体をつま先でなすり潰しながら遊ぶ彼女。
唾とどす黒い血で地面が汚されていく。
「あらっ?まだ生きてるのかしら?」(わたし)
「椅子にしがみ付いている奴等がいるわ。」
「このやろ~。」
「出て来~い!」
わたしは開いている扉と反対側の扉付近に生き残っている兵士を見つけた。
6~7人がツバだらけになりながらもやっとのことで座席にしがみ付いている。
そんな奴らにイライラし始めたわたしはそいつ等を揺すり落そうと激しく車体をシェイクした。
巨大女の馬鹿力で揺するのだからたまらない。
生き残りの内の2人が振り落とされて車内のツバの塊と完全に同化して座席に引っ掛かっている。
でも残りの連中はまだしぶとく座席にくっ付いている状態だ。
「ナニよ、こいつ等。」(わたし)
「わたしに逆らう気?」
「それじゃあ、こうしてやるわ。」
わたしは開いている連結部をくわえて息を吹き込んでやった。
「ふぅ~、ふぅ~!」(わたし)
「どうだ、もっと息を掛けてやる!」
「ふぅ~、ふぅ~!」
生温かいわたしの息が車内に充満している。
反対側のドアも窓も全て閉まっているから中の遺体の死臭と唾臭に混じってアラサー女の女子息が繰り返し吹き込まれて中は凄まじい悪臭に包まれている。
我ながら恥ずかしいだなんて思わないが、体調良好でも強烈にクサいわたしの息。
「うっ、なによこれ?」(わたし)
「おほっ、カッ、カァ~、」
「ペッ、べッ!」
思わずツバを吐くわたし。
地面にはわたしの吐いたツバに混じって兵士の遺体が5つ叩き付けられていた。
どうやらわたしの息責めで、あまりの悪臭に意識を失った生き残りの5人が次々と落っこちてきて、事もあろうにわたしの口の中に入って来たのだった。
いきなり口の中に異物が飛び込んできたわたしは、不快感から異物と一緒に痰混じりのツバを勢いよく吐いたのだった。
可哀想に人生の最後を巨大アラサー女の唾息責めで失神して、痰ツバまみれになって地面に激突死したのだった。
更にその遺体を踏みしだく巨大な女子高生の律代。
「もうさすがに誰もいないみたい。」(わたし)
わたしは客車をゆっくりと地面に置いた。
“グチュッ!”
“ジュリッ、ジュリッ!”
地面の客車に容赦なくゴム長靴のつま先が襲い掛かり踏み砕かれている。
「一応、ちゃんと処理しとかないとですよね。」(律代)
「あらっ、そう言えばあなたがキープしてたのって、」(わたし)
「どうなったのよ?」
「あっ、そういえばそうでしたよね。」(律代)
「わたしったら、すっかり忘れてました。」
「なによ、潰れちゃってるんじゃないの?」(わたし)
彼女のおへその辺りを見たら無造作に突っ込まれていた客車はジーパンと彼女のお腹に押されてグシャリと潰れていた。
「エ~、これって不可抗力ですよね。」(律代)
「わたしのせいですか、これって?」
そう言いながらジーパンに突っ込まれていた車体を強引に引き抜く彼女。
ちょうど客車の真ん中の辺りがへしゃげていて両側はまだ無事だった。
すると彼女は突っ込んであった方の連結部を自分の鼻に近づけてみる。
「ウワッ、なんか凄くクッサ~い!」(律代)
「これ、マジでヤバすぎかも。」
「え~、どんなニオイなの?」(わたし)
「なんか、オシッコ臭いかも。」(律代)
「あなた、興奮して失禁しちゃったんじゃないの?」(わたし)
「わたし漏らしたり、してませんってばァ。」(律代)
「でも、もしかしたらそうかも・・。」
「なんか、わたしのジーパンのこの辺が少し染みてるみたい。」
そう言いながら陰部の辺りをゴム手袋で触りながら臭いを嗅ぐ彼女。
どうやら興奮のあまり少量の小便が漏れ出してしまったようだった。
「ねえ、中の人って、どうなってるのよ?」(わたし)
わたしの問い掛けに潰れた車内を覗き見る彼女だった。
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