第249話・こうなったら・・!
ひと蹴りでビルを粉砕するともう止まらないわたし。
そこに人が居ようが居まいがお構いなしに暴れ始めていた。
「コノヤロ~!」(わたし)
“ズヴォッ!”
“パラパラパラ。”
ナチスの旗が掲げてあった隣の小ぶりなビルを蹴り付けるわたし。
巨大なわたしのゴム長靴がヒットすればひとたまりもなく吹き飛ばされていく。
「どうだ、思い知ったかァ!」(わたし)
「え~い!」
“ズヴォズヴォズヴォ~!”
“ズバズバズバズバッ!”
足元にずらりと並んでいたトラックの一団を蹴散らしながら歩くわたし。
ゴム長靴で暴れたのは久しぶりだったが、意外と馴染んでいて気持ちがいい。
このロングタイプでひざ下まで覆われている安心感と少しゴツい感じの靴底ソール。
黄土色のソールはすっかりどす黒く汚れていてトゥやライニングの辺りは油汚れで元から真っ黒だった。
そんな汚れたワークマスターというゴム長靴はわたし達にとっては強力な武器なのだ。
「それ~!」(わたし)
「ほらほらァ~!」
“バッシュ~ン!”
しゃがみ込んでは道路の上を逃げ惑う小人の兵士どもを叩き殺すわたし。
捻り殺したり、押し殺したり、もうわたしの薄汚れたゴム手袋からは決して逃げ切れなかった。
「逃げてんじゃね~よ!」(わたし)
「これでもかァ~!」
「エイ!」
“ヴァン、ヴァン、ヴァン!”
今度は両手で地面の動くものを手当たり次第に叩き潰していくわたし。
一瞬で何人もの命を奪い去っていく。
もうこうなったら何人死のうが何も感じない自分が少しコワかった。
そんなわたしを見て更に破壊がエスカレートする律代。
彼女は鉄道の中央駅の正面に仁王立ちしている。
「どうなるか見てらっしゃい!」(律代)
「コ~ンニャロ~!」
「ソレ~!」
“ジュヴッ、ジュヴッ、ジュヴッ、ジュヴッ!”
人々でごった返すホーム諸共に駅舎やプラットホームを踏み砕く彼女。
せせら笑いながらひと踏みで数十人まとめて踏み殺していく。
もう軍人だの民間人だのと区別なく始まったわたし達による大量殺戮。
わたしだって道路上の民間人を100人以上は踏み殺していた。
ちょっとだけ靴底を見てみると、どす黒く汚れた靴底模様の節々に無残に潰された遺体がこびり付いているのが分かった。
心の中で“ごめんなさい!”とつぶやきながら尚も暴れ回るわたし。
「律子先輩!」(律代)
「こっちはわたしに任せて下さい!」
「ホラッ、逃げられると思ってんのかよ!」
両手で客車を鷲掴みにして一気に握り潰す彼女。
彼女の白いゴム手袋が客車を握り潰す度に“ブシュッ!”と煙が噴き出し同時に大勢の人々の叫び声が一瞬で沈黙に変わった。
「この瞬間がたまらないのよね。」(律代)
「なんかァ、一瞬で静かになるていうかァ、」
「うるさい奴等を黙らせるっていうかァ、」
「ホント、わたしの力を見ろ!っつ~の。」
1両1両掴み上げては握り潰し投げ捨てる彼女。
もうすでに6両ほどが彼女に潰されて強烈な手形の跡を残して地面に転がっていた。
中の人々はもちろん手で握り潰された部分はペッチャンコでその左右の人達も圧死していた。
ご丁寧に投げ捨てた車両をワクマスで踏み潰して歩いている。
「1人も逃さないんだからねぇ!」(律代)
「わたし達、正義のワクマスりんりんオンナで~す!」
「エ~イ!」
「ソレ~!」
“ブシュッ!”
“バシャ~ン!”
一々しゃがんで掴み上げるのが面倒になったのか、今度はワクマスのつま先を客車の下部につけるとそのまま蹴り上げた。
蹴り上げられた彼女の長い美脚と共に数十人の人々諸共へしゃげた客車が空高く舞い上がる。
「あっはっは、やったね~!」(律代)
手を叩いて喜ぶ彼女。
この蹴り上げ攻撃が余程気に入ったのか次々と客車を蹴り上げていく。
わたしの方も彼女に負けていられない。
今度はもろに軍関係の施設、しかも駐屯地のような建物群を見つけた。
「よ~し、今度はあそこをぶっ壊さなきゃ。」(わたし)
ノッシノッシと歩いていくと建物の前には数十輌の戦車や装甲車が並んでいる。
そして建物の中からは大勢のドイツ兵どもが完全武装で出てきていた。
「わたし達を倒そうとでも思ってるのかしら?」(わたし)
「よ~し、こうなったら目にもの見せてやるんだからね。」
わたしは敷地内に踏み入ると装甲車両の左端に右つま先を置いて一気に右方向に薙ぎ払った。
「エ~イ!」(わたし)
“ズヴァズヴァズヴァズヴァ~!”
わたしのワクマスのトゥが車両を粉々に粉砕しながら流れるように火炎を引き起こす。
今度は左つま先を後列の戦車列の右端に据えてから一気に薙ぎ払った。
「ソリャ~!」
“ズヴォズヴォズヴォズヴォ~!”
さすがに重量級のタイガー戦車だけあって装甲車よりも手応えがあった。
それでも巨大などす黒いゴム長のトゥが戦車本体から砲塔を引き千切らせながらまるで紙屑のように粉砕していく。
これは中々気持ちが良く爽快感でいっぱいになった。
「なんだかわたし、ジンジンしてきちゃう!」(わたし)
「もうこんな楽しい事、止められるかっつ~の!」
「ホラッ、覚悟しろっ!」
“グシャッ!”
“グシャッ!”
“グシャッ!”
手あたり次第に踏み潰すとソールを通してやっちゃってる感が伝わってきた。
「マジ、サイコ~だわ。」(わたし)
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